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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

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第35話 気まずい2人

 結局トリエラさんに怒られることは別になかった。


「うちは部屋貸しなので別に誰かを連れ込んでもなにもいいませんよ」


 って感じで誤解は解けていない感じだったけれども。


 そんなわけで僕らは絶賛なんとなく気まずい感じでレザス商会の調味料販売店に向かっている。


 僕のリュックサックには砂糖と黒胡椒の詰まったガラスポットが合わせて7つ。市場での調査が正しければ金貨を扱う商いになるはずだ。目標としては金貨4枚以上。僕とメルが冒険者になるために必要な登録料を稼ぐことだ。


 もっとも金貨4枚に届かなくともそれなりの稼ぎになるのであれば、繰り返し売りに来れば良い。幸い僕の財布にはまだ1万円以上あって砂糖や黒胡椒ならばまだまだ買える。


「ね、ねぇ、……シュークリーム以外にも日本には甘くて美味しいお菓子があるの?」


 メルが気を遣った感じで雑談を振ってきた。


「そうだなあ。シュークリームに近いものだとエクレアとかかな」


「エクレア?」


「細長くしたシュークリームの上にチョコレートが乗ってるんだ」


「ちょこれーと?」


「そっか、チョコレートも無いのか。カカオって豆から作るお菓子でね。これも砂糖がたっぷり入っていて甘いんだよ」


 まあ最近は甘くないチョコレートも沢山あるが、一般的にチョコレートというと砂糖のたっぷり入った甘い物を指すだろう。


「食べてみたい!」


「今度はエクレアを買ってくるよ。それともメルが日本に来るほうがいいかな?」


「昼間の日本も見てみたいなあ」


「上手くお金が稼げたら、今度休みが合う時には日本に招待するよ」


「やった!」


 話をしているうちに気まずさは何処かへ消えた。


「着いた。ここだよ。レザス商会の調味料販売店」


「行こう」


 僕は緊張を隠して店に入っていく。日を遮った薄暗い店内には所狭しと袋詰めになった香辛料や、岩塩などが置かれている。


「いらっしゃい。何処かの店のお使いかい?」


 中年の男性店員らしき人に声を掛けられる。

 この店はどちらかというと問屋のようだ。だとするとむしろ都合が良い。


「すみません。まずはこちらを見ていただけますか?」


 僕はリュックサックから黒胡椒の入ったガラスポットを取り出して手渡す。


「これは黒胡椒だね。しかしそれにしても……」


「こっちは砂糖です。僕たちはこれを売りに来ました」


 僕は砂糖の入ったガラスポットも取り出してみせる。


「君たちは行商人の見習いか何かかい?」


「そんな感じです。買っていただけますか?」


「もちろん構わないとも。黒胡椒が銀貨8枚、砂糖が銀貨10枚でどうだい?」


 黒胡椒のガラスポットが2つ。砂糖のガラスポットが5つあるから、銀貨で66枚だ。金貨1枚が今のレートで銀貨40枚だから目標額には随分と足りない。


「残念ですがその値段では僕らが赤字になってしまいます。別のお店に持っていくことにします」


 僕は素早く男性の手から黒胡椒の入ったガラスポットを取り返した。すると男性は慌て出す。


「ま、待った。黒胡椒が銀貨10枚、砂糖が銀貨12枚だ」


「ごめんなさい。さようなら」


「分かった。店長を呼んでくるから奥で店長と話をしてくれ。そんな真っ白な砂糖を他所に持って行かれたら私の首が飛んでしまう」


 僕とメルは目線を交わして頷き合った。まずは第一段階をクリアしたらしい。

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