なろう読者の共感力は作者が思うより高かった。
はいどうも黒井です、時々エッセイで自分が思う事を好き勝手に言っているおっさんです。
本日の思う事はこちらです。
『よく、皆さんがなろうで鬱展開は避けろと仰りますが、そんな話でもしっかり読んでくれますよ?』
皆さん鬱耐性があるというか重たい話でもきちんと読んでくれますよって事です、もちろん軽いお話の方が好まれるのは分かります、ですがきちんと設定や世界を練って何故どうしてそうなるのかを自分が出来るだけ丁寧に語った時、予想以上にきちんと共感し読んでくださる方が多いのだと知りました。
私は長編で重いテーマの作品を書いています、チートによって滅びる世界の危機、それを送り込む神とは何か、チートが望みを叶えようとする世界の裏側で起こる悲劇とは、搾取される人々が感じる悲哀等、決して軽くは済ませる事が出来ない重たいテーマを持った作品です。
人々の喜び悲しみ怒り絶望、そして僅かに残った希望、全て纏めて作中の世界で起きた事を精一杯の文章力で、私の持てる技術で出来るだけ丁寧になぞって書いています。
鬱展開と呼ばれるような展開も多く決してなろう向けではないですが、それでも比較的早めに底辺を越えました、こうなると皆さんが言う鬱展開は避けろというのは実際は大げさな話なのではないか?などと考えてしまうんです。
そりゃ確かに、テンプレチートハーレムが急に陰鬱な寝取られ物になったとかだと発狂しそうな層は一定層居るんだろうなーと思います、ですがそれにしっかりとした理由があれば、寝取られと騒ぐのは特定層の声がでかい人だけじゃないの?と思ったりするんです。
大概の方は感想や自分の意見を言わない、所謂恥ずかしがり屋の日本人気質という感じでしょうし、納得している時は特に声を上げる事などしないでしょう、そういった鬱展開が来ても精々『へぇ、今回はこういう展開なのか』と読み進めるんだと思います、気に居ならなければそこで静かに立ち去るだけだと思います。
作者側がストレスフリーな作品しか受けないと思っているのは、実は読者をバカにする行動なのではないか?そう思うのです、そして集まるのは声がでかい特定層で、それを相手にするから疲弊するんじゃないの?と考えたのです。
我々日本人は物語に快楽だけを求める子供ではないと思います、作者もしっかりとした世界を書き上げ納得できる理由さえあれば、所謂オタク以外にも認められるような良い作品になるのではないか?そんな事を思います。
オタクという層は日本全体で見ればあくまで小さなマーケットです、ですが一般にも読まれる事は非常に大きな層を巻き込んだ物になる、アニメなどでも一般人も知っている作品は、そういった苦痛や苦悩を越えた先のカタルシスを上手く表現している作品が多いように思います。
ですので、なろう原作で夏にアニメで大コケした作品と、以前大成功した作品の差は苦労とか悩みなんかへの共感が関わっているのではないかと愚考したのです。
私はそれも知りたくて重たいテーマで話書いています、非常にシビアな選択を読者に投げかけますし、それが嫌な方は読まない方がいいと断りを入れていたりします、それでもお話の扉を開く方はそれなりにいますし厳しい展開だからといって彼らを見捨て読むのを止めるような方も殆ど居ません、場合によっては逆に苦難に立ち向かう主人公を応援したいと一気に読者が増える時すらあるし、主人公に負けるなと感想や応援のメッセージまで頂けています。
ですから私はテンプレで中身の無い話が受けているのは、実はそれが供給が一番多いからその中で選んでいるだけで、テンプレを書く人が多いだけでそれ位しか書けない人が増えているから、結果としてなろうではテンプレが流行っているんだと思います。
書く側としたら非常に分かりやすい金・暴力・女だけ書けばいい、そんなヤクザ成り上がり物がテンプレチートの真髄だと思います、おばあさんがクッキーを焼くクリッカーゲームが流行った様に、どんどん増える数値を日本人は大好きです。
その習性を利用すれば話の薄さをステータス・スキルの量で誤魔化し、話の元ネタだってゲームなんかの知識が少しあれば問題ない、後はアニメで見たような女子を適当に配置して、その子たちの性格をギャルゲーエロゲーで見たような男にとって都合のいい女に仕立て上げ、後は適当にギャルゲーエロゲー辺りのイベントを散りばめれば出来上がり、ね?簡単でしょ?
そんな簡単な物しかなろう読者が本当にそんな物しか求めないなんて、余りにも酷い決め付けだと思いませんか?なろうは一般の人が考えるような所謂『キモオタ』ばかりなのでしょうか?そんな人間が110万も集まった世界なのでしょうか?
少なくとも、ここまで重たい話を書いて評価を頂いた私はそうとは思っていません、上手く行っている作品にストレスフリーが多いのは事実でしょうが、そうでない知性を感じる作品や心を揺さぶる作品はテンプレに埋まってて読まれていないだけで、読者の方はそういう所謂重い話も大丈夫で人によって喜んでくださいます。
そういったものは残念ながら書くのが非常に難しく、いろんな知識や経験、共感力という所謂人生経験が無いと書けないのがネックなので、テンプレに比べ少なく埋まってしまっただけだと思うのです、私自身きちんと書けているかすら分からずに、それでも描きたいと書いています。
ですがテンプレにも酷く共感を覚えた文章もあります、例えば集団転移のテンプレでイジメやいじめられるシーンです、時々妙にリアルな作品があります、あれは作者の経験が役に立っているのだと思います、恐らくどちらかを経験したのでしょう、そこにはやはり共感を呼ぶ文が書かれ、主人公の惨めさや恨みが伝わる生きた文章だと感じます。
ああいうのを見ると、実は本気を出していないだけで作者側も書けるのではないか?と思う瞬間でもあるのです。
皆さんが自身の経験を元にして、その上に物語を生きた文を書いた時、読者の心を共感させる名作が生まれるのかもしれもしれない、そういった作品が多く並ぶなら、なろうの作品だってきっと今より面白くなるのではないか?と私は思ったりするのです。