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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第8章 輝ける星々とその守護者について

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第310話 隠語を聞く

 僕がメルと人生で最低何回結婚しようか考えていると、代筆屋はポケットからスマホを取り出しながら呟くように言った。


「あとは探索者証を作るときの身分証明書か。あー、起きてっかな。酔っ払って寝てそうだな。まあ、掛けてみるか」


 電話するなら一応聞き耳使っとくか。


 僕は聞き耳スキルを発動する。

 手元では書類の再確認をしているフリだ。


『あいよー。どしたー』


「おぅ、起きてんじゃねーか」


『起きてたら文句あっか。にーにーさんか?』


「ちげーよ。運転免許。ヒラのやつ」


『ヒラの? ポンか?』


「そうだ。カナはいらん。ちょっと見せるだけ用だ」


 聞こえてはいるけれど、なに言ってるのか全然分かりませんねえ。

 敢えて分からないように業界用語みたいなのを使ってるんだろうけどさ。


『ケツは?』


「明日」


『はー!? 火曜か?』


「月曜だよ! 時計見ろ。まだ日曜だろうが」


『夕の五時過ぎたらもう明日なんだよ』


 電話の向こうの人、ニャロさんの反対バージョンみたいなこと言ってる。


「ヒラなんだから余裕だろうが」


『出は?』


「ジュクで」


『それならまーいいか。浮いたやつでいいか?』


「Cは無いだろ。確か。それ値段変わるか?」


『浮いたやつでいいなら50、当たりを避けるなら100だ』


「洗浄無しなんだが」


『倍だ。倍持って来い。面倒な』


「あーっと、ちょっと待て、おい、免許証の番号が失踪者と被っていいなら100万。まだ使われていない番号なら200万だ」


 僕は書類を茶封筒に入れながら確認する。


「運転免許証って、偽造したものがあるのに、正式に作ろうとしたら変なことになりますか?」


「免許証の住所変更手続きせずに、転入した先で作れば、作成時にバレたりはしない。同じ管轄内じゃダメだぞ」


 うーん、あくまで作成時か。

 でもまあ、三津崎湊で運転免許を使うのってそんなにないだろうし。

 本当の運転免許は柊和也で取りたい。


 え? 二つ戸籍があって、両方に正式な運転免許が欲しかったら二回取得しなきゃいけないの?

 当たり前か。

 面倒くさっ!


「じゃあ高い方で」


「おっさん、新規だ。200万持って行かせるからよ。名前とか住所はメールすっから、金と写真だけ持って行かせればいいよな?」


『あいよー。今から来んのか? 眠くて手元が狂うぜ?』


「おい、明日の予定は?」


「午後は18時くらいまでは動けません。午前か、それ以降で」


 午前は予定がないけど、昼からステラリアとライブの反省会だ。

 社長は僕のせいで謝罪行脚だよ。


「おっさん、20時以降にに行かせるから準備だけしとけ」


『それで24時までに作ればいいんだな?』


「そうだ。それで200万。ボロいだろ?」


『わはは、って面倒なんだよな。汚い金。そっちで洗浄しといてくれよ。こっちは150でいいからよ』


 なんかアンタ50万増えてない?

 適当すぎない?


「しゃーねーな。んじゃ金は今度持っていかせるから、本人確認用に顔もメールしとくわ」


『わーったわーった。それじゃな』


 ぶつっと通話が切れる。


 しかも向こうの人のほうが僕の時よりレート良くない?

 そりゃそうか。


 すでに取引がある、つまり信用がある相手なら取引のレートは良くなる。

 当然のことだ。


「ありゃ今から飲み直すな……」


 代筆屋がスマホをポケットに入れながらぼやく。


 どうでもいいけど、お尻のポケットにスマホ入れて座ると曲がるよ。


「えっと、どうなりましたか?」


 素知らぬ顔で僕は聞く。


「明日の20時過ぎくらいに今から印刷する場所に行け。行き方とか全部印字されるから、その通りにな。200万余裕で持ってきてるか?」


「まあ、ありますけど」


 僕はアタッシュケースを再び開いて、金を出す。


 え? 僕の個人資産、もう汚い金で100万くらいしかなくない?


 1億8千万ってあっという間に無くなるんだなあ。

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