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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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閑話 水の話をしよう

 ちょうどペリエの話も出たことだし、おそらく将来的に僕が語ることはない水の話をしよう。

 なんなら読み飛ばしてもらっても構わない。

 この内容が後に関係してくることは多分無いよ。


 加えて言うならこれは未来の話で、司法書士の神立さんと話をしているこの時より後の時系列だ。

 僕は大きな金を手に入れたばかりで、それをどう使うかって話。


 32億円余りを手に入れたけれどざっくり、超ざっくり7割くらいは予定納税込み税金や社会保険料で持って行かれるとして、残りが10億円無いくらいとしよう。

 そのうち2億を今から使って残りが7億。


 高校生が持つにはあまりにも大きいお金だ。

 なんでも買えるというほどではないけれど、ちょっとした贅沢は許されるくらい。


 この先、このお金を使って僕が少しずつ備蓄を増やし続ける商品がある。


 ポリグル、というこの水質浄化剤は、汚水を飲用にできる魔法ではない白い粉だ。

 納豆のねばねばする成分であるポリグルタミン酸にカルシウム化合物を添加したもので、水の中に混ざっている汚れや重金属類などの成分を凝集して、ある程度の塊に変える。

 つまり汚水にポリグルを入れて攪拌し、凝集させた後に布でろ過するだけで飲用できる。

 開発当初の目的は災害時の各種生活用水の確保だったけれど、今では世界中で飲用水を作るために使われている。


 他にも飲用できる水を作り出す水質浄化剤を開発した会社はあるのだけど、貧困地域に、となるとほとんどの場合が本業の売り上げを伸ばす目的のチャリティーであるのに対し、ポリグルを販売する日本ポリグルは、ポリグルの販売を目的とする株式会社である。

 つまりポリグルの販売で利益を出している。

 営利企業だ。


 僕がポリグルを選択した理由はまさしくそこで、慈善事業は寄付によって活動力が左右される。寄付が集まらなければ規模は縮小されるし、より多く集まったからと言ってその全てが慈善事業に回されるわけではなく、将来の予備費のような形で貯め込まれる。

 それが悪いとは言わないけれど、慈善事業はその継続に外の力が必要だ。


 それに対して水質浄化剤の販売で利益を出している日本ポリグルは単独で事業を継続できる。

 慈善事業と比べると継続性が段違いだ。

 世間から注目を集めようが、まったく知られていなかったとしても、安全に飲める水を求める人々が必要な資金を集められるのであれば、日本ポリグルは事業を継続できる。

 要は需要と供給で事業が回る。


 会社が資金集めのために資金を投入する必要がないので、価格が抑えられ、結果的に貧困地域でも購入できる価格に収まる。


 日本でもこの先、水の価格は上がっていくと思う。

 だからと言ってポリグルを使って川の水を飲みましょうとはならないだろうけれど、やはり災害時に給水車が来るまで、水道の復旧まで、緊急で水を、それも飲み水を確保できるということの安心感はあまりにも大きい。


 僕はこの先、運営がこの世界を危機に陥れようとすると思っている。

 そしてその規模はインフラの維持が難しいレベルであると想定している。

 少なくとも電力は止まり、水道の維持は不可能だと言う前提で準備する。


 そうなるとポリグルの備蓄という結論に至るわけだ。


 手の届く範囲にだけでも水が飲めるように、僕は倉庫を借り、販売時のパッケージをさらに真空パックして、密閉容器に入れ、ポリグルを備蓄している。


 合わせて水浄化用のタンクなども用意した。

 このタンクに汚水を入れ、ポリグルを投入して攪拌すると、大きい蛇口から汚れを含んだ水が出てくるので、布でろ過して使用するつもりだ。

 それでも気になるというのであれば、ろ過した水を一度煮沸してもいいと思う。


 水は生命維持に絶対に必要な要素だから、僕はこの点を緩めるつもりはない。


 ところでこんな手軽で便利な商品をなんでアーリアに売らないのかって不思議に思った?


 そりゃ当たり前だよ。

 あっちじゃ誰でも湧水の魔術が使えて、いつでも必要十分な飲み水を用意できるんだ。


 売れるわけがなかったよ!




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私が個人的にポリグルを推してるだけです。

プロモーションでもなんでもありません。

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