表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第7章 メルを配信者にしよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

217/546

第214話 ちゃんと話をしよう 1

 具体的な話は僕がメルとちゃんと話をしてからだ、とニャロさんは通話を終わらせた。


 なんというか独特な世界を持つ人だったなあ。

 何かの道をそれなりに突き詰める人というのはそういうものなのかもしれないけれど。


「メル、ちょっといい? 水琴、メルを借りるよ」


「なるべく早く返してね」


 いや、借りるって言ったのは僕だけどさあ。

 そういうことじゃないんじゃない?


「ひーくん、ニャロさんとのお話は終わったの?」


「一旦ね。それでメルと話したいことがあって。僕の部屋でいい?」


「うん。水琴ちゃん、また後でね」


 もうメルの認識でも水琴のとこに基本いる感じなんだ。

 悔しい。


 僕らは僕の部屋でそれぞれに腰を下ろした。

 いつもどおりメルがベッドに、僕が椅子にって感じ。


「それでニャロさんはなんて言ってたの?」


「僕らには話し合いが足りてないって。それさえクリアできれば協力してくれるって約束してくれたよ」


「話し合い?」


 メルはきょとんとする。

 その気持ち、分かる。

 僕らはかなりの時間を共有していて、別に話し合いなどしなくてもお互いのことを分かってると思っているし、メルも同じ気持ちだと思う。


「ニャロさんが僕らをどうしたいのかは分からないけれど、少なくとも害意はないと思う。可能なら力を借りたい」


「うん。私もいい人だと思った」


 いい人かどうかは分からないけど、尖った人ではあったなあ。


「それで何を話し合うの?」


「うーん、そこが僕もよく分からないんだよね。なんだっけ、すれ違いの物語を嫌いだって言ってたなあ。もっと話し合って分かり合うべきだ、というような」


「……もしかして」


「なにか心当たりがあるの?」


「ニャロさんが指摘したかったことかどうかは分からないけど、私たちは、なにを、なんのためにするのかは共有してると思う。いつまでに、というのは具体的には決めてないけど、なるべく早いほうがいいというのはお互いに思ってるよね」


「そうだね」


「誰が、というのは私たちだとして、まだ共有されていないことがあるよね」


 いわゆる5W1Hだろうか。

 まったく同じ言葉がアーリア側にあるかは分からないけど、人に伝えるときに必要な要素がこれらであることに違いはないだろう。


 つまり【いつ】【どこで】【誰が】【何を】【なぜ】【どのように】という6項目。


【なるべく早く】【こちらの世界で】【僕らが】【世界中に呼びかける】【メルの両親を探すため、あるいはこの世界を救うため】【インターネットで有名になって】


「全部共有済みだと思うけど」


 念のため僕はノートに書き出した。

 メルは立ち上がってデスクの傍に立って頷く。


「うん。文字列で見るとそうなっちゃうよね。でも実際にはこれって二つの目的が平行して進んでいるのはひーくんも分かってると思う」


「世界を救うのと、メルのご両親を探すの?」


「うん。こっちの世界を救うのはひーくんの都合で、パパとママを探したいのは私の都合。偶然この二つが同じ手段で達成に近づけるから、私たちは協力し合っているだけなのかな?」


「いや、そんなことはないかな。メル自身がニャロさんに言っていたように僕らはお互いの支援者だから、自分の望みが達成される道ではなかったとしても、協力すると思う」


「私もそう思う。でも、なぜ支援者という役割を始めたのか。私たちはその理由をお互いに言葉にはしていないよね」


「そう……かもしれない」


 僕の場合は分かりやすい。

 メルへの恋愛感情をこじらせて変なことになっている。


 でもメルが最初から僕に親身だったのはなぜか。

 確かに僕はメルから理由を聞いていない。


 メルは最初からそうすることが当然と言わんばかりに、僕を助けてくれていた。


 一番最初に転移の能力を見せてしまったけれど、メルはその力が特異であることには気付いていても、それを利用や悪用することは考えていなかったように思うし、今でもそうだ。

 このスキルが僕にあるからメルは僕を助けてくれているわけではない。


 メルが助けてくれたから僕もメルを助けているんだ、みたいなことは言った覚えがあるし、メルはお返しをもらいすぎだよと困っていたと思う。


 だけど僕もメルも一番の動機を、その心の奥底を見せてこなかったし、また聞くこともしなかった。


 それがニャロさんの言う話し合いなのだとしたら、僕はこの気持ちをどうメルに伝えたらいいのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