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第125話 山岳に挑もう

 元旦の昼過ぎに起きた僕らはいつもの活動に従事する。魔石の換金と仕入れは済ませてあるので、レザスさんへの納品だけだけど。


 1月2日、僕らは赤の万剣と初めてダンジョンに挑む。今日は第41層までのポータル開通が目的だ。


「今日からよろしくお願いします」


「畏まることはない。君らは雇い主だ。むしろ俺たちが口調を改めるべきかな」


「このままでいいんじゃないでしょうか。確かに僕は雇い主ですが、冒険者としては後輩です。それもかなり」


「なるほど。ならばお言葉に甘えておこう。どうにも礼儀作法は苦手でね」


 赤の万剣は3人の前衛、2人の中衛、1人の回復魔法使いの6人パーティだ。その回復魔法使いも槍で武装しているという筋金入りの脳筋パーティ。基本、6人でタコ殴りにすることで狩りをしているのだという。


「ウチは全員が戦えるからパワーレベリングの寄生先としては優秀だ。殲滅速度が他とは違う」


「攻撃魔法使いは必要ないんですか?」


「攻撃魔法は短期火力としては優秀だが持続性がな。魔力が尽きると終わりだ」


 赤の万剣のリーダーはヘイツさん。両手剣を装備した純アタッカーだ。


 タンク役はドバルトさん。大型の盾と長剣を装備している。


 サブタンク役としてミハルさん。中くらいの盾と長剣。


 斥候役としてヤクトルさん。斥候と言うとシーフのイメージで短剣かと思いきや槍を装備している。


 リーダーでは無いが戦闘時の統制役をしているのがジョーイさん。槍を装備。


 回復魔法使いだというメリクさんも槍を装備している。


「36層までは開通してあるんだったな」


「ええ、はい」


「まあ、装備を見れば言わずとも分かっているか」


 アーリアのダンジョン第36層からは山岳のフィールドだ。それも階層が進むほど環境は厳しくなるんだそうだ。第36層はまだなだらかな坂道という程度だが、第40層付近では登山の装備が必要になる。


「36層だ。行くぞ」


 ヘイツさんが言って、僕らはポータルに突入する。ヘイツさんの提案で今回僕らはヘイツさんのパーティを割ってそこに参加している。いわゆるパワーレベリングの時と同じ組み方だ。


 何故そうするのかというと、実際のパワーレベリングに向けた慣しということがひとつ。もうひとつはレベルを上げなければ山岳を進むのは難しいという判断だ。護衛の分しかお金を払っていないのに申し訳ないが、赤の万剣がいいと言っているのでいいのだろう。


 緩い山腹に道は無い。ヤクトルさんがいなければ僕らは遭難した登山者のように迷いながらポータルを探さなくてはならなかっただろう。僕はできる限りヤクトルさんに引っ付いて、その技を盗もうとした。


 しばらくは魔物と遭遇する度にレベルが上がるという状態が続く。


 パーティを2つに割っているにもかかわらず、彼らの連携は見事なものだった。


 まあ、パーティ外の仲間の体力や魔力の値を感じられなくなるだけだと言えば、それだけのことだ。彼らは長年パーティを組んでやってきたのだろうから、これくらいはできて当然なのかも知れない。


 急激にレベルが上がることの弊害がなにかあるかと思っていたが、特にそういうものはないようだ。レベル1だったニーナちゃんやロージアさんも平気そうにしている。むしろ足取りは軽いくらいだ。


 第38層に入ったところで昼食を兼ねた休憩を取った。


「ここからは険しくなってくる。しっかり体力を回復させておけ」


 急激なレベルアップによって僕らの体力の上限値はかなり上がり、自然回復が追いついていない状態だ。小回復魔術を使って体力の回復を試みる。知力の補正値も上昇したためか、魔術の構成がいつもよりスムーズに構築できる。


 ただ小回復魔術は回復量が時間に対して固定値なので知力が上がったところで効率が上がるわけではない。体力の最大値が増えたことで、回復量が微々たるものに感じてしまう。


「中回復魔術を覚えたほうがいいのかな」


「俺らが教えてもいいが、魔術ギルドで誰かを紹介してもらうほうが安上がりだろうな」


 僕の呟きにヘイツさんが応じる。確かにレベル50を越えるパーティの時間を使ってまで教えてもらうことではないだろう。


 それにしても魔法ギルドとは別に魔術ギルドがあるのか。まったく別の技能だし、分かれているのも仕方がないのかも知れない。


 休憩を終えた僕らは再び山岳に挑む。

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