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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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第376話 濃縮還元をジュースと表記するの止めない?

 もちろん当然当たり前の話なんだけど、僕らは一番お高いお酒も全部飲み放題プランでカラオケ店に入店していた。


 どっちにしてもシャノンさんとエリスさんがメニューにアルコールがあるのを見逃すはずがないし、そうしたら際限無く飲むことも分かっている。


 それなら飲み放題メニューを渡して、この中からなら何でも何杯でも飲んでいいです。と、強く言い聞かせたら、多分それくらいは守れる。よね?


 あとメルには、最初にポテトとからあげを大量に注文するようにお願いしてある。この二人はがめついけど、出てきたものはきっちりと食べるので、先に注文したものを食べきられるか判断してから次の注文をするはずだ。


 いや、別に単品注文でめっちゃ食ってめっちゃ飲んでくれてもいいよ。

 流石に昨日今日の稼ぎを超えることはないだろうし。


 でもまあ、あの二人ならむしろ飲み放題のシステムを理解した上で全力で楽しんでくれると思う。そのはずだ。たのむ!


 あと普通にこっちのフライドポテトとからあげは美味いから、大量のつもりでもあっという間に無くなると思う。

 あの二人の食欲を舐めてはいけない。


 というわけで、ちょっと覗いてみると、想像はしていたものの、カラオケルームを飲食店として活用するグループがそこにはあった。


 ポテトとからあげがある上で他の料理もあるということは、あのポテトとからあげは二週目だ。

 グラス交換制なのか、空になったグラスがテーブルを埋めているということはないけれど、もうシャノンさんとエリスさんのグラスは空なので、注文したアルコールの到着待ちなのだろう。


 カラオケというもののシステムの説明はすでにメルからあっただろうけれど、こちらの歌を彼女たちが知るはずもなく、普通の食事会と化している。


「おう、カズヤ、話は終わったのか? この店はすげーな。酒の種類がこんなにあるぞ!」


 シャノンさんが飲み放題メニューを手に、もう片方の手でポテトを口に放り込みながら言ってくる。


「酒の提供がちょい遅いのだけが難点だな。こっちから取りに行っちゃ駄目なのか?」


 大皿のからあげにレモンを絞りながらエリスさんが言う。

 駄目だよ。それは。

 マナー違反だよ!


 絞ったレモンを食った!?


 ま、まあ異文化の食事マナーは分からないのが当然だよね。

 フィンガーボールの逸話の如く、僕は彼女たちの文化を受け入れることにした。


「あれは店主が一人で回してる時間帯だけでしょ。昼営業の時は給仕任せじゃん。それと一緒だよ」


「定額で飲み放題なのですから、店側が利益を調整するために提供を遅らせるのは当然なのでは? と申し上げているのですが、ご納得いただけなくて」


 うっ、ロージアさん、いつもよりお花の圧が強くない? なんで?


 そう言えばロージアさんがアルコール飲んでるのは初めて見るかもしれない。

 お酒を飲んだときの人の反応ってそれぞれだけども、背景の花(幻覚)の圧が増す人っているんだ。


「ジュースはアーリアのほうが美味しいかも……」


 アルコール禁止のニーナちゃんはちょっと不満げ。

 まあ日本でジュースって、正しくジュースであることって少ないよね。

 法律上は水分を飛ばして濃縮した果汁に水分を加えて100%以上の状態に薄めたものはジュースと表記できる。

 だけど本来のジュースって、果汁と、加えるとしてもちょっと砂糖とかの調味料が加えられているものだと思う。

 濃縮還元技術の無いアーリアでジュースというと、ストレート果汁のものだけだし、一方でドリンクサーバーから出てくるジュースはほぼほぼ濃縮還元だろう。

 ニーナちゃんが味に不満を漏らすのも仕方がない。


「そうかもね。こっちのジュースって、運搬用に一回水分取り除いて、量を減らしてから、現地で水を加えて戻すんだ。干し肉をスープに浸しても、元のお肉の味に戻らないような感じかな」


「なるほど。運搬保存用なんですね。これだけ人がいますから、仕方がないのかもしれませんね」


 ニーナちゃんはあたまがいいなあ。


「あ、でもお料理はとっても美味しいです!」


 いい子だよ。ホント。ほろり。


「しかし贅沢な店だよな。これで一人どれくらいになるんだ?」


「うーん、一人につき10層級魔石でお釣りがくるかな」


「安っす! 経営が成り立つんか? こんなに飲んで食ってるのに?」


「飲んでる分だけなら飲み放題が8層級魔石くらいかなあ。部屋代は取られるけど、僕らの食べてる量からすると誤差みたいなもんだよ」


「よぉし、店を潰すか!」


「二人で店の酒を飲み切っちゃうことはあるかもしれないけど、それで潰れたりはしないと思うよ。お酒はここまでって言われたらそこで止まってね。絶対に暴れないこと」


 全国チェーン店だし流石に飲み切らんだろうけど。

 なんかどっかでこれ以上は勘弁してくださいってストップがかかることはあるかもしれない。


 でもまあ、これだけフードを頼んでたらオーケーでしょう。


 多分カラオケ店で一番困るのがワンドリンク+室料だけで長々と練習を黙々とする一人客だと思う。

 いや、駄目ってわけじゃないよ。

 ただカラオケって同じ空間を占有するのに、人数で料金が変わるのはおかしいな。って思うよね。


 これ疑問視はされるけど、あんまり深掘りして考えられてはないんじゃないかな。


 結局のところ、多人数で来るパーティ客から多くとって、少人数客の分を補填しているんだと思う。


 JASRACに支払う料金は多分、売り上げの何パーセントとかの包括契約だろうから、歌われた回数とかは関係ないと思うんだけど、そうなると、特にここみたいに東京の一等地だと家賃が一番経費がかかるよね。


 なのに客から場所代を固定で取らないというシステムが、まず不公平感があるんだと思う。


 個人的にカラオケ屋は、部屋借り+個別入場料で取るべきだと思うんだけど、そうなると一人カラオケの客がまったく来なくなって、部屋の空きが出てくるんだろう。


 つまり機会損失だ、逸失利益だと、株主から突き上げられる。


 だったらとりあえず部屋は常に埋まってますよーって体にするために一人カラオケも歓迎する。価格も安く抑える。

 だけどパーリィピーポーからは毟り取ったるでぇ。

 という形で収益を取る。


 なんかカラオケ屋が陽キャに恨みを抱く陰キャの陰の組織みたいになってしまったけれど、実際、部屋による収益バランスにすごい格差がありそうではある。


 特に今回は僕らが搾取される側だからすんごい気になってきたぞ。

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