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やっぱり異世界と言えば魔法でしょう!

花火が終わって、混雑する道を行列しつつホテルに戻り、交替でシャワーを浴びました。


今日は帰り道で魔法の話をすると約束していたので、"なし崩し"はなしです。


頭の中は魔法でいっぱいなので、ナシったらナシの方向で!


"なし崩し"って何?と言われると困りますが、まぁ毎日アレな生活なので察して下さい。







「改まってリサに聞かれるとやりづらいな。」


ホテルの備え付けの小さなイスに座ってお互いテーブルを挟み、目を輝かせているのは・・・今日は私の方です。


26歳にもなって"魔法"ではしゃぐ女・・・それは私。


国内にある夢とファンタジーな某魔法の国でもはしゃげますけど、現実に魔法を使える人が目の前にいるとすれば興奮すると思いますが、他の皆さんは違いますか?


ファンが家にやってきてからは私がこちら(・・・)のことを説明するばかりで、せっかくの魔法のことをじっくり聞く機会がありませんでした。


時間がある時は、いつもいちゃラブだったので、やっと落ち着いてきたと言うか(汗)




ファンはやりにくそうに「まず、必要な魔力を持っているか持っていないかが、魔法を使えるか使えないかの分かれ目だ。」と言いました。


「私は?私は?」


テーブルに身を乗り出す私。くどいようですが、26歳はこの際関係ないでしょう。


「魔力は・・・ある。・・・と思う。」


「やった!」


内心でガッツポーズをしました。


「ただ、誰でも魔力は多かれ少なかれ持っているから、まったくないということは稀だ。だから必要な魔力と言った。」


ファンの話を真面目に聞いてコクコクと頷く私。


「魔法のないこちらで生まれ育ったリサに納得できるように説明できるかどうかわからないが・・・。」


いえ、心配には及びません!


黒歴史のおかげで、たぶん基礎知識的なものは持っているはずですから。


それにしても、いちゃいちゃしていない真面目なファンを目の前にしているだけでも胸が高鳴ります。


やっぱり好みのタイプだなぁ・・・。


18歳は予想外だったけど・・・向こう(・・・)では成人してるし、やってしまったことはどうしようもないのでそこは忘れて!見惚れそうに・・・いえ、しっかり見惚れています。




「リサ。やっぱりやりにくい。」


私の熱い視線(決して視姦じゃないですよ!)・・・を感じてファンが少し照れたように視線を外しました。


さんざん私のことを好きに(あば)いておいて、自分は照れるの?


「つ・づ・け・て・?」


ちょっと意地悪をして、にっこりと営業用のスマイルでファンを促します。


ちなみにこの営業用スマイルは繁忙日にフル稼働すると、家では無表情&無口になるという恐ろしい反動があります。


たぶん喧嘩しても営業用スマイル(コレ)になるんじゃないかな・・・。前のカレシに言われたことがあるし、ムカッときても絶対お客さんには怒れないので自然と営業スマイル発動しちゃってたし。




ファンはコホンと咳払いをすると話を元に戻しました。


「ある程度の年齢の子供の頃から魔力を体に巡らせる感覚を覚えさせて、コントロールをできるようになったら今度は外に引き出すように訓練をする。生まれつき優れた感覚を持つ者もいるが、そういった人間は本当に一握りだ。」


「巡らせるって言っても、どこからどこへ?魔力の源はどこにあるの?」


ライトノベルだと魔力器官?が備わってたりすることもあるけど?


私の疑問にファンは苦笑した。


「リサの国では、魂が体のどこにあるかわかっているか?」


「・・・それは解明されてない。」


ファンは「我々の国では魔力は魂とともにあるのではないかと信じられている。だが、実際は何の根拠もない話だ。ある国では魂も魔力も命の源・・・心の臓にあると思われている。又、一部の国では頭ではないかと言われていて、魔術師を確実に仕留めるために胴と首を切り離す所もある。」と言った。


何か物騒な話も混じっていましたが、要はハッキリわからないけど魔力という存在があるのですね?


「じゃあ、そのどこにあるかハッキリしないものをどうやって感覚で覚えさせるの?」


私の質問に「魔力のある大人や教師が、自分の魔力で相手を包む。それを繰り返されるうちに自分でもだんだん"魔力という感覚が何か"つかめるようになる。」とファンは答えました。




ふおー!




