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ユニークスキルで異世界と交易してるけど、商売より恋がしたい ー僕と彼女の異世界マネジメントー  作者: 二上たいら
第1章 クソザコナメクジくん、異世界に行く

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第20話 管理局の人から話を聞こう

 僕は探索者証を取り出して斉藤さんに提示した。探索者証は顔写真入りのIDカードで、当然ながら名前の記述もある。


「はい。僕が柊和也です」


「ちょっと失礼します」


 そう言って斉藤さんは僕の探索者証にスマホをかざす。そしてスマホを少し操作して頷いた。


「確認が取れました。少々お話を伺いたいのですが、ご同行していただけますね?」


 疑問形だが、有無を言わさぬ口調だった。彼女の中では決定事項のようだ。


「分かりました。できれば手短にお願いします。疲れているので」


「できる限り善処します」


 あ、これは長くなるな。と僕は思った。


 斉藤さんに先導されて橿原ダンジョンの改札を通り抜け、建物の外に出ると黒塗りのセダンが玄関前で待ち構えていた。斉藤さんが後部座席のドアを開け、僕に乗るように促す。


 特に抵抗する意味も無いので素直に後部座席に収まる。そのまま奥に詰めるように促されたので席を奥へと移動する。すると斉藤さんが隣に乗り込んできた。


「大学病院へ」


 斉藤さんが運転手に伝えると車はスムーズに走り出す。


「柊さんは今日が9月の11日だという認識をされているということで間違いないですか?」


「係員の方に日付を見せてもらったので10月だということは分かっています。自分の感覚では9月11日ですけど」


「ダンジョンの中で1ヶ月以上を過ごしたことは覚えていらっしゃらない?」


「覚えていないというより、そんなことは起きなかった。という感じです」


「当時柊さんと同行していたのは、同級生の檜山さん、相田さん、久瀬さんということで間違いは無いですか?」


「はい。あの、彼らはなんと?」


「先に柊さんの所感をお伺いしてもよろしいですか? ダンジョンの中で何が起きたんでしょうか?」


「第3層で妖精の小径を見つけました。檜山くんの提案で入ってみることになって、奥には宝箱がありました。檜山くんが僕に開けるように言って、手をかけたんですけど、次の瞬間には食べられていて、意識を失って、気が付くと檜山くんたちも、ミミックもいなくなっていました。その後は恐る恐る第3層のポータルまで戻って、脱出してきた。そんな感じです」


「妖精の小径があった場所は分かりますか?」


 僕はリュックサックからマップを取り出して、場所を示して見せた。


「ここです」


「……なるほど。調書とは細かいところが食い違っていますね」


 一瞬心臓が跳ねたが、別に斉藤さんが僕の嘘に気が付いたというわけではないようだった。


「3人の調書によれば妖精の小径に入るように勧めたのは柊さんだったと。そして宝箱を見つけるや否や手をかけて、そのままミミックに食べられた、とあります。救出するために必死に戦ったが、敵わず退却した、とも」


「あいつら!」


 思わず低く唸ってしまう。あらかじめ口裏を合わせておいたのだろう。


「何にせよ探索者は自己責任です。ダンジョン内部に日本の法は及びません。檜山さんたちが故意でミミックに柊さんをけしかけたのだとしても、それは罪には問えません」


「ええ、はい。分かっています。ただ僕の意見は違うということです」


「後でちゃんと調書を取らせてください。少なくとも柊さんの意見は記録として残ります」


「……分かりました」


 そんな話をしているうちに奈良県立医科大学附属病院に到着する。橿原ダンジョンからはすぐそこだからだ。


「まずは体に異常が無いか調べましょう。記録によれば柊さんは1ヶ月以上ダンジョンの中で過ごしていたことになります。調べれば何か分かるかも知れません」

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