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神にデスゲームで皆殺しにしろと迫られたので、誰も殺さないで生き延びることにした。  作者: 火烏陽太郎
水の咆哮

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水の咆哮 第1章-6

 午後6時40分。

 新緑高校校舎にある生徒会室。その中に一人、黙々とパソコンで作業をする少女がいた。

(こんな日でも、仕事はあるものね)

 軽快なタッチでパソコンに入力をしていく少女——水無月メイ。生徒会長とNINJAの構成員を兼ねる彼女には、平素から仕事が大量にあった。


「——よし、終わり」

 最後のタイプを終え、開いていたデータが閉じられる。

「あとは何か新しい情報がないか確認して、ご飯にしますか」

 メイが操作している端末は、NINJAから支給されたもの。その端末は、イントラネットで繋がっており、NINJA内部の情報がやりとりされている。

 新規メールがないか確認をし、続けて掲示板を見ると、

「なに……これ」

 掲示板上には、


『特殊作戦実施状況』


なるタイトルがあった。

「こんなもの、今まで掲示板にはなかったはず」

 嫌な胸騒ぎを覚えたメイは、そのタイトルを開く。すると、


「……ッ!」


 怒りがこみ上げてくる。まず目に入ってきたのは、名前は隠されているものの、明らかに神皆葉の行動状況だった。それを襲おうとするNINJAの状況も書かれている。そして、そのタイトルを掲載した人物は——豪紅蓮。

「問いつめないと——ッ!?」

 生徒会室を出ようとしたところ、突如火災報知器が鳴り出した。

「いったい何が?」

 メイは音の鳴り響く部屋へとかけていく。



 *   *



 午後7時50分。

 職員室にて神代神奈は、豪紅蓮に問われるまま様々なことを話していた。

 最初は敵との問答ということで警戒していた神奈だったが、紅蓮が自分のことを先に話してきたのもあって、神奈もそれに応じて話していた。

「ふむ……なるほどな」

 紅蓮は自分のパソコンを見ながら、神奈の話に相槌を打つ。

「大体お嬢さんのことは分かったが、1つ聞きたい」

「何です?」


「君は何者だ?」


「……何者とは?」

「いやさ、お嬢さんの情報を見ていくと、どうもよく分からなくてな」

 紅蓮は机からファイルを取り出し、神奈に見せる。


『神代神奈の調査結果

・5歳の時、親である神代夫妻が甥である神皆葉を引き取って以来、障害のある皆葉の看護を率先して行う。

・知能及び身体能力が優れており、新緑高校に1年飛び級で入学。

・中学校では様々な部活動から勧誘を受けていたが、頑なに断る。

・学校外ではもっぱら神皆葉と行動を共にするか、神皆葉のために行動していた。

・神皆葉に対して異様な恋愛感情を持っている。』


「よく調べてますね」

 調査結果のファイルを眺めて、抑揚のない感想を述べた。

「それで? 私について調べて、私が何者かなんて、聞くまでもないでしょう」

「そうだな。これだけだったら、おかしな少女で終わっていただろう。だが、気になる点があった」

 紅蓮はファイルをめくっていく。


『神代神奈の魔術素養等

・魔術に関しては、修得経緯が不明。両親は一般人であり、魔術に関する知識はない。

・神皆葉の障害の治療に関しては、その症状から通常の治療では回復は困難であり、神代神奈が魔術を用いて治療していた可能性が高い。

・魔術の素養は遺伝子による影響が大きいと研究が進んでいる観点から、神代神奈及び神代夫妻の遺伝子情報を入手して検査することにした。

 神代夫妻の遺伝子情報は、魔術素養の数値は低く、その子である神代神奈の魔術素養も低くなるはずである。

・しかし、神代神奈の遺伝子情報は、魔術素養が異常に高い数値であることを示しており、これは”神の道化”である水無月命、神皆葉と同程度である。また、両親との親子関係について、遺伝子情報からは認められない。』


「…………私は、両親の子供ではない? じゃあ、私は何なの?」

 紅蓮に問いかけられたことをそのまま、神奈は繰り返す。

 神奈の脳裏に、これまで生きてきた日々がよぎる。両親と過ごしてきた日々。皆葉と過ごしてきた日々。

(あの日々が、すべて偽り? いやそれよりも、兄さんはそのことを知ってるの!?)


「両親の実子でないと判明してショックなのは理解できるが、俺は別の視点から驚いたさ。

 俺も自分の遺伝子情報を調べたことがあるが、”神の道化”になる前と後では、微妙に遺伝子情報が変化していた。おそらく、魔術行使に適した遺伝子配列になるように変換されたのだと思う。

 だがお嬢さん、君は元々の遺伝子が”神の道化”と同じような数値を示している。この数値だと、それこそ”神の道化”と同じように、魔術媒介なしでも魔術行使ができるんじゃないか、と思える程だ」

 紅蓮はファイルを閉じ、


「——あらためて問おう。君は、何者だ?」


 神代神奈という”人間”を問うた。

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