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第175話 その後のアーリアについて話そう

 先にその後アーリアでなにがあったのかを話しておこう。

 これは人に聞いた話なので、その人の解釈や勘違いが含まれているかもしれないけど、まあ、おおよそ間違いではないと思う。


 エリスさんからの報告を受けた冒険者ギルドは当初、ダンジョン内に受肉したドラゴンが生息していたという情報を信じなかった。

 ただエリスさんが問題児とはいえ、僕らのパーティが20層のドラゴンを退治するために結成されたということはギルドでは知られている話で、僕らが30層のドラゴンを容易に狩っているというのも同様だ。

 また僕らのレベルがアーリアの冒険者の中でも第一線と言える高さであることも、ギルド側が簡単に報告を却下して終わることができなかった理由のひとつだ。


 結局、冒険者ギルドから調査員が一人だけ派遣されることになってエリスさんが護衛をして現地に向かったらしい。そこでドラゴンの死体を見て調査員はびっくり仰天。慌てて冒険者ギルドに戻ったが、時間が遅くなっていたため荷運び人やその護衛の冒険者の用意は翌日にお流れとなった。


 たまらないのはダンジョン内で一夜を過ごさなければならなくなったシャノンさん、ロージアさん、ニーナちゃんだ。かさばる野営道具などは持っていなかったため、急造で雪を固めた、いわゆるかまくらを作成し、そこで一夜を過ごしたのだという。

 まあ寒冷地帯ということもあり、雪を積み上げロージアさんが水を薄く撒くと簡単に凍り付いたそうで、かまくら作り自体はそれほど大変ではなかったらしい。

 幸い食料は2日分の用意があったし、最悪の場合でもそこに転がっているドラゴンの肉を食えばいいので、何の問題も無かったようだ。


 翌日には冒険者ギルドが集めた人員が現地に到着。凍り付いたドラゴンの死体を切り分けて運び出す作業が始まった。


 これは難航したらしい。

 まず死んでいるとは言え、ドラゴンの外皮を切り裂くのは至難の業だ。そこでシャノンさんとエリスさんがとりあえず外皮だけを切り落としていったらしい。まあ、極寒の環境で生肉を放置していても腐るどころか凍ってしまうだけだからできた芸当だとも言える。


 その後、凍った肉を切り分けていき、肉の搬出が始まる。


 首についてはメルが滅多刺しにしてしまったため、価値は無さそうとのことだったが、一応切り落として運び出すことになったそうだ。


 結局、ドラゴンの死体は流れ落ちた血液以外、すべてが回収されたらしい。僕のパーティメンバーは荷運び人たちが到着した時点でアーリアに帰還したので、これは本当に伝聞の伝聞だ。


 さて冒険者ギルドとしては異例のことだが、ドラゴンの死体を手に入れたということで、僕らには報奨金が支払われることになった。依頼に無い対象の討伐で報奨金が出ることは本当にまれなんだそうだ。

 まあ、それだけドラゴンの肉を食ったという称号の欲しい人間がいるのだろう。

 あるいはドラゴンの各部位が高く売れるということなのかもしれない。


 一応、冒険者ギルドとしては冒険者がダンジョンで手に入れたものは冒険者のものである。だが今回は出るはずのないドラゴンの死体に、それを確認するために調査員を派遣し、また運び出すための人員、およびその護衛も冒険者ギルドが手配した。その分の差し引きが必要なので、報奨金という名目になったのかもしれない。


 ただリーダーであるメルにしか報奨金は渡せないとのことで、実際に僕らがそれを受け取るのはもう少し先になりそうだった。

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