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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

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第40話 人頭税を払おう

 徴税所はアーリアの町に何カ所かあって、お婆さんの不動産屋からトリエラさんの宿に向かう途中にもある。


 開け放たれている扉から中に入るとカウンターがあって、その向こうで職員たちが書類と向き合っている。日本のお役所みたいな雰囲気だ。


「すみません」


 カウンターに立って奥に声を掛けると、1人の男性職員がやってきた。


「納税ですか?」


「人頭税の支払いをしようと思って」


「市民証を出してください」


「その、市民では無くて、滞在許可証しかないんですけど、それでいいですか?」


「更新では無く、新規のお手続きですね。滞在許可証を拝見します」


 僕が滞在許可証を取り出すと、男性職員はそれを手に取って確認する。


「滞在許可証の残りの有効期限分を返金などはできませんが、構いませんか?」


「大丈夫です」


「今はオクタルの月ですから、人頭税による市民証の有効期限は来年のオクタルの月までになります。その月の間に人頭税を支払わなければ市民証は無効となるので気を付けてください」


 そう言って職員は棚に行って市民証を持ってくる。冒険者証と同じように番号と、それから更新月となるオクタルという文字が彫られている小さな金属板だ。


「それでは金貨1枚となります」


 僕は手持ちの最後の金貨を支払う。金貨は使い勝手が悪いのでここで使い切れたのはちょうどいい。


「はい。確かに。後の手続きはこちらでしておきますので、もういいですよ」


 名前を聞かれることさえなく手続きは終わる。金貨1枚を支払ったのに、あまりにもあっさりしていて拍子抜けだが、職員たちからすればルーチンワークなのだろう。淡々と処理をされた感じだ。


 僕は冒険者証と同じ紐に市民証を通して首から提げる。


「ちょっと遅くなったけどお昼にしよっか」


「そうだね」


 僕らは適当な屋台で焼きめしとパエリアの中間みたいなものを注文する。米のような穀物に食材を足しながら焼いたもののようだ。米は少し芯が残っているが、こういうものなのだろう。


 少なくとも味は悪くない。肉と野菜の複雑な味わいが米に染み込んでいる。


「これでひーくんも正式にアーリアの市民だね」


「そうだね。期限をあんまり気にしなくていいのは助かるよ」


「年に1回だからね。私は来月だよ。ちゃんとお金は貯めてあるけど、ひーくんのお陰で余裕ができたよ」


 メルは首元から市民証を取り出す。そこにはテレミスティスと書かれている。来月の月の名前のようだ。


「人頭税を払い忘れるとどうなるの?」


「いきなりどうなるってことはないけど、無登録市民は何されても文句言えないからなあ。それに更新月が変わるわけじゃないし、延滞税も加算されちゃう。町を離れると決めた場合は転出届けをちゃんと出しておかないと、借金が積み重なってるなんてこともあるんだ」


「まあ僕らの場合は日本から砂糖買ってくれば人頭税の分くらいすぐに稼げるから、そんなに気にすることでもないか」


「そうだね。実際のところどれくらい稼ぐつもりなの?」


「7日に1度、砂糖を持っていこうと思ってる。黒胡椒はもういいかな。だから月に銀貨400枚くらい稼げるはずだよ」


「ひゃぁ、え、えと金貨に換算すると……、10枚分? 半分こでも5枚だよ!」


「でも仕入れのために魔石が必要だ。まだ日本でのお金にも余裕はあるけれど、早めにダンジョンに挑戦して、どんなものか手応えを掴んでおきたいな」


「ひーくんは明日も動けるんだっけ? でも私がお仕事だからなあ。1人でダンジョン行っちゃ駄目だよ」


「そうだね。1人は流石に危ないか……」


「ちゃんとお金が回ると分かったら、酒場の仕事を辞めるよ。そしたらひーくんに予定を合わせられるようになるし」


「辞めても大丈夫なの?」


「酒場で働いてるのはお金のためだったからね。他で稼げるなら辞めても全然大丈夫だよ」


 むしろ酒場のほうが大丈夫だろうか? メルは可愛いから看板娘とかになっていて、店の売り上げに多大な貢献をしているのではないだろうか?


「元々冒険者になったら辞めるって言ってあるし、予定通りと言えば予定通りだからね。随分と早くなったけど」


「それならいいんだけど」


「さあ、部屋を見に行こ! あんまりのんびりしてると日が暮れちゃう!」

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