02 異世界召喚とギフト
すみません、吸血鬼はまだ出せませんでした!
今回は異世界の説明みたいな感じで書きました!
「な、なんだよ、これ、、、」
「ここどこ?私たち教室にいなかったっけ?」
まだ教室に残っていたほかのクラスメイトたちから次々に声が上がる、まだ誰もが突然の異常事態に理解ができず、思考が停止しているようだ。
周りの人々が口々に困惑の声を上げている中、博斗は冷静に、しかしとても興奮しながら頭の中で叫んだ、
[こ、これは、! 異世界召喚じゃないのか!?]
博斗はかなりのオタクであり、その類の小説やライトノベルなどもかなり読み漁っている、その中のどれに照らし合わせて見てもこの状況は異世界召喚と言うほかにない状況だった。
今いる場所はかなり広いホールのような場所の真ん中だ、その目の前にはこれでもかと言うほど大きい玉座に王冠を被ったいかにも偉そうなおっさんが座っている、これは異世界召喚だと断定してもいいだろう。
(でも僕ってチート能力とか得てるのかな、、あまり変わった気がしないんだけど、、、)
博斗がのん気にそんなことを考えていると、今までずっと静観していた王様がやっと口を開いた。
「よく来てくださった、異世界の勇者たちよ」
(キターーーーーーーーー!!!)
博斗は心の中で歓喜の叫びをあげ、渾身のガッツポーズをしながら王様を食い入るように見つめていると、周囲で騒いでいたクラスメイトの1人が声を上げた。
「ちょ!いきなり何言ってくれちゃってんの?どゆこと?ここどこだよ?いきなり勇者様とか言われても何言ってんのかわかんないんすけど?ちゃんと説明してくんない?」
口早に王様をまくし立てるのは博斗がおそらくクラスで1番チャラいだろうと勝手に思っているクラスメイトの高嶋慎也だ、金髪にピアスで制服を大きく着くずしシャツを出している典型的なチャラい風貌の彼はおそらく博斗と違って異世界ものなど知る由も無いだろう、かなり混乱した様子だ。
「まあ落ち着け、突然呼び出してすまないと思ってる、まずは簡単に説明させてもらうとここはそなたらのいた世界とは全く別の世界になる、そなたらをここに呼んだのは他でもない、今この世界アギスフィートの人間達は滅亡の危機に瀕している、その危機から脱するために、そなたら異世界の勇者を呼んだのだ」
(うわ〜素晴らしいほどテンプレの嵐だな、、でも、いい!まさか自分が異世界召喚されるなんて思っても見なかったけど、テンプレの嵐ってことはチート能力も多分ある!これに興奮するなと言う方がおかしいよ!!)
「はあ?あんた頭おかしいんじゃねえの?異世界だとか勇者だとか、そんなアニメみたいなこと言って、なんか危ない薬でもやってんじゃねえの?」
最もだと言える反応をする高嶋に、しかし周りにいた騎士たちは殺気を隠すことなく向ける。
「貴様、陛下の御前だぞ、すぐにその無礼な態度を改めなければいくら客人と言えど容赦はしない」
「え、ちょ、その剣本物?嘘でしょ?えぇ?これまじで異世界とかそんな感じなの?待って待ってわかったって」
騎士に剣の切っ先を向けられた高嶋はすっかり萎縮して両手を上げて何歩か後ろに下がる。
(これは確定だな)
博斗は心の中でバンザイをしながら高嶋と王様のやり取りを見ていた、そこでようやく周りの雅樹たちやクラスメイトたちも思考が追い付いたようで、みなすっかり青ざめてしまっている。
「人類の滅亡の危機ってどう言うことですか?わたしたちはその危機とやらに一体何ができると言うのですか?」
おそらくこの中で1番冷静であろう寧々がみんなの言葉を代弁して王様に質問をする。
「その質問には私がお答えします」
そう言って王様の周りにいたメイドの1人が説明し始める。
「先程陛下が仰られた通り、ここはアギスフィートと言う、あなた方がいた世界とは全く別の次元にある世界です、近年アギスフィートでは吸血鬼や鬼人、龍人、オークなどの魔族と呼ばれる種族の数が増えていて人類にとってはとても危険な状態になっています。そしてここオルメナス王国の周囲ではその中でも飛び抜けて力をつけて台頭して来ている吸血鬼達が暴れまわっているのです。そのため我らオルメナス王国は奴らに対抗するべく、あなた方勇者様を異世界からお招きしたわけです」
「、、わたしたちに、その吸血鬼たちと戦えと?一介の学生でしかないわたしたちに、本気でそのようなことが出来るとでも思っているんですか?」
寧々は湧き上がってくる怒りを押し殺しながら再度質問を返す、今まで戦争も何もない平和な世界の普通の高校生をしていた寧々にとっては理解しがたいことなのだろう。
「元の世界からこちらへ来るとき、あなた方はそのための力、ギフトを受け取っているはずです。自分から見て右上を見て[ステータス]と念じていただけばステータスウィンドウが表示され、その力がどのようなものかわかります」
(おお!そんな簡単にわかるのか!これは早速見てみるしかないかな!)
