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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第7章 メルを配信者にしよう

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第202話 両親の覚悟を聞こう

「父さんの言いたいことは分かった。でもまだリスクが大きすぎる気がする」


「一応JASRACの使用料についても調べてみたんだが、音楽外利用でそれによって収入が無い場合で年額が5万円みたいなんだよ。無断利用の懲罰的な加算があったとしても払える」


「でも、収益化を目指してはいるんだけど……」


「その場合でも収入の何パーセントかと情報料なので、収益化したら収入の一部を貯めておけば大丈夫だ」


「そっかー」


 僕はほっと息を吐く。

 なんか何百万とか、何千万のイメージだったけど、それじゃ正規料金を払って利用できないから、当然と言えば当然かも。


「まあ、それはそれとして公式の音源をそのまま使うなら、著作権者の許諾は取らなきゃいけないんだけどな」


「そうだった。それはまあ、連絡を投げて、許諾待ちですみたいに書いておくよ」


「本当はダメなんだが、まあ、現実的な落とし所か」


 ご飯を口に運んで、父さんはもぐもぐと咀嚼する。


「そうだ。父さんの知り合いにサムネとか、動画の絵コンテ描けそうな人いないかな。その、コツとかを教えてもらえないかなって」


「そうだな。まあいないわけじゃないが、疎遠になってるからな。あんまり期待はするなよ」


「分かった。でもどっち?」


「どっちもいるし、両方できるって人もいるなあ」


「聞いておいてなんだけど、どうしてそんな知り合いが?」


 父さんはしばらく咀嚼してから、それを飲み込んだ。


「……昔にな、そういうグループの一員だったことがあるんだよ」


「映像サークル的な?」


「いや、もっと緩い集まりだった。皆で何かやろうっていうよりは、それぞれ勝手に好きなことをやって、成果や技術を共有し合う程度だ」


「あれ? それじゃ父さんもできるんじゃないの?」


「父さんはそういうのから離れて久しいからな。最近のソフトの使い方も分からないし、流行りも抑えてない」


 そう言えばこのパソコン、各種ソフトが入っていたわけではなかった。

 つまり父さんがそういうソフトを使わなくなってから結構な時間が過ぎているということだ。


「できれば、趣味でもいいんで現役でやってる人がいいんだけど」


「分かったけど、あんまり期待はするなよ」


「うん。僕は僕で色々当たってみるよ」


「そうだな。ただ、人に教えを請うということは、相手の時間を奪うということでもある。見返りはどうするつもりだ?」


「まずは金銭でどうにかするしかないと思う。相手がどんな方かによっては、多少の情報開示をしてこちら側に引き込めたらとも思ってる」


「それは危なくないか? 情報ってのは基本的に知っている人数が増えるほど漏洩のリスクが高まる。多少の資金は融通するから、金銭でやりとりしたほうがいい」


「でも資金的に辛くない?」


「そこはパワーレベリングが進めば回収できるだろ」


「確かに、まあ」


 僕は多分ダンジョン管理局に睨まれてるからアレなんだけど、父さんたちのレベルが上がって、日本の買取所で魔石を売れるようになれば日本円に困ることも無くなる。


 僕らがパワーレベリングをするから、レベル40までは上げられないにせよ、レベル30まで上げて安全見て25層くらいで狩りをしても、アホみたいに稼げるはずだ。


 10層でもギリ生活できるくらいには稼げるらしいし、そこまで深く潜ってる探索者ってほとんどいないからね。


 問題は世間的にはともかく、管理局からは目を付けられるだろうってこと。

 父さんたちが探索者登録したのは最近だし、どうやってレベルを上げたのかは、プライバシーに関わることなので聞いてこないにしても、絶対に調べはするだろう。


 レベルは計測手段がないのでバレないけれど、魔石のサイズでどの辺りまで探索しているのかはある程度分かるのだ。


「もし状況が切羽詰まってると感じるなら、最悪仕事を辞めてもいい」


「え?」


「パワーレベリングを受けたら探索者としての稼ぎだけで今よりも収入は増えるはずだ。和也のいうことを聞いている感じではな。そこまでレベルを上げるのに、週1の活動では時間がかかりすぎるだろう?」


「でもそれってリスクが高すぎない? 運営の動きが分からないから、今すぐに始まる可能性もあるし、僕らの人生が終わるまで始まらないかも知れない。もしかしたらずっと、という可能性もあるんだ」


「そんなに言うほどリスクかな? 終身雇用制度はもう崩壊寸前だし、年功序列も消えかかっている。会社にしがみつくのが安泰という時代でも無いよ。探索者は確かにリスキーな仕事だが、魔石の買取は国が管理している。国家事業の下請けをしていると考えたら、安定の職業とも考えられる」


「お母さんたちもそんないきなり仕事を辞めようってわけじゃないのよ。パワーレベリングを受けて、探索者としてやっていけそうという確信を持ったら、その選択肢もある、というだけの話。モンスターだと分かっていても攻撃できない、という人も一定数いるしね。やってみなきゃ分からないところもあるわよ」


「そういう諸々含めて、俺たちは和也のやりたいことを支援すると決めているんだ。だからどんどん頼ってこい」


「ありがとう。父さん、母さん」


 僕は深々と頭を下げた。

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