第1話平穏な日常
安田隆は自称平凡な男だ。その実態は文武両道完全無欠の高校1年生。これまた自称だが、容姿は悪い。他者から見れば、普通の部類に入るか、それ以上だ。クラスの女子からも物静かな読書家青年と写っている。神様に何故こいつを存在させたのか知りたいくらいの才能、実力を兼ね備えた人外と言っても過言ではない青年。
腐れ縁の仲間が2人いる。1人は河野和也。アルファベットで表せば、Aグループの人間だ。クラスの人気者。学園のイケメンランキングベスト5に入る容姿を持ち、文武両道でクラス2位の学力を持つ天才。隆が居なければ、絶対学年1位は必ず取れていただろう。一言で言えば、リア充。リア充の中のリア充。高校の女子からの告白は数知れず、全てを断ってきた攻略困難な存在。和也とは小学校の頃からの付き合いだ。2人目は浜田菊乃。アルファベットで表せば、Aグループの人間だ。クラスの人気者。学園の付き合いたいランキング 女子の部でベスト5に入る美少女。隆、和也と同じく文武両道、容姿端麗。学年3位の学力に、卓越した運動神経を持つ天才。学年女子でナンバー1の実力者だ。彼女も和也と同じでリア充。リア充の中のリア充。高校の男子から告白は数知れず、ナンパも数知れず経験した。ナンパの殆んどは隆、和也が防止をしているが、一人にすると危ない。隆とは小学校の頃からの付き合いだ。和也とは幼馴染み。
こんな3人をクラスの者たちはこう呼ぶ。"三大神"と。もう神扱いだ。この3人の出会いは必然ではないのかと言う者も多い。それぐらいの敬意を生徒から教師から受けている。この3人の才能はゲームでも才能を発揮する。正に完全無欠。この3人こそ、文武両道、容姿端麗、完全無欠の3つの言葉が合うのではないのか。そう、その言葉を現実にしたのがこの3人なのだ。誰も勝つことは出来ない。彼らに勝負を仕掛ければ敗北の一文字しかない。勝負することが間違いなのだ。勝負をする必要がない。やる前に結果が見えてしまっているのだから。
「なぁー隆、どっか行こうぜ。」
「私も行く。」
「何処にだよ…」
「「名駅!」」
「分かったわ。行けば良いんだろ。」
放課後に行われる会話。隆は小説を読み、和也は音楽を聴き、菊乃は菓子を食べている。これが教室での出来事である。3人は帰宅部だ。和也に関しては様々な部活から勧誘があったが、それを全て蹴って帰宅部をしている。運動神経抜群の和也を運動部が声を掛けない訳がない。因みに菊乃にも部活から勧誘はあった。運動神経の良い菊乃は選手として、マスコットとしての2つの理由から。彼女にそんな気は無いのだが。それでも、しつこいので和也が追い返した。その時の隆は教室でのんびりと読書をしていた。
「名駅で何をやるんだ?それを決めてから誘え。」
「なら、観覧車でも乗る?彼処は結構良いところだから。」
「後、メイトと服を見に行きたい。小説買いたいし、服も見たいもん。」
「あ、俺もだ。ラノベの新刊が出てた筈。」
結局、名駅付近でも大きい観覧車に乗った後で菊乃の服を見に行くのに連れ回された。店員には荷物持ち係ということが一発でバレてしまったのが実に恥ずかしい。最後はメイトに行くこととなった。因みに3人は学生服だ。名古屋は結構厳しい学校が多いため、補導されかねない。時刻は5時半。まだ、補導されるまでに余裕はあるが、のんびりしてると時間なんてすぐ過ぎてしまう。
楽しいことをしている時は時間は早く進んでいるように感じる。これは集中して事を行っているからである。逆にめんどくさいことをしている時は時間が凄く長く感じる。これは集中出来ていないからだ。嫌いなこと、苦手なことをやっている時は集中力は切れてしまう。それは仕方がないことだ。嫌いなことが急に好きになること出来ない。それをどう克服するかが問題なんだ。
「まずは観覧車だな。此処は割り勘するか?」
「「うん」」
1人500円。まぁ…安いほうかもしれないが。高校生の経済力じゃこれも厳しい。隆は諦めて貯めていた金を使う。
観覧車とは何のために作られたのだろ。高い頃から景色が見れるからか。それとも、絶叫させるアトラクションとして採用されているのか。全く隆には分からない。高所恐怖症の人間にとって此処は地獄だ。天辺到達したときに下を見ると人が込め粒みたいに小さく見える。これを見るのが楽しいのかもしれない。それとも、上から見下ろすことを好む人間にとっては最高のアトラクションではないか。
景色は言うまでもなく綺麗だった。名駅周辺が暗くなるに連れて、光が足元を照らして、綺麗だった。感無量。その言葉はこういうことを言うのかと隆は理解した。
