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ヴァンパイア・アビス  作者: スナマル
3/5

03 能力の使い方

少し間が空いてしまいました、今回はいつもより長めです。よろしくお願いします!



翌朝、博斗はまだ夜の闇が抜けきっていない薄暗い時間に目を覚ました。



「もう朝か・・・」



博斗は部屋を出てトイレで用を済ますと、何をするでもなくプラプラと廊下を歩いて回っていた。しばらく歩いていると小さなバルコニーがあることに気づいた博斗は、そこで少し景色を見ることにした。



「やっぱり異世界にきたんだよな、どの建物も西洋風だし、あそこにある城下町っぽい所もテレビで見たような感じだしね・・・僕が皆みたいにチート能力とか貰ってたら、もっと純粋にこの景色を楽しめてたのかな・・・・・・」



しばらくバルコニーからの景色を眺めていると、博斗は不意に後ろから声をかけられて振り返るとそこには寧々の姿があった。



「おはよう博斗、その、なんだ、昨日はよく眠れたのか?」



さっきの独り言が聞こえていたのだろう、寧々は気まずそうに、しかしとても心配そうに訪ねてくる。



「よく眠れたよ、でもやっぱりベッドとか毛布は僕達の世界の方が良いね、硬いしゴワゴワするし、あまり寝心地がいいベッドとは言えないよね」



博斗がやれやれといった感じで肩を竦めて見せると、寧々もやはりそこは気になっていたようで「そうなんだよね、やっぱり博斗もそう思ってたか」と言いながら困った顔をしていた。



「そう言えば、今日からもう戦闘訓練と能力の把握始まるんだよね?」



博斗がふと思い出してそう言うと、寧々の顔は先程までとは打って変わって険しくなる。



「そう・・だな・・・今日から始まる、なんでも最初は各々の能力の把握のためにまず訓練場で能力の使い方を聞くんだとか、そんなようなことを言っていた気がするな。」



「そうだね、嫌だな〜、僕の能力なんて、皆みたいにすごい能力じゃないし・・・使えるようになったところでって気がするしね」



博斗が半分冗談めかしながら自分の能力の事を話すと寧々はとても辛そうな表情で言った。



「博斗、ここからどんな危ない事があるのかわたしたちには分からない、でも無茶だけはしないと・・・・・・・・・今から約束してくれ」



寧々は真剣な顔で博斗を見つめている。

そう、いかに強い仲間がいて、今から訓練を受けると言っても弱い人間が戦地に赴くと言うことはそれだけ危険なことなのだ。それは現代日本に生き、戦争の無い平和な日常を謳歌していた自分たちでもハッキリとわかっている現実だった。

博斗は少し驚き、そして笑顔で告げた。



「大丈夫だよ、僕だって死にたくは無いしそもそも僕がいても他のみんなが敵を倒してくれるからきっと平気だよ・・・お姉ちゃん」



少し目を見開きながらも博斗の言葉に安心した寧々は、いつもの凛とした雰囲気を取り戻しながら、少し頬を染めながら博斗に笑いかける。



「君にその呼び方をされたのは何年ぶりかな」



「いつからか[寧々さん]になってたからね」



「ふふっわたしはいつでもまたそう呼んでくれて構わないぞ」



しばらく2人で話しをした後、博斗と寧々は一旦自分の部屋に帰るということになりバルコニーを後にした。



数時間後、博斗は部屋に迎えに来た使用人と一緒に訓練場へと向かっていた。



「昨日はあまり食事を取られなかったとか、お身体の方は大丈夫でしょうか?」



使用人は昨日博斗が早々にパーティホールを出ていったのを見ていたため少し気になっていたようで、この時間に体調の善し悪しを聞こうと思っていたようだ。



「全然平気ですよ、昨日はすみません・・・思ったより疲れてしまっていたので先に休ませて貰ってたんです」



「そうですか、それはそれは、しかしもし体調が優れない時があらばすぐにお声がけ下さい。すぐに対応させていただきます」



「ありがとうございます、ご心配おかけしてすみません」



使用人は任せてくださいと言わんばかりに胸をドンと叩いた、この使用人はきっと気配り上手の人気者だろう。


「あの・・・能力っていうのは大体どのくらいで使えるようになるものなんですか?」



「そうですね、普通ならば1日程度で扱えるようになるかと。」



(と言うことは早くても今日中には使えるようになるってことか、重力操作って・・・どのくらい重さをいじれるんだろうかせめて100キロとかに出来ればやり用はあったんだけど、あのメイドさんは荷物の重さを変える程度って言ってたよな・・・うんあまり期待しないでおこう)



