プロローグ
"組織壊し" 半世紀前に名駅に存在した伝説の最強カラーギャング。本当の名前は闇夜というらしい。メンバー全員が黒い格好をしているから名付けられた。だが、そのギャングは唐突に表舞台から姿を消した。ある者はこれを組織の長が死んだからとか、弱体化して衰退したとか、様々な理由がネットや会話で話された。実は表舞台から姿を消しただけで彼らは生きている。今は若い者に組織を譲っている。元々、この組織は12人の最強と呼ばれた人間と彼らを越える力を持つ長の1人で組んだ最強のギャングだ。平和を望む者たちが集まっている。半世紀経った今は全員が息子に地位を譲っている。だが、長の長男で次期長の青年はそれを拒んでいる。
名古屋周辺にはヤクザ、カラーギャング、名古屋の元締めなどの組織が存在する。特にヤクザは密輸なども行っている。有力のヤクザは雪華会、小春会、早春会。有力のカラーギャングは、暁紅、蒼天族、白秋など。若者が作っているギャングや古参のギャングと様々だ。現在の名古屋の元締めは夜凪と呼ばれる古参の組織だ。この組織は政界などにも繋がりがあり潰れることはない。伝説の最強カラーギャング闇夜が表舞台にいた頃はナンバー2だった。
安田隆は平凡な男とは言い難い青年だ。今年から名古屋でも有名な文武両道の私立本橋宝高校に通っている。隆は入学受験で1位。入学式の新入生総代も務めている。そんな彼の家は半世紀に有名だった組織壊しのギャングをしている。家の土地も、尋常じゃないほどに広い。それは組織に属している者が全員家に住んでいるからだ。また、大手企業も経営している。財産はハンパない額になっている。彼自体もその家に例に漏れない才能を有している。学力は勿論のこと、剣術や拳銃を使いこなし、組織で喧嘩を行えば勝てる者は居ないほどの力の持ち主だ。そんな彼ではあるが、目立つのが大の苦手だ。今も、眼鏡をかけて、地味な読書家という風に偽っている。
高校生の入学式は若者にとっては人生の転換点だ。中学頃まで地味だった者は知り合いが少ない高校に行き、これを機会にイメージチェンジする所謂高校生デビューを行う。また、中学の頃まで不良だった者も高校生デビューすることがある。逆に中学の頃まで目立っていた者が地味な人間になることもある。例えば、目立っている者(元々目立っていた者や高校生デビューに成功した者)をAグループとし、地味な者をGグループとする。高校生をアルファベットに分けるなら、7通りに分かれる。目立つ方からA、B、C、D、E、F、Gになる。Aが目立つ。Bが少し目立つ。Cが普通よりは目立つ。Dが普通。Eが普通よりは目立たない。Fが余り目立たない。Gが目立たない。これは高校生活を有意義に過ごす為には必要なことだ。隆はBに入る。理由は学力で飛び抜けていて目立っているから。
こんな変な思考が渦巻く高校生活で隆は出来るだけ目立たないように生きるように心掛ける。まぁ…学力で目立ってしまっているが。そんな隆の平穏な日常は突如崩れる。これは悪魔の悪戯か、それとも…