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第104話 日本に戻ろう

 聖女ギルドは3人の回復魔法使いへの紹介状を用意してくれた。3人とも町の診療所で下働きをしてお金を貯めて冒険者になる予定だという。大抵の回復魔法使いがこのコースで、最終的には冒険者を引退して診療所に勤めるなり、自分で開設するのだそうだ。


「早速、今から、と言いたいところなんだけど時間がちょっとなあ」


 スマホを見ると18時を回っている。19時に家に戻っていなければ不審に思われる恐れがある。夕食に遅れたこと自体はメルを送っていたことにすればいいけど、なんでスマホが繋がらなかったのか、ということになるからだ。


「大丈夫だよ! 私が会ってくるから!」


「日がもう沈んでるし、ちょっと心配だなあ」


 聖女ギルドは3人の仕事先だけでなく自宅も教えてくれた。個人情報がガバガバだ。だから診療所が閉まっていても自宅を訪ねることができる。


「心配性だなあ。大丈夫だよ。どこも治安の良い辺りだから」


 アーリアが治安の良い町だということは身に染みて分かっている。冒険者たちが一番粗野なんじゃないだろうか。深夜ならともかく、これくらいの時間なら出歩いている人も多く、衛兵の巡回もある。


「あんまり遅くならないようにね。別に急いでいるわけじゃないんだから」


「任せておいて!」


 回復魔法使いと会うのはメルに任せて、僕はアーリアの自室に戻って日本の自分の部屋へとキャラクターデータコンバートした。こっそりと玄関に靴を持って行く。その足で2階に上がって両親に声を掛ける。


「ただいま、お母さん、メルが服のことありがとうって言ってたよ」


「じゃあ今度会ったときにどういたしましてって言っておいてね」


「分かった。伝えるよ」


「晩ご飯もうすぐだから支度手伝ってくれる?」


「了解」


 母さんを手伝って食器を出したり、お茶を用意したりする。水琴も呼んできて、家族で夕食を取る。


「水琴、友だちにはちゃんと釘を刺しておいてくれたか?」


「画像をネットに上げちゃダメなんでしょ。分かってるってば」


「分かってるならいいんだ」


 夕食を終えた僕は自分の部屋で勉強を始める。メルの様子を見に行きたいところだけど、この時間のアーリアだと見つける前に迷うのがオチだろう。


 勉強自体はかなり進んでいて、授業に追いつくのももう一息という感じだ。この調子なら期末テストには間に合うだろう。


 期末テストが終われば冬休みが待っている。


 2週間程度だが自由に動ける日が多いのはありがたい話だ。もっともメルは仕事が入っているだろうから、アーリアでどうこうって言うのは基本、土日になるだろう。


 そう思ってスマホのスケジュールを見ると元旦が土曜日だった。大晦日の夜からメルを呼んで初詣とかいいかも知れないな。そういえばアーリアの新年ってどう祝うんだろう。それも気になる。明日にでも聞いてみよう。

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