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第153話 水着を買いに行こう 2

「暑っつ!!」


 家から一歩出た瞬間、まとわりつくような熱気に襲われる。

 レベルの上昇によって耐えようと思えば、全然耐えられる暑さなのだが、暑さの感じ方に変化があるわけではない。耐えられるが、暑いのは暑いのだ。

 一旦、家の中に戻った僕らは相談する。

 徒歩で駅まで行くつもりだったが、この暑さはヤバい。僕とメルはともかく、レベルの上がっていない水琴が。


「自転車で行く?」


「2人乗りは違反だろ」


「そっか、メルさんの自転車がないもんね」


「うーん、タクシー呼ぶか?」


 家から駅まではタクシーで千円もかからない。ちょうどワンメーターでギリ到着するくらいだ。

 自転車で行けばどうせ駐輪料金が2台で200円かかる。差額分が暑さを避けるための費用だ。

 そう考えるとむしろ安いのでは?


「お兄ちゃんが出してくれるならいいよ」


 僕は水琴の頭に手のひらを乗せて、ぐりぐりぐりぐりと回してやった。


「仕方ないか。タクシー呼ぶからリビングに戻ろう」


 僕はスマホでタクシー会社を検索して、電話をした。タクシー乗車アプリ? この辺は対応してないんだよね。

 待つこと10分少々、家のチャイムが鳴り、タクシーが到着したと分かる。


「じゃあ行こうか」


 ようやく出発できる。


 水琴も着替えてきたことだし、2人のファッションについて一応言及しておこう。


 メルは黒のワイドパンツに白のスニーカー、白いキャミソールの上から薄での白い袖なしでメッシュのカーディガンを羽織っている。頭には黒いキャップ。モノトーンの色合いから、赤色の髪の毛がワンポイントになっている。肩提げのバック。耳には石の付いていないシルバーのイヤリング。アーリアではアクセサリーを付けて歩くのは危険なので、日本ではおしゃれを楽しんでもらいたい。


 水琴はデニムっぽい色合いのウエストタックの七分丈ワンピース。歩き回ることになるのを分かっているのか、足下は赤色のスニーカーだ。色合い的にちょっと足下の主張が強い気がするが、メルの赤髪に合わせたのだろう。あとワンピースなのは、多分着替えが楽だからだ。ブランドものでは無いが、ちょっとだけ物が入りそうな手で持つタイプのバッグを持っている。


 一応僕はワイド目のデニムに、襟付きの七分丈シャツにスニーカーだ。カバンも財布も持ってない。現金はそのままポケットに、スマホケースにセットできるICOCAで全部。

 メルの隣を歩くのに相応しい格好かどうかは分からないけど、以前よりはマシだと思う。


 家の前に到着していたタクシーに乗り込む。まずメルを後部座席に、続いて僕も後部座席に乗ろうとしたら、水琴が割り込んで入ってしまった。

 運転手さんに、どうする? みたいな目線を向けられたので、僕はドアを閉めてもらうようジェスチャーして、助手席のドアを開けて座った。


「駅までお願いします」


「はい。シートベルトをお願いしますね」


 僕は言われるがままにシートベルトを装着する。後部座席では早速水琴がメルに何やら話しかけていた。多分、水着の話をしてると思うんだけど、メルが上手く回答できてるかだけ気になるな。


「近いのにすみません」


 運転手さんにワンメーターのために呼んだことを謝っておく。

 タクシー運転手の収入って当然乗車料金から会社に経費を差し引かれるわけだから、半分も手元には残らないんじゃないだろうか? つまり僕らを迎えに来て、駅まで送っていって、数百円ってことだ。それも下の方。なにせ僕らが払うのが680円だもん。


「いえいえ、利用してくれてありがたいですよ」


 まあ、確かに無収入よりはマシと考えるしかないのだろう。


「ちなみにイオンモール橿原まで行ってもらったら幾らくらいになるんですかね?」


「4000円いかないくらいですね。ただ夏休みなんで道が混雑してるともうちょっとかかるかも知れませんね」


 電車とバスの場合、電車で240円、バスで340円の580円が3人で、1740円だ。今回はもうタクシーに乗っているので2420円とも言える。タクシー移動は楽だが、やっぱり長距離はお金がかかりすぎる。


「やっぱり駅まででお願いします」


「ですよね」


 運転手さんは苦笑いしていた。もしかしたらって思ってしまったんだろう。申し訳ない。


「東側に付けたらいいですか?」


 駅は東と西に出入り口があって、東側が大和八木に向かう路線だが、ロータリーがあるのは西側だったりする。タクシーを駐めやすいのは明確に西側だけど、僕がイオンモール橿原に行くことを伝えたので東側に向かってくれるつもりなんだろう。


「東側でお願いします」


 ちょっとでも外を歩きたくなかった僕は迷わず東を選択。


 この駅周辺の街路は城下町の名残を残していてかなり狭いが、運転手さんは慣れたものですいすいと進んでいく。

 流石だなあと思ってるうちに駅に着いた。

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