第114話 自己紹介しよう
翌日、僕の部屋でメルと合流した後、冒険者ギルドへ向かう。ニーナちゃんとロージアさんはすでに到着していて、2人で雑談に花を咲かせているようだった。年齢差こそあれ、気が合うみたいで何よりだ。
「2人ともお待たせ」
「メルシアさん、カズヤさん、おはようございます」
「お2人ともおはようございます」
「おはよう。これからはパーティメンバーなんだから敬語は抜きにしない?」
「じゃあ、そうするわね」
「皆さん私より年上なので、ちょっと難しいかも」
「無理強いはしないよ。ニーナさん。さあ、冒険者登録しよう」
僕らは受付に行ってニーナちゃんとロージアさんの冒険者登録を行う。お金はパーティ資金からだ。いつもの質問と説明があって2人は冒険者証を首に提げた。
「シャノンさんとエリスさんが待ちくたびれてるだろうから、ちょっと急ごう」
僕らは気持ち急いで西門へと向かう。そこではシャノンさんとエリスさんが仲良く待っている……はずもなく、角を突き合わせていた。今にも取っ組み合いが始まりそうな雰囲気で、西門から出て行く冒険者たちも彼女たちの傍を通るのを避けている。
「2人とも、お待たせ」
「遅ぇよ。冒険者ならもっと早く行動しろ」
「アタシより遅かったくせによく言うよ。こいつさっき来たところだぜ」
「まあまあ、2人とも。今日は新メンバーもいるから、この6人でポータルを開通できるところまでしようと思う。シャノンさんとエリスさんは何層までの敵ならソロで余裕な感じ?」
「アタシは7層だな」
「あたしは8層でもどうにでもなるぞ」
「あぁ? 大法螺こいてんじゃねぇよ。てめえの判断ミスで全員が死ぬんだぞ」
「できるつってんだろ。試すか?」
「こいつだけ8層に送り込んで、死ぬのを確認してから帰ろうぜ」
「おぉ、やったろうじゃねぇか」
「新メンバーはさっき冒険者になったばかりだし、今日は7層までポータルを繋いだら、そこで帰ろう。今日の魔石の半分はパーティ資金として僕が預かる。残りを分配ね。護衛を他のパーティに頼んだり、パワーレベリング中は魔石は全部もらうよ。代わりに月に金貨5枚を払う」
「月にって、今日はテレミスティスの月の終わりだぜ?」
「このおバカ、もらえるもんはもらっときゃいいんだよ」
「心配しなくとも今月は今月、来月は来月で払うよ。その代わり、今日は2人に護衛を頼むようなものだから、慎重に頼むよ」
「任せときな。要は近寄ってくる敵を全部倒せばいいんだろ」
「味方を守りながらだよ。とりあえずダンジョンに向かいながら自己紹介と行こうじゃないか。アタシはエリスだ。見ての通り武器を持って戦うのが仕事だ」
僕らは西門を出て西に向かう。歩きがてらエリスさんの提案通りに自己紹介を行った。改めて一同を紹介しておこう。
まずは僕、柊和也。レベルは5。特にできることがあるわけでもないので、雑務を担当することになる。
続いてメルシア。レベルは7。器用な軽戦士。ミスリル混じりの剣をどこまで使いこなせるかが彼女の課題だろう。
ニーナちゃん。レベルは1。回復魔法使い。熟練度はまだ低く、深手を回復するには時間がかかるという。
シャノンさん。レベル15。戦士。幅広のロングソードを軽々と振り回す。
エリスさん。レベル15。戦士。ベクルトさんのところでは剣を振っていたが、今日は槍を持ってきている。サブ武器として細剣も腰に提げている。
ロージアさん。レベル1。攻撃魔法使い。彼女も熟練度は低く、良く言えばこれからの成長が見込める。
今はでこぼこだが、パワーレベリングである程度は似たレベルに落ち着くはずだ。ひとまずこれがドラゴン退治を目指す僕らのパーティということになる。