「もし、少しよろしいでしょうか?」



重力操作について真剣に考えていた博斗は不意に横から声をかけられて慌てて返事をする。



「は!はい!なんでしょう?」



博斗が振り向いた先には金髪ロングヘアに白い肌、それと緋色の目が特徴的な綺麗な女の子が立っていた。青いドレスを来ていて明らかに姫様然としていることからこの城の姫なのだろう。



「驚かせてしまいすみません、貴方は先日異世界から来て下さった勇者様ですよね?私はこの国の第3王女の "アリス・クーデルタ・オルメナス" と申します、どうぞ宜しくお願いします」



「あ、どうも暁博斗です、よろしくお願いします」



博斗は突然のことに面食らいながらも挨拶を返した、ふとこちらの世界で名前を書く時は何の字で書けばいいのだろうなどと頭に浮かんできたが、今は関係ないので置いておくことにした。



(後で使用人さんにでも聞いてみよう)



「アカツキヒロト様・・ですね?ヒロトとお呼びしても良いですか?」



「大丈夫ですよ、えっと・・・アリス・クーデルタ・オルメナス様」



「私の事は気軽にアリスとお呼びください、親しい人は皆そう呼びますから」



「分かりました、アリス様、改めてよろしくお願いします」



博斗とアリスは自己紹介のあと数分ほど話していたが博斗の集合時間が近いことを使用人に告げられ、アリスと別れて訓練場に向かった。



(アリス姫か、物語とかに出てきそうなくらい綺麗な人だったな・・・)



訓練場に着くと既に雅紀達やほかの生徒も集合していて博斗が1番最後だった。



「おそいぞ博斗!ほらこっちこっち!」



雅紀に声をかけられ博斗は使用人にお礼を告げ雅紀達に合流した。

明らかに他の皆がこっちを見ている気がしていたが博斗も多分こうなるだろうと予想していたのであまり気になることはなかった。



「おはよう博斗!今日から訓練頑張ろうね!」



「うわわ!」



紅に思い切り背中を叩かれ博斗は思わず背筋を伸ばす。



「おはよう紅、今日も朝からすごい元気だね」



博斗は若干嫌味を込めつつ背中をさすりながら紅に挨拶をかえした。

寧々も既に来ていて今は訓練の教官っぽい人と話している、教官は短く切りそろえた銀髪で体格もなかなか良いのでおそらく結構強いのだろう。 何やら真面目な話をしているようで、2人共真剣な顔だ。



「よーし集まったな、まずはギフトがどんなもんかお前さんらに見せてやろう、危ないからちょっとだけ下がってろよ」



先程まで寧々と話していた教官は博斗に気づくとそう言うなり近くの大岩に向かって両手を差し出すと、



「スマッシュ・ボルト!!!」



教官が叫ぶとその両手のひらから目のくらむような光の束が発射され、大岩の4分の1程を削り取った。この教官のレベルはLv5であり今使われた技は電気系の能力者の中でもかなりオーソドックスなものなのだがそれでも岩をも削り取る力を持っていることからクラスメイト達のレベルの異常さがよく分かる。



「ま、こんなもんかな・・・お前達は俺なんかより断然高いレベルなんだ、こんな岩なんて簡単に吹き飛ばせると思うぞ」



「おおぉマジかよかっけー!」



慎也が目を輝かせている、博斗達にとって魔法は想像上のものでしかなく自分たちが使えるなどと思っていなかったし当然見たことなどなかった。その魔法が今目の前で使われたのだ、博斗も大分興奮しながら岩と教官を交互に見ている。



(やっぱりいいなぁ魔法は!僕の重力操作だって、訓練頑張らなきゃ!まだLv1だし頑張ればきっと強くなれるはずだしね!)



「自己紹介が遅れたな、オレはオルメナス王国練兵団第3師団隊長のライルだ、これからお前達の教育係をすることになってるからよろしくな」



自己紹介をしてライルは爽やかな笑みを浮かべる、このライルは第3師団の団長でありながら近接戦ならば王国内で1・2を争うほどの位置にいる使い手なのだが、ライルは身体中の筋肉に電流を流して通常の何倍ものスピードと攻撃力で戦う戦闘スタイルでありあまり能力を教えるのに適した人間ではないのだが、これから王国の大事な戦力となる勇者達の教育係ということで護衛も兼ねて実力者が選ばれた。



「いいか、ギフトを使うことに1番大事なのはイメージだ、例えば火の能力者なら燃え盛る炎、光の能力者なら眩い光を想像したりするが、まあイメージの仕方は十人十色、要はどんなイメージでも使えりゃあいいんだ」



(な、なんてざっくりとした説明・・・でもそうか、イメージ・・・イメージね・・・ん?でも重力操作のイメージってどんな感じだろう)



あまりにざっくりとした説明に博斗はびっくりしながらもイメージし始める。



「こんな感じ?むむむ・・・」



雅紀は手を前に出すとイメージしているのか唸り始めた、すると雅紀の手のひらから拳大の火球が飛び出て岩に当たった。威力こそ低いもののすぐに出せたことに大して雅紀は目を輝かせている。



「すっげ!なんか出た!なるほどな!コツ掴んだかも!」




(おぉ・・・すごい! よし、僕もやってやる・・・じゃあまずは僕の体重を軽くできるかな)



博斗がそう思いイメージをすると、博斗の全身が淡い光に包まれた、そして光が消えると博斗はとてつもなく体が軽くなっているのを感じていた。



(な・・・!! なんて軽いんだ・・・まるで重さを感じないぞ・・・ ちょっとジャンプしてみようかな・・・)



能力の発動を感じ取れた博斗はどのくらい軽くなったのか試してみるためにジャンプしてみることにした。膝を曲げ、思い切り上に飛んだ瞬間に驚愕する、博斗は悠に5mは跳んでいたのだ。



「うお!博斗、お前そんな事出来んのか!」



驚いた雅紀が下から声をかけてくる、しかも体重を軽くしたからか、やたら滞空時間が長い、ゆっくりと博斗が着地すると、今度は紅や寧々も驚きの言葉を投げかけてくる。



「すごいすごい!重力操作ってそんな事もできるんだね!」



「それはなかなか便利だな、偵察とかにも役立ちそうだ」



(あいつ・・・確かヒロトとか言ったか、あれが貴族達が話していた1人だけギフトを貰えなかった落ちこぼれくんって事だよな・・・すぐに重力操作を使いこなす器用さに、力をいきなり自分にかけるという発想力と言い、そんなに酷くはないと思うんだが・・・ まあ貴族達の考えることはいつも分からんし別に気にすることも無いか、それに・・・・・・・・・」



ライルは博斗を見ながら首を傾げるが、とりあえず全員の能力を見るために周りに意識を向ける。



博斗も今の成功に少なからず手応えを感じたのか、手のひらもぎゅっと握り、その手を見つめながら少し笑顔になっている。



「はん!そんな高く跳ぶだけなら俺らなら身体能力5倍を使えばすぐできるっしょ!暁もやるだけ無駄だからやめとけって!怪我すんぜ!」



「ふふっやめなって慎也、暁も頑張ってやれること探そうとしてんだからさ〜」



慎也とその他のクラスメイトが嘲りの表情で博斗を見ている、博斗はあまり気にした様子もなく、次にやれる事を探している。



(こんなことみんなできるか、確かに・・・でもせっかく能力があるんだ、自分にできることがあれば積極的にやっていきたいし、次は武器を軽くして攻撃の瞬間だけ重くすれば、多少戦えるんじゃないかな、でも今はなんも武器持ってないしなぁ)



反応のない博斗に気を悪くした慎也は、雑魚だの無視すんなだの好き勝手に暴言を吐いている。

しかし博斗が大して気にしていなくても黙っていない人間がいた。そう山川寧々だ、その顔はいつになく険しくなっている



「おい」



その声の聞いたことがないくらいのあまりの冷たさに博斗も雅紀も、紅ですら驚きの顔で呆然と寧々を見ている。そしてあたりの空気がいきなり凍りついた、比喩ではなく、訓練場全体が凍りついているのだ。



「何をふざけた事をガタガタ抜かしている、そんなに優越感に浸りたいのかお前達は、人を馬鹿にするのも大概にするんだな、博斗が許してもわたしが許さない、次にわたしの前で博斗を馬鹿にしてみろ・・・・・・・・・・・殺すぞ」



慎也の耳スレスレを鋭利な氷の刃が通過する、慎也達同級生は普段は優しい優等生の山川寧々しか知らず、突然の変貌ぶりに驚きを隠せないでいる、寒さで震えているのか恐怖で震えているのかは分からないが、その体は小刻みに震えている。



「寧々さん僕は何も気にしてないよ、それにこれ以上寒くしたら寧々さん風邪ひいちゃう」



博斗に宥められた寧々は、はっとした顔になり顔を赤くして俯いている。



「すまない、つい我を忘れてしまった」



「大丈夫だよ、体の調子は悪くない?」



「ん、大丈夫だ」



「訓練場全体が氷漬けになってるよ・・・寧々さん強すぎるでしょ・・・・・・」



落ち着いた寧々を尻目に雅紀と紅が唖然として訓練場を眺めている。これには流石のライルも驚いたようで、口をあんぐりと開け目を点にして寧々を見ている。



「は、はは・・・こんな氷使い見たことねえぞ、Lv10・・・おっそろしい強さだな・・・・・・俺既に勝てないかも・・・」



ライルは若干自信を無くしたような顔で空を仰ぎみている、相当ショックだったようだ。



「まあ今日のところはこんくらいにしとくか、各自イメージだけは怠るなよ、お前達の能力はまだ不完全なんだ、できるだけ早くイメージを固めなきゃな」



そう言うとライルはさっさと訓練場を出ていった、それについて行くように慎也達もそそくさと出ていく。



「寧々さん大丈夫?」



紅が心配そうな顔で寧々を見ている。



「うん、もう大丈夫だ、すまないな心配かけて」



「まーみんな初めて能力使って疲れただろうし・・・今日もとりあえず部屋に戻って寝た方がいいな!じゃあ皆おつかれ!あ、博斗はちゃんと寧々さん部屋に送ってから戻れよ!」



「じゃあ私も帰るね、博斗!ちゃんと寧々さん送ってから帰ってね」



皆に続いて雅紀と紅も博斗に謎の忠告をしてから帰って言った。おなじ王宮内なのに何故わざわざ?等と思いながらも博斗が寧々の方を向くと、寧々は顔を真っ赤にして俯いていた。もしや気分が悪いのかと心配した博斗は寧々に心配そうに問いかける。



「お姉ちゃん?ちょ、大丈夫?もしかして体調でも悪い?」



「ん、あ・・・あぁ、大丈夫大丈夫、じゃ、じゃあ帰るとしようか!」



博斗は首を振り慌てて歩き出す寧々に首をかしげながらもついて行った。



「じゃあ博斗・・・また明日な」



「うん、僕の部屋はここまっすぐ行ってすぐの所にあるから」



「え、それって・・・部屋に・・・?」



寧々がボソボソと呟いていたが、博斗には何を言っているのかよく聞こえなかった、



「え?何?」



「あ、いや何でもない!じゃあまた明日な!」



「うん、また明日ね」



博斗が自室へ行き見えなくなると寧々は部屋に入り深いため息を吐いた。こっちに来てからおかしい・・・いつも冷静になれていたのに急に隠せなくなってきている、無いとわかったいるのに変な期待をしてしまう。



「・・・・・・・・・・・・・・・にぶちんが」



寧々は顔を高揚させながらボソッと呟いた。



(今日も疲れた・・・)



自室に戻った博斗はベッドに倒れ込むと今日のことを思い返し始めた。



「寧々さんの力には驚いたな、あんなこともできるなんて、やっぱり便利な能力はいいな」



博斗はそう呟くと少し悔しそうに天井を見上げた。



「でも僕だって今日は結構手応えあったし、明日からも頑張ればきっと強くなれるはずだよね、そのためにもイメージで色々な使い方を考えておこう」



そう呟くと博斗はイメージトレーニングを始めた。親友や幼なじみ達に追いつくために。







自室で紅茶を飲んでいたライルは今日の訓練のことを思い出していた。やはり異世界から来たと言うだけあり、皆とんでもない魔力と力を持っている、面白くなりそうだなとライルは不敵に笑う、だが1つ解せないことがあった。



「重力操作ってのはあんな事も出来たんだったかな・・・」



ライルは今日の博斗を思い首を傾げる、重力操作のLv1というのはせいぜい出来て5kg程度を減らすか増やすか、しかも自身にはかけられないと言ったお世辞にも使い勝手が良いとは言えない能力だ、だが今日の博斗は何をした?自身に能力をかけ、ましてや体重をあそこまで軽くするなど普通ならば出来るはずもないこと。



「ちょっと調べてみるかな」



そう言うとライルは空になったカップを机に置き、自室を出ていった。

文章力が気になりすぎる、、、

ちゃんと書けてるか心配になります、、、

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