生命のはじまり、火の襲来 プロローグ
雲一つない、晴天の下に、城がある。それも、地面に根を生やしているのではなく、空中にだ。
城では、七人の男女が円卓に掛け、何やら話をしている。
その中の一人――若い外観に似合わず、知性と威厳を感じさせられる男が、声を上げた。
「諸君。よくぞこの場に集まってくれた。前回はトラブルが多々あって思いも寄らない結果となったが、どうにか今回の催しが開催できることを、大変嬉しく思う」
「我らが主よ。我ら皆、今回の遊戯を始めたいと、心待ちにしておりました。堅苦しい挨拶は抜きにして、本題に入りませぬか?」
「ああ、すまんな。では、各人が選んだ者を出してくれ」
そう男が促すと、六人の男女は、手を前に突き出し、虚空に映像を出した。そこには、六人の人間が映っている。
「では、始めようか。何度行ってきたかも忘れた、祭りを!」
男の宣言と共に、六人の男女はそれぞれが持つ宝石を、空に向けて放り投げた。宝石は、いずこかへと飛翔していく。
六人の男女は、成すべきことを終えると、席から立ち上がり、円卓の間より出て行く。
誰もいなくなった部屋で、主と呼ばれた男は一人、呟く。他の男女と同じように、虚空に映し出した人物を見ながら。
「本当に待ちかねたよ……十年間。さあ、君は私に、どんな劇を見せてくれる?」
男は、宝石を放り投げる。宝石は、飛び去っていく。男の映像にあった、眼帯をつけた少年に向かって。
物語の開始前の話です。
次の第1章から本編です。