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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第2章 異世界と交易しよう

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第34話 宿屋を脱出しよう

 翌土曜日。僕はリュックサックを背負い、ショートソードを腰に提げて、片手に靴、もう片手にはシュークリームを持ってアーリアのメルの部屋に転移した。うーん、シュールな絵面だ。


 メルはベッドに腰掛けて僕の到着を待っていたようだ。


「わーい、シュークリームだ!」


 いや、彼女が待っていたのはシュークリームだ。


「とりあえず、はい」


 メルにシュークリームを渡して僕は靴を履く。メルはもう袋を開けるのにも慣れたもので、早速シュークリームに齧りついている。


「んぐんぐ、それで今日はどうするの?」


「砂糖と胡椒を持ってきたから売ろうと思う。買ってくれそうな商店や商人に心当たりは無いかな?」


「それならレザス商会かな。食料品を扱ってる大商会だよ。アーリアの食料品は1度はレザス商会の手を通るって言われてるくらい。逆にレザス商会を通さずに砂糖や胡椒を売ったりしたら目を付けられるかも」


「なるほど。アーリアの台所番ってわけだ。案内してくれる?」


「もちろんいいよ。ただ本店にいきなり行っても門前払いだと思う。調味料を売ってる販売店から当たってみるのがいいかも」


「メルの言う通りにするよ」


「それじゃまずはどうやってこっそりこの部屋から抜け出すか、だよね」


「言われてみれば、いきなりメルの部屋から僕が出てきたら不審だな」


 全然考えていなかった。


「一応言い訳は考えてあるんだ。トリエラさんだってずっとカウンターにいるわけじゃないから、居ない時にひーくんが私の部屋を訪ねてきちゃったってことにすれば、まあ許して貰えると思う」


「まあ、見つかったらそれで行くしかないかな」


「この時間は朝食だけ食べに来るお客さんもいるから、紛れ込めれば何の問題も無いとも思うんだ。ひーくんは朝ご飯は食べてきちゃった?」


「うん。土日は母さんが仕事休みだから」


「土日?」


「安息日、だっけ。そんなのはこっちには無いの?」


「よく分かんない。とりあえずひーくんは朝ご飯食べてきちゃったってことだね」


「そうだね」


「じゃあ見つからないのが一番かなあ」


 結局、メルに先行してもらって様子を見てもらうことにする。トリエラさんの宿屋は1階は食堂になっていて、2階3階が宿の部屋だ。外に出るためには階段を降りてカウンターの前を通る必要がある。


 階段からメルが身を乗り出して階下の様子を探る。


「トリエラさん、給仕に忙しそうにしてるからしれーっと出て行けるかも」


「行ってみるしかないか」


 2階の廊下で階下を覗っている僕らは完全に不審者だ。早くこの状態から抜け出したい。僕らは何食わぬ顔で階段を降りていく。


「あら、メルシアさん、カズヤさんも。お出かけですか?」


 あっさり見つかった。見つからないわけがなかった。


「あ、あああ、あのこれは別にひーくんが私の部屋に泊まっていたとかではなくて」


「おま、言い訳はどこに行ったんだよ」


「言い訳ですか?」


 トリエラさんは首を傾げる。墓穴を掘ってるのは僕もじゃないか!


「えっと、メルを訪ねて来たんですけど、カウンターにトリエラさんの姿が見えなかったので、勝手に上に上がっちゃいました。ごめんなさい」


 トリエラさんがポンと手を打った。


「それが言い訳なんですね」

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