第1話
小説を書くのは初めてです、お手柔らかにお願いします。
(クソあちぃ. . .)
7月20日 12時丁度。
最寄りの駅からこの高校まで徒歩20分、むせ返るような暑さの中、俺は自分の教室の扉の前に立っていた。
今日からやっと、夏休みだというのに。
(とっとと回収して帰ろ. . .)
教室の扉を開けるために、手をかけようとしたその瞬間。
ーガラッ。
横から扉の開く音がした。
「ん?」
ほとんど無意識に、音のした方向に顔を向ける。
目に映るのは、眩しいほどの白い日差しが床に伸びる、長い廊下。
そして. . .
2つ隣の教室の扉から、ひょっこりと顔をのぞかせる、女子生徒の姿だった。
丸い眼鏡。
長い髪。
小柄な体型。
. . . . . .知らない顔だ。
ついさっきまで教室に入ろうとしていたのに、ついつい観察して、動きが止まってしまう。
だが向こうもこちらに気づくなり、一瞬身体が固まった。
「. . . . . .えっ?」
素っ頓狂な高い声が、廊下に響く。
数秒。
そして突然、ぱぁっと表情が明るくなる。
「えっ!?人いた!!」
勢いよく、廊下に飛び出してくる。
「うわっ!?まってまってまって!?人いる!?えっ、ホントに!?幽霊とかじゃない!?」
異常なほどにテンションが高い、こんなクソ暑いのに良くここまで騒げるなと感心しそうになる。
彼女は急いで俺に近づき、まじまじと顔を覗き込んでくる、そして。
「やったぁぁ. . . .!! ねぇ!君、生徒だよね!? 2年生!? 私以外にもいたんだぁ. . .!!」
どうしてだか、かなり切羽詰まっていたらしい。
半分泣きそうな顔で、こちらを見て笑っている。
「なんだよお前、一体どうしたってんだ?
人をみるなり幽霊だのなんだのって、こんなクッキリした幽霊がいるかよ。」
「だよねぇ!?!?!?」
心底安心したように肩を落とす。
その姿は何かの演技をしているようには到底見えない。
「いやもうほんと良かったぁ. . .!なんか学校誰もいないし!スマホは圏外だし!外に出ようとしたら. . . .あっ. . . .」
そこまで言って、急に口をつぐむ。
「もしかして. . .君も. . .?」
こちらが答えるのを待っているかのような静寂。
蝉の声、少し開いた窓から吹き込む風、廊下の熱気。
「何が. . .?悪いけど、俺はイヤホン取りに来ただけだから、じゃあな。」
それだけ言って、彼女に背を向ける、
教室の扉を開けて、自分の机に進んでいく。
後ろからは、彼女の焦ったような声が聞こえてくる。
「それっ!マズイかも!!」
その声が聞こえたのと、俺が机の引き出しから、黒いワイヤレスイヤホンのケースを手に取ったのは、同時のことだった。
「あ. . .?」
あまりの声の大きさに、振り返りながら、手に持ったイヤホンを右のポケットに突っ込む、その瞬間。
カチッ. . .
何か、小さな音がした気がした。
ーガラッ。
横から扉が開く音。
廊下。
日差し。
そして教室から顔を覗かせる女子生徒。
見覚えがある、なんて生易しいものじゃない。
まるっきり、同じ。
「えっ!?人いた!!」
勢いよく廊下に飛び出してくる。
でも今回は. . .
「あれ. . .あの. . .さ. . .そう. . .だよねぇ?」
数秒の、沈黙。
「君も、戻った、んだよねぇ?」
蝉の声だけが響く、じっとりとした熱気。
でも、俺の背筋には冷たいものが走っていた。