博斗は聞くや否や、ステータスウィンドウを開いた。
暁博斗 16歳
種族 :人間
ギフト: 重力操作Lv.1
(重力操作て言うのは文字通り重力を操るってことかな?重量を操れるなんて、これはなかなか凄いんじゃないのかな?)
「ステータスウィンドウには個人の名前、種族、あとギフトが表示されます。ギフトとは人がこの世に生まれる際に必ず1つだけ与えられる神の祝福の事です。通常なら絶対に2つはもてないのですが、あなた方異世界の勇者様は2つ受け取っていると思われます」
(ん?ギフトが2個あるはずだって?おかしいな、)
博斗が不思議に思いながら自分のステータスを見つめていると、
「それってチートとかそう言うのじゃない?ほら博斗が好きで前進めて来てた漫画にも出てたやつ」
今の話を聞いて、隣にいた雅樹がそんなことを言うと紅や寧々も思い出したように言い始める。
「あぁ!覚えてる覚えてる!私も読んだもん!てことは私たちってああいう超強い力を持ってるの?」
「うん、チート系はわたしもかなり好、、、そ、そうだな!確かに博斗が読んでいたものにそんなものがあったような気がする、博斗が!」
うっかり口を滑らせそうになり慌てている寧々を見て、今更隠さなくとも雅樹たちにはバレているのに、と博斗は思わず苦笑いする。
「全員ステータスの確認が済みましたら、こちらでもステータスを知っておきたいので順番に玉座の前の机に置いてある紙をお取りください」
全員が言われた通りに紙を取り終えると、メイドがさらに話し始める。
「紙を持ったら今度は、紙に手のひらをつけ、また[ステータス]と念じて下さい。先程見えたものと同じステータスが紙に浮かび上がるはずです」
博斗たちが言われた通りに念じると、紙にステータスが浮かび上がった。
「おおー!凄いなこれは!しっかり名前まで出て来たぞ!」
雅樹が感嘆の声を上げる、他の生徒たちも同様に紙を見せ合いながら驚きの声を上げている。
「それでは順番にステータスを見せていただきます、準備ができた方からこちらへまだ来て下さい」
メイドがそう言うや否や、先程まで萎縮しきっていたはずの高嶋慎也が手を挙げた。
「はいはい!じゃオレいく!」
そう言うと早速前に出て行き、自信満々に紙を見せつけた。
慎也に続くようにして他のクラスメイトたちも続々と紙を出し始める。
高嶋慎也: 16歳
種族: 人間
ギフト: 光属性魔法Lv.10 身体能力5倍
相楽志之助: 16歳
種族:人間
ギフト: 土属性魔法Lv.10 身体能力5倍
宮下香恋: 16歳
種族:人間
ギフト:聖魔法Lv.10 身体能力5倍
さらに他の生徒も出し終え、博斗たちも紙を出す番になる。
一条雅樹: 16歳
種族:人間
ギフト:炎魔法Lv.10 身体能力5倍
緋扇紅: 16歳
種族:人間
ギフト:治癒魔法Lv.10 身体能力5倍
山川寧々: 17歳
種族:人間
ギフト:氷魔法Lv.10 身体能力5倍
(?! あ、あれ? なんでみんなすでに魔法のレベル10なの?僕1なんだけど、しかもみんなのギフトほんとに2個あるし、なんか嫌な予感がするぞ、)
「うむうむ!流石に皆すごい能力ばかりではないか!これは期待できるぞ!最後の1人も見せてもらって良いか?」