「なぁー隆、どっか行こうぜ。」
「私も行く。」
「何処にだよ…」
「「名駅!」」
「分かったわ。行けば良いんだろ。」
放課後に行われる会話。隆は小説を読み、和也は音楽を聴き、菊乃は菓子を食べている。これが教室での出来事である。3人は帰宅部だ。和也に関しては様々な部活から勧誘があったが、それを全て蹴って帰宅部をしている。運動神経抜群の和也を運動部が声を掛けない訳がない。因みに菊乃にも部活から勧誘はあった。運動神経の良い菊乃は選手として、マスコットとしての2つの理由から。彼女にそんな気は無いのだが。それでも、しつこいので和也が追い返した。その時の隆は教室でのんびりと読書をしていた。
「名駅で何をやるんだ?それを決めてから誘え。」
「なら、観覧車でも乗る?彼処は結構良いところだから。」
「後、メイトと服を見に行きたい。小説買いたいし、服も見たいもん。」
「あ、俺もだ。ラノベの新刊が出てた筈。」
結局、名駅付近でも大きい観覧車に乗った後で菊乃の服を見に行くのに連れ回された。店員には荷物持ち係ということが一発でバレてしまったのが実に恥ずかしい。最後はメイトに行くこととなった。因みに3人は学生服だ。名古屋は結構厳しい学校が多いため、補導されかねない。時刻は5時半。まだ、補導されるまでに余裕はあるが、のんびりしてると時間なんてすぐ過ぎてしまう。
楽しいことをしている時は時間は早く進んでいるように感じる。これは集中して事を行っているからである。逆にめんどくさいことをしている時は時間が凄く長く感じる。これは集中出来ていないからだ。嫌いなこと、苦手なことをやっている時は集中力は切れてしまう。それは仕方がないことだ。嫌いなことが急に好きになること出来ない。それをどう克服するかが問題なんだ。
「まずは観覧車だな。此処は割り勘するか?」
「「うん」」
1人500円。まぁ…安いほうかもしれないが。高校生の経済力じゃこれも厳しい。隆は諦めて貯めていた金を使う。
観覧車とは何のために作られたのだろ。高い頃から景色が見れるからか。それとも、絶叫させるアトラクションとして採用されているのか。全く隆には分からない。高所恐怖症の人間にとって此処は地獄だ。天辺到達したときに下を見ると人が込め粒みたいに小さく見える。これを見るのが楽しいのかもしれない。それとも、上から見下ろすことを好む人間にとっては最高のアトラクションではないか。
景色は言うまでもなく綺麗だった。名駅周辺が暗くなるに連れて、光が足元を照らして、綺麗だった。感無量。その言葉はこういうことを言うのかと隆は理解した。菊乃は目をキラキラさせてはしゃいでいる。相当この景色が好みだそうだ。
昔から乗っていた。出会ってすぐの頃、菊乃に連れていかれた隆と和也は驚いた。その場所に。名駅周辺に中々大きい観覧車があったのだ。菊乃は"ここの景色は最高なんだよ"と自慢するかのように話している。それほどの絶景を彼女は見たのだろうと隆と和也は半信半疑だった。たかが、観覧車と思っていた。実際乗ってみるのそこは別の世界だった。まるで次元の違う場所にいるようだった。名駅周辺に佇んでいるビル、高層マンション等々が輝かしい光を出していた。それは圧巻だった。隆はそれを見ながら、息を飲んだ。それから3人がこの観覧車に乗るのは恒例になっている。
その後、観覧車にもう一度乗った。菊乃は降りた後も、興奮が止まらない様子だった。そこに和也が声を掛ける。
「それで服を見に行くのか?」
「あっ!そりゃあ行くわよ。2人は荷物持ちだから。」
「「はぁ…了解」」
菊乃は全速疾走で女性の服が多く置いてそうな店に行く。今の時間帯は丁度、タイムセールの時間帯だ。人気の品々が半額とか、3割引とか、超お得なのだ。菊乃はせっせと服やアクセサリー、バックを次から次へと手繰り寄せる。
忘れていたが、菊乃は大手薬品会社の箱入り娘なのだ。だから、金も沢山持っているので、この大量の品々を買うことができる。
「終わったか?」
和也の嘆くような声は分からなくもない。隆と和也が持っている量はおよそ、合計10キロは越えているのではないか。それぐらい重いのだ。扱いが悪いなと隆と和也は思った。正に独壇場だ。菊乃の独裁政治が始まっているのだ。誰も止めることが出来ない暗黒。
「一応、服は終わったよ。後はメイトに行って小説だ。」
「俺も着いていくよ。メイトには新刊買いに行きたいし。」
隆の平穏。これはすぐに崩れる。