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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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第400話 暗闇の中で選ぶ

 食後、僕らは突き進み23層に到達する。

 地図に間違いはなかった。


「問題はこっからか」


「そうですね。ここからはポータルを自力で探すしかありません」


「レベリング的にはちょうどいいかもしれませんね。まだシャノンさん一人で倒せてますし」


「黒鉄のハンマーがぶっささってるよな」


 重さのある黒鉄のハンマーは細かい部品の多い敵なら平たい側で、外皮が硬そうな敵なら逆側の尖った側でぶん殴れば、非常に効果的だ。

 ただ黒鉄をふんだんに使っているため、お値段が高かったのでシャノンさんとエリスさんの分を僕の個人資金から支払った。

 2人のこういうの遠慮なく請求してくるところ好きだよ。


 流石に鎧袖一触とまではいかなくなったけれど、複数の敵が出てきた場合はエリスさんたちで対処できる。

 安定度は高く、不安はない。


 そうだね。

 僕がマッピングするのが一番不安な要素だね。


「実はポータルの位置についてはある程度絞り込む方法があります」


「ポータル位置の法則性ですね」


 当然ロージア先生はご存じですよね。


「ポータルからポータルへは一定の範囲の移動距離で到達します。屋内型のダンジョンでも、あくまで目安は移動距離です。事実18層なんかは地図上で見ればポータルからポータルは至近ですが、最短のルートで移動しても結構な距離があります」


「つまり?」


「ポータルから移動距離の短い範囲を囲ってしまうことで、探索前に除外できるんです」


 これでかなりのエリアを探索せずに済むはずだ。


「今のところ通路がわずかに曲がっているというような嫌がらせ的構造もありませんし、マッピング自体は楽だと思います。スマホの探索アプリは歩幅を入力しておくことで歩数から自動的に距離計測してくれますし、初見でもある程度正確な地図が作れるはずです」


「よく分からんけど、なんとかなるっぽいならよし!」


 スマホがどういうものか知らない人に、その機能を説いても分からないしね。


「とりあえず初期位置を入力して、と」


「紙に書いたほうが早くね?」


「これだと正確性が高いんですよ」


「あんまり便利な道具に頼ってると勘が鈍るぞ」


「そうですね。でも道具が発達しすぎて、人の経験より遙かに効率が高いので、道具をどう使いこなすか、という世界なんですよね。こっちは」


「ちゃんとやってくれるなら文句は言わないけど、迷ってから泣き言を言うなよ」


「もう文句言ってるじゃないですか」


 とにもかくにも僕らは未知領域へと足を踏み出した。


 実のところそれほどポータルの開通は必要ではない。

 23層でも目標にしている長柄秋のレベル20到達は簡単だからだ。


 通常であれば20層ではレベル20の6人パーティが適切だとされる。

 そこの敵を2人パーティで倒しているわけだから、単純に効率は3倍だ。

 さらにシャノンさんは敵をほぼ一撃で倒せる。

 殲滅速度で効率はさらに3倍と言っていいほどだ。


 この場合って6倍になるの? 9倍になるの?


 どっちにしても通常より遙かに早く長柄秋のレベルは上がる。


 時計によれば夕方になったがポータルはまだ見つからない。

 至近距離の範囲は大体潰せたから、その外側ということになるんだろうけど、そうなると今度は範囲が広すぎるんだよね。


 逆にこの塗りつぶせていない狭い至近の範囲、ということもあり得る。

 この範囲が塗りつぶせたら、今度は選択しなければならない。


 範囲が広すぎるから、線を延ばすようにどこかの方向に賭けるしかなくなるのだ。


 アーリアのダンジョンなら立ち上がるポータルの光である程度近づくだけで発見できるのにな。

 まあ、その思い込みで洞窟の中にあったポータルの発見が遅れた事例なんかもあるらしいんだけどさ。


「あの、レベル20にこだわる必要もないんじゃないですか? もう18です。これって普通の探索者さんより高いですよね」


 長柄秋モードでの意見が出る。


「それに今日はちゃんと帰らなきゃいけないので……」


 そうだよね。

 咲良社長のところに泊まったことになっているとは言え、そして両親からしたら男の子とは言え、長柄秋はまだ未成年だ。

 連日の外泊はあまりよろしいとは言えない。


「外泊させるつもりはないから、そこは安心して。その上で、もうちょっと頑張ってみよう。レベル19と20でははっきりと実感できる違いがある」


「違い、ですか?」


 長柄秋はきょとんとする。

 これ公開されてないってことは、それぞれの組織が独占してるってことだよね。


「レベル20になると確定でスキルがひとつ手に入るんだ。しかもいくつかの候補から選択できる」


「へ? ……ええーっ!?」


 ほとんどの人が先天スキルを持たず、後天スキルも習得できていない現在、この情報の重要度は言うまでもない。

 スキルひとつの有る無しで人生は変わる。

 顕著なのが回復魔法スキルだけど、他のスキルだって手に入った時点でその効果は非常に大きい。


 回復魔法に限らず、魔法系は分かりやすい。

 スキル習得までまったく使用できないからね。


 魔法系以外のスキルもそれは同じなんだけど、魔法系ははっきりと現象が起こるから、誰の目にも分かる。


 片手剣術とかだと、動きが別格に良くなるんだけど、それだけと言えばそれだけだもん。


「候補ってどういう風に決まるんですか?」


「一応、すでに熟練度を得ていて習得が近いものから選択できるらしいよ」


 だから長柄秋なら舞踏系とか、歌唱系のスキルが選択に出てきやすいはずだ。

 まあ、白河ユイの[調教]みたいな物騒なスキルが出てきても困るんだけどね。

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