表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

116/483

第113話 武器を新調しよう

 ロージアさんと別れた後、僕は冒険者ギルドに戻って明日のパワーレベリングの依頼を出そうと思ったのだが、メルに止められる。


「ニーナちゃんとロージアさんの冒険者登録もしないといけないし、2人は1層からだよ。シャノンさんとエリスさんがいれば7層くらいまでは楽々行けると思うから、明日は護衛を雇う必要はないんじゃないかな」


「そっか、パワーレベリングするにしてもまずはポータル開通の護衛が必要か」


「そゆこと」


 アーリアのダンジョンでポータルからポータルへの移動は階層にもよるが魔物と出くわさなくても1時間から2時間の間というところだ。階層が進めばもっと長くなるかも知れない。


 シャノンさんとエリスさんの力を借りて7層が限度というのなら逆にちょうどいいくらいだ。


「それじゃシャノンさんたちの泊まってる宿に明日はアーリアのダンジョンに挑むことを伝えに行こうか」


「そうだね」


「それなんですけど」


 ニーナちゃんが発言する。


「明日ってテレミスティスの月の最終日じゃないですか。月報酬の金貨5枚が発生しちゃいません?」


「そういやそうだっけ」


 スマホのスケジュールを呼び出すと、確かに明日がテレミスティスの月では最後の日だ。


「ん~、でも7日待つのもなあ」


 アーリアの月は周期が短い。どうせ3週か4週に1度、1人につき金貨5枚が発生するのだ。最初くらい1週でも仕方がないだろう。


「シャノンさんとエリスさんはもうパーティに入ってるんだから払えって言ってきそう」


「確かに」


 僕とメルは顔を見合わせて笑う。


「ニーナさんも、こういう時は最終日とは言え月内なんだから払ってくださいくらいでいいんだよ」


「1日働いただけで金貨5枚というのも気が引けて」


「まあ、気にすることはないよ。パワーレベリングを次回からにするだけで、金貨20枚くらいは浮くんだしさ」


「そういうことなら」


 僕らはニーナちゃんと共にシャノンさんとエリスさんが滞在する宿に向かって、明日の朝に西門の前で待っているという伝言を頼む。その後でニーナちゃんを家まで送っていった。ニーナちゃんとロージアさんは冒険者登録もしなければならないので、明日の朝、冒険者ギルドで待ち合わせということになっている。


「今日しておくべきことはこの辺りで終わりかな」


「日が暮れるまではまだ時間があるね。どうしよう。武器を新調しにいく?」


 僕らが使っている剣は中古のショートソードのままだ。銀貨10枚の数打ち品。防具に対して見劣りするのは事実だ。今後、ドラゴン戦を見据えて武器を今のうちに替えておくというのは手ではある。


「よし、そうしようか」


 僕らは職人街のほうに足を向ける。


「ジルさんはどこの武器屋に卸してるんだろうね」


「ん~、聞いたこと無いなあ。それに武器を選ぶのに知ってる人からってのは止めたほうがいいと思う。どうしても気持ちが引っ張られちゃうから。せっかくだからジルさんの打った剣にしておこうなんて考えたらダメだよ」


「そっか。自分の命を預けるものだもんね。一番自分に合っていると思ったものにするか」


「そうそう。それがいいよ」


 何件かの武器屋を巡って、僕は鋼で鍛造されたロングソードを、メルはミスリルを織り込んだ合金のロングソードを購入した。


 この世界のミスリルとは魔力を通すことで硬度が大きく上昇するらしい。魔力を通していないときは加工が容易な一方、曲がりやすく武器としては扱い難いが、魔力を通した状態であればドラゴンの鱗にも負けない強度があると言う。あと魔力を通すと青白く光って美しい。


 その代わりお値段も張って、メルは冒険者ギルドに走ってお金を下ろしてくる必要があった。


 格好良いので僕もミスリルの剣にしたかったが、戦いながら魔力を込めたり込めなかったりするだけの技量が無い。魔力を込めっぱなしにならできるだろうけど、それだとあっという間に魔力が枯渇してしまう。ミスリル製の武器は初心者向けじゃない。僕にはまだ早い。


 それから僕らは聖女ギルドに行ってそれぞれ金貨1枚を寄付する。職員さんがちょっとほっとした顔をしたのが分かった。まあ、14歳の女の子が100万以上寄付したわずか7日後にまた寄付に来たらちょっとびっくりするよな。


「しかし僕以外全員女性かぁ」


 ベクルトさんのところで女戦士2人を紹介された辺りからそうなる予感はしていたが、実際になってしまうとは。女性に囲まれて羨ましいと思われるかも知れないが、別に嬉しさみたいなものは全くない。特に前衛2人がアレだからね。アレ。


「斥候職の人も入れなかったねえ。ひーくん、できる?」


「まあ、地図係とか、周囲警戒ならやるよ。罠関係はどうしたもんかなあ」


「アーリアのダンジョンだと宝箱と地形系のトラップかな。地形は気を付けるとして、宝箱は手を出さないほうがいいかも」


「まあ、確かに」


 またミミックに食われるようなことは勘弁願いたいところだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