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第16話 初めての狩りをしよう

 朝はランニングさせられ、ズタボロになりながら3日製材所で働いて、その翌日がメルの休みの日だった。


「狩りの日だー!」


「休みたい」


「それは駄目だよ。一緒に来てレベルを上げるか、製材所に行くか、どっちかだよ」


「それを言われると……」


 今日も絶賛筋肉痛だ。モンスターと戦うのであれば万全の体調を期したい。しかし手持ち現金は微増というくらいで休みを取れば一気にマイナス域に突入する。

 もっとも狩りにでかけても、僕がなにかの役に立つということはないだろうから、大した稼ぎにはならないだろう。


「僕、武器もなにも持ってないんだけど」


「森の入り口辺りならその辺で木の枝でも拾って振り回せば十分だって」


 そう言うメル自身はショートソードを腰に提げている。


「それで幾らくらいなの?」


「これ? 数打ちの安物で中古だけど、銀貨10枚だったなあ」


 手持ちの銀貨は7枚。残念ながら買えない。


「ナイフなら銀貨3枚くらいからであると思うよ」


「もうちょっと稼いでからかな。手持ち銀貨が5枚を割るのは怖いし」


「そうだね。ひーくんは入市税もあるし、余裕は持っておいたほうがいいね」


「分かった。行くよ。魔物と戦ったことは無いけれど、早めに経験しておいたほうがいいだろうし」


「うんうん。その意気だよ。じゃあ森までは走って行こっか」


「結局走るのかぁ」


 今日は早朝に起こされなかったと思ったら、そういうことだったのか。


 メルと2人でアーリアの町を出る。東に向けて道を走る。全力疾走ではなくジョギングくらいのペースだ。森に到着すればすぐに戦闘と言う可能性もあるからセーブしているのだろう。


 やがて遠目に森が見えてくる。途中で出てくるスモールスライムは踏んづけて倒していった。こいつらも一応農作物に害を為す魔物らしいが、討伐報酬は無いそうだ。弱すぎるのが原因で、農家の人でも簡単に駆除できるからだそうだ。


 一応、今の僕のステータスはこうだ。


柊 和也


レベル 2

体力 86/114

魔力 64/65

筋力 16(18)

耐久 13(14)

知力 22(23)

抵抗 10(10)

器用 16(16)

敏捷 11(12)

技能 キャラクターデータコンバート 異界言語理解

称号 異界到達


 レベルは上がっていないが、ステータスは多少上昇している。3日とは言え製材所で鍛えられたお陰だろう。この調子で上がっていくのであれば一ヶ月も製材所で働き続ければ、一般的な高校生くらいの値に追いつけるかも知れない。なお知力は除く。


「お、レッサーゴブリンだ。ひーくん、やっちゃえ」


 森に入ってすぐメルがレッサーゴブリンを発見する。僕の武器はその辺に落ちていた木の枝だ。メルがショートソードで枝打ちしてくれたので、木の棒くらいの見た目にはなっている。


 レッサーゴブリンも僕たちに気付いた。モンスターも魔物も習性は変わらないようで、2対1にも関わらず襲いかかってくる。僕は前に出てレッサーゴブリン目がけて木の枝を振り下ろした。


 レッサーゴブリンは小柄で、走る速度も遅い。当てるのは容易かった。がつんと鈍い音がして、木の枝はレッサーゴブリンの頭部を強打する。それで目を回したのか、レッサーゴブリンは地面に倒れた。


「いいよ、ひーくん。ほら、止めを」


「う、うん」


 倒れ伏した子どものような体躯の生き物に木の棒を振り下ろすというのは心理的抵抗が強かったが、現代日本でもダンジョンに入れば見慣れた光景だ。僕は何度も木の枝を振り下ろしてレッサーゴブリンが完全に動かなくなるまでそれを続けた。


 木の枝で小突いても反応が無くなる。魔物の習性を考えれば完全に死んでいると考えていいだろう。


「討伐証明は右の耳だよ。切り落とすには刃物が必要でしょ。解体用のナイフを貸したげるからやってみて」


 死んだ生き物から体の一部を切り取るというのは、先ほどにも増して抵抗感が強かったが、なんとか切り取りに成功する。


 こうして僕の初めての戦いは幕を下ろした。

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