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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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第325話 危険な夜

 代筆屋とのやりとりは特に問題なく終了し、東雲ひなであることに気付かれなかった咲良社長がなんとなく微妙な顔をしていたような……、きっと気のせい。


 芸能事務所の社長はまさかこんなことで拗ねたりはしない。


 僕はスマホで時間を確認する。


 なんとか終電には間に合いそうだし、駅でお別れかな、と思ったところで通知音が鳴った。

 社長から預かったマネージャー用のiPhoneだ。


 バッグから取り出してみるとマイフレンドからLINEが来ている。


『ヒロくん、可能だったら助けて欲しい。場所はここ』


 という文面で住所+地図が別途送られてきている。


「んん?」


 なんかこの住所見覚えがあるなあ。


「私ん家ね」


 横から覗き込んできていた咲良社長が言う。


「なんで二人が咲良社長の家に?」


「え~っと、ユラは家で預かっていると言いますか……」


 咲良社長がつつと目を横に逸らす。


 なんだか妙に言葉を濁すなあ。


「なにか事情が?」


「あの子、トー横で拾ってきた子なのよね……」


「誘拐犯だ!?」


「人聞きの悪いこと言わないでよ。君だって人買いじゃないの」


「どっちも人聞きじゃなくて、普通に悪いんだよなあ」


「その自覚はあるのね……」


 咲良社長が肩を落として言う。


「ユウもどうして私じゃなくてヒロくんに連絡するのよ」


 ぶつくさ言いながら咲良社長は自分のスマホを取り出す。


「めちゃくちゃ連絡来てるわ! 裏社会が怖くてサイレントモードにしてたんだった!」


「そりゃ僕のところに連絡来るよなあ」


 僕は咲良社長と連れ立って事務所を出たわけで、咲良社長から応答が無い以上、小鳥遊ユウが僕にヘルプを求めるのは当然のことだ。


『すぐに行く。待ってろ相棒』


 僕はLINEに打ち込んで送信した。

 迷いは無い。

 何故なら小鳥遊ユウはマイフレンドだからだ。


「なんかヒロくん、ユウに変な感情抱いてない?」


「変な? ただ僕が一方的に友だち認定してるだけですけど」


「それを変って言うのよ!」


 なんか前にも似たような指摘をされたような気がするけど、あれとは方向性が違うから大丈夫だ。


 僕とユウだし。(強い信頼)


『相棒? まあ、相棒でいっか。ユラに禁断症状が出ている。いますぐ』


 LINEの文面はそこで途切れ、そこから何も送られてこない。

 僕から何が起きたのかを訊ねても返事が来ない。


 そんなバカな!


「マイフレンドの身になにが!?」


「いや、たぶん、そんな深刻なことではないわよ。ユラはなんというか、そう、独特だから」


「それは知ってますけど」


「いいことを教えてあげるわ。ユウはとっても力が弱いの」


 ピロン♪


『ヒロ、はやく』


「マイフレンド!」


「たぶんこれ送ってきてるのユラよ。スマホを奪われたわね」


 ええー。ユラってさっきまで僕に抱きかかえられてた子だよね。

 マイフレンド、あまりにも弱くない?


「絵が浮かぶわ。ユラがスマホを高く掲げて、ユウが必死に取り返そうとしてるところ」


 なんでだろうか。

 僕も簡単に想像できちゃうなあ。


「それはそれとして社長の家まで最速は?」


「ドア前までならタクシーね。最寄り駅までなら電車。どっちでもそんなに変わんないかな」


 なんでそんな絶妙な。

 どっちかなら選ばなくて済むのに。


「どっちでも変わらないならどっちでもいいじゃない。ヘイタクシー!」


「安い方を選ぼうと思ったのに!」


「領収書が出るからタクシーのほうが精算が楽よ」


「経費ィ!」


「はぁ~、さっきまで億単位の話をして、二千万円ポンと渡してきたところなのよね。私たち……」


 すぐに止まったタクシーに乗り込みながら、咲良社長が行き先を告げる。

 僕はすぐその後に体を押し込む。


「ちょ、入ってくるの早い」


「運転手さん、急いでください。緊急事態です。個人ですよね。これで可能な限り早く」


 僕は財布に入ってた札を全部運転手に差し出した。


「やっぱりヒロくん、ちょっとテンションおかし――」


 急発進したタクシーの座席に押しつけられるように咲良社長の言葉は途切れる。


「へへっ、ついに来たぜ。この日を夢見てタクシーの運転手になって早二十年。無事故無違反だったけど惜しくねぇや。しっかりシートベルトは締めな。飛ぶぜ?」


 袖で感涙を拭いながら運転手はアクセルをベタ踏みする。


 いまタクシーは第一宇宙速度を超えた。

 つまり地球周回速度だ。


 んなわけないか。


「そんな大層なことじゃないわ! あなたの無事故無違反歴のほうがよっぽど大事よ! 免許と信用と個人タクシー協会を大事にして!」


 僕はすかさず咲良社長の言葉に被せた。


「お伝えした住所には誘拐された子がいます。絶対に通報はしないでください。これは絶秘の作戦シークレットミッションです」


「ヒロくん!?」


「来たぜ来たぜ来たぜ! ボウズ、金なんて要らねぇ。いいか。タクシードライバーが金を取るのは客だけだ。あんたは戦友バディだ」


 そしてタクシーは第二宇宙速度、つまり地球重力圏脱出速度すら超えた。かもしれない。知らんけど。


「全部解決して、そしたらいつかチラッとでいいからよ。こんな野郎がいたことを一回だけ思い出してくれりゃあ、そいつが報酬だぜ!」


「忘れられるわけないでしょ! なんであなた今まで無事故無違反なの!?」


「いいから、掴まってな。綺麗なお嬢さん。こいつぁ危険な夜(ハードドライブ)になりそうだぜ」


 あ、黙った。

行くぜ。危険な夜を、よ。

なんだこいつ???

自分でも予定してないキャラが大暴走しだしてしまった。

というわけで投稿開始時に書けてたのはここまでだったので、1時間更新はここでおしまい。

面白かったよ!続きが気になる!という方はブックマークと、☆のクリックを是非よろしくお願いいたします。


本日からは基本的に書けてたら21時更新かな?になると思います。

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