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破壊者_全ての敵を破壊せし復讐/デストロイヤー_ペネトレイト・ヴェンジェンス  作者: D-delta
第一章 世界の裏と奥底の真実に隠れた憎き仇敵、復讐すべし

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▽4・7 ――・噓で作り上げる道

 移動を続けて数十分後。

 ようやく軌道エレベーター周辺の天倫基地が目視で見えてくる。


「こちらは天倫基地。接近中の『ベースドアