▽LAST ――・終わらない魂
海の波音。戦闘の届かない砂浜。
「……っ!」
終わらなかった魂は目を覚ます。砂浜に横たわり、死んだはずの自分を認識しながら。
「ここは?」
焦げて上半身部分のない衣服を着たままの身体を起こし、目を周りに向ける。
視界に入るのは破壊された『魂解』の破片、海と砂浜、森林と高い山に墜落した艦船。
その艦船はプランヴェルの母艦。その方向の森林から、見覚えのある少女がひっそりと歩いてくる。
「タキ・ヨシノリ……?」
「プランヴェル」
お互いに相手を認識する。名を呼ばれた化け物は立ち上がり、プランヴェルと呼ばれた少女は全てを失った表情を見せる。
「生きていたのだな」
「お前こそ生きていたのか」
終わらなかった二つの魂の再会。
「……私の夢は終わったよ。もう、なにもない。貴様はどうだ?」
終わらせたものの確認。
「俺は……」
プランヴェルのこれまでを許すつもりはない。
それでも目の前にいるプランヴェルは全てを失い、親の仇や敵と呼べる姿ではない。
「全部終わったよ」
だから復讐の終わりを自らの口から告げた。
「そうか。目の前に私がいながら、貴様も終えたのだな」
互いに抱えたものは終わった。両者はそう理解する。
「なぁ……私を貴様の隣に居させてくれないか。今、独りで生きていくには心細いんだ」
夢という足かせを失くした今、孤独な少女は力のない足取りで歩み寄る。
「……隣に来たいなら来い、プランヴェル」
視界に敵はいない。今この場に殺すべき者はもういなかった。
ヨシノリは仇敵でもなんでもなくなった目の前の少女を受け入れることにした。
「ありがとう。それと私の名前だが……」
「どうした?」
「私の全ては終わった。私はもうヴァルバラン・プランヴェルを名乗らない」
「じゃあ、お前をなんて呼べばいい?」
「私の本当の名を呼んでくれ、来風百合……と」
少女は自分の軍も偽りの名も捨て、本来の名を告げる。
化け物の復讐と少女の夢はもうない。
既に人生の指針はなく、今まで対立していた二人の行く道はこれから重なる。
これで一章目完結です
ここから一章で登場した兵器の設定など、設定資料集を書いていきます
二章目からは他の作品と並行して、ゆーっくり更新していく予定です