教師と言うなら魔法学校ですよね!ちょっと興奮します。


「・・・教師と言っても城下町の寺子屋や教会のちょっとしたものだ。貴族だと専門の家庭教師がいる。地方や農村だと少しは魔力に自信のある者や学のある大人が子供に教えると言ったことが多い。」


ちょっと想像と違いました。


「子供じゃないと覚えられないの?私じゃもう手遅れなの?」


ファンはクスッと笑って「才能と訓練次第だな。田舎に住んでいて大人になってから訓練するものもいるし、何歳になっても遅いということはない。が、子供の方が上達は格段に早いとは言っておく。」と言った。


「私もやればできる?」


「コントロールはわからないが、リサは魔力を巡らせる感覚はすぐにつかめると思う。」


ファンはやけに断定的です。


「?」


私が首をかしげると、ファンは「リサは無意識で魔力を使っているから意識すればすぐ自分の魔力を巡らせるのは容易いだろう。」と真面目な顔をしています。


「私は魔法って使えないけど?」


過去にイタイ妄想ならしたことはありますが。


「・・・魔法と言うより、魔力のやりとり・・・扱い・・・だけだな。」


心なしかファンは言葉を選んでいるようにゆっくりと考えながら説明します。

「魔力のやりとりって?どうやって?」


大気中のプラーナ?を自分で吸収したり放出したりとか?




ファンは私のアツイ視線に「やりと言っても・・・リサと俺との間で。」と言葉に詰まっています。


「私とファンと?」


テレパシーみたいに受け渡しでもしてるのかしら?




・・・と、思いきや。「口や体が繋がっている時に・・・。」と、言いにくそうにいわれて、思わずブッとふき出してしまいました。




「自分が体験したから信じられることだが・・・俺はいつもリサに少し魔力を奪われる。・・・でもリサから魔力を渡されて・・・。たぶん・・・そのやりとりが俺やリサの体に力を与えたり、体をただ繋げるだけより快楽を高める作用があるのだと思う。」




えっ、えっと、ええー?!




思わず「えっ」を三段活用してしまいました!


勝手に作ったから、もちろん正しいわけないけど。




「本当?!」




ファンは「・・・たぶん。」と頭を縦に振った。


よくわからない無意識の魔力のやりとり?がそういう役目を?!


「力を与えるって・・・、いっつもファンにヘロヘロにされちゃうよ?」


「そういう"力"じゃなくて・・・魔力の(みなぎ)り方と言うか・・・今の時点でわかりやすいところだと、リサの力が活性化して肌が一層きれいになったとかそういう所だ。」


肌、キレイって言ったよね?


ファンも気づいていたの?


で、"一層"って言葉が気になるんだけど。


・・・確かに寝不足なのに、この肌のプルプルさは26歳にしては異様です。


そしてファンは続けて言う。


向こう(ティルディグ)では魔法を人にかけることができても、他人の魔力を奪ったり自分の魔力を与えたりできる者の話を聞いたことがない。探せばどこかにいるかもしれないが、もし他にいないとすれば、リサの特有の能力なのか、こちらの人間の特有のものなのかわからない。」




魔力を奪うだけなら某ゲームだとアスピルのようなものだろうけど、魔力(MP)?を吸収して同じくらいを戻してるということ?


・・・よくわからない。




「ファンはその感覚がわかるの?私は全然魔力ってわからない。」




「じゃあ、これから意識して試してみるか?」




ファンの瞳に少し欲の色が混じったのを見て「い、いえっ、今日は遠慮しますっ!」と慌ててお断りすると「キスだけど?」と意地悪そうに笑われました。


うう。


「じゃあ、魔力で包むって言っても、相手に魔力を感じさせるだけで、体の中から魔力を引っぱり出したり動かしたりできないの?」


「そう、魔力で包むだけだ。魔力がどういうものかわからない状態で、魔力を感じるという行程から始まる。」


「じゃあ、最初の魔法使いはどうやって魔法を使えるようになったの?」


まるで卵が先かニワトリが先かのようなの疑問に、ファンは困ったように「昔のことだからわからないが自分たちはこうしてきた。」と言います。




ファンが音もなくすっとイスから立ち上がって、片方のベッドの上であぐらをかきました。


「リサ。ここにおいで。」


ファンが手で示したのは、あぐらの上でした。


場所には抵抗がありますが、魔法には興味がある・・・ぶっちゃけ抗いがたい魅力のある誘惑のようなものなので、ファンに言われた通りにそこにお邪魔します。


ファンのあぐらの上で後ろから抱き締められたような形でベッド・・・いえファンの上に座る私。




これ・・・生徒と教師がするには、かなり問題がありそうな体勢だと思いますよ。




「じゃあ、まず魔力がどんなものか感じる所から始める。リサはすぐにわからないかもしれないが、変わったことを感じたらどんな感じがするか口にして欲しい。」




こうして魔力を感じる練習は始まったのでした。







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