プロローグⅠ
プロローグⅠ
赤井桃には幼い頃毎日のように遊んでいた仲間がいた。今ではバラバラで会う機会もないが、昔は毎日欠かさず会って遊んだ。これは良くある話だろう。幼い頃とは置かれている立場、状況が全然違うのだ。ずっと同じ気持ち、同じ考え、同じ人生を歩めるわけではないのだ。それだから何時かは散り散りになり離れていく。仕方がないことである。全然が頑張ればどうにかなるのかもしれない。だが、彼らにはその気持ちがなかったのだ。もう良いという思いが彼らをそうさせなかったのだろう。彼らがこうなる切っ掛けを作ったのはある事件だ。それがこの状況の現況で始まりだ。誰も話題にもしない忘れ去られた過去。
高校生の入学式は若者にとっては人生の転換点だ。中学頃まで地味だった者は知り合いが少ない高校に行き、これを機会にイメージチェンジする所謂高校生デビューを行う。また、中学の頃まで不良だった者も高校生デビューすることがある。逆に中学の頃まで目立っていた者が地味な人間になることもある。例えば、目立っている者(元々目立っていた者や高校生デビューに成功した者)をAグループとし、地味な者をGグループとする。高校生をアルファベットに分けるなら、7通りに分かれる。目立つ方からA、B、C、D、E、F、Gになる。Aが目立つ。Bが少し目立つ。Cが普通よりは目立つ。Dが普通。Eが普通よりは目立たない。Fが余り目立たない。Gが目立たない。これは高校生活を有意義に過ごすためには必要なことだ。
桃も含めて彼らもそれを行った。変わりたいという気持ちからなのか理由は定かではない。でも、心の奥底には合ったのかもしれない。このままじゃ駄目だという思いが。人生を変える転機が今なのだと思ったのかもしれない。