王様は他の生徒のステータスをみて満足そうに頷くと最後に残った博斗の方を見た。
「あ、あぁ、はい、わかりました」
博斗はぎこちなく紙を広げて見せた。
暁博斗: 16歳
種族:人間
ギフト: 重力操作Lv.1
「お、おぉ、重力操作とはこれは珍しい魔法ではないか、戦闘向きでは無いがな、しかしなぜギフトが1つだけなのだ?異世界から来た者には絶対に2つギフトを有しているはずなのに、」
王様は明らかにガッカリした顔になり、ギフトが他の人より少ない理由をメイドに聞いている。
「私も2つ、、と聞いていましたので断定はできませんが、転移時のなんらかのトラブルで彼だけ1つになってしまったかと思われます」
「そ、そうか、では仕方ないな、うむ、それで重力操作のLv.1とはどのようなことが出来るのだったか?」
「出来て荷物の重さを変えられる程度でございます」
「ふ、ふむ、ではヒロト殿にはサポートに回ってもらった方が良いかもしれんな、まあ、何はともあれ!異世界の勇者様がた!本当によく来てくださった!人数分の部屋を用意している!今日はここまでにして部屋でゆっくりと休まれよ!」
(え、ちょっとまってよ、荷物の重さを変えられる程度て、ほぼ役立たずじゃないか、、、)
「暁くんちゃんとギフトもらえなかったんだ、」
「ぷふっ、重力操作って名前は格好いいのに荷物持ち要員じゃん」
(あぁ、周りの声がやけに鮮明に聞こえる、耳が痛い、、)
「博斗!そんながっかりすんなって!なにかのはずみでめっちゃ強くなるかもしれないぞ!相手の体重を10トンにしたりとかさ!」
雅樹が元気付けようと声をかける、雅樹のような裏表のない人間にこう言う言葉をかけられると少しだけ、沈んだ気持ちも楽になってくるもんだななどと思っていると紅や寧々も口々に励ましてくれた、博斗は少しだけ元気になって玉座の間を後にした。
玉座の間を出てから博斗たちはパーティホールのような場所に案内され、豪勢な料理が振る舞われた。
皆絶賛しながら食べていたが博斗はあまり食べる気にならず、少し食べてから与えられた自室に行き休むことにした。
ホールを出るとき紅が心配してついて来てくれようとしていたが少し1人になりたかった博斗はやんわりと断ってホールを後にした。
部屋に入るとそこは大体12畳くらいの大きさで隅に木製のベッドがあり、反対には机、姿見などが置いてあり、ホテルの一室のようなそこそこ快適な空間だった。
博斗は部屋に入るなりベッド倒れこむように横になると天井を見上げる。
「ステータス」
博斗はそう呟くと視界に写っている自身のステータスをもう一度見つめる、変わらずそこに写っているのは自分の名前と種族、そして重力操作Lv.1だけで博斗は深いため息をつく。
「こんなステータスで、明日からやっていけるのかな、、」
憧れていたはずの異世界召喚を今まさに経験していると言うに、その理想とのあまりの違いに博斗はもう1度深いため息をつく。
「何かできることを見つけなきゃ、重力操作にもまだ他に使い道はあるはずだよね」
そう呟くと博斗の意識は静かに闇に呑まれていった。
やっぱり文章力の拙さが目立ちますね、
中・高生の時もっと勉強しておけば良かった、笑
次回の投稿はいつになるかわかりませんがよろしくお願いします!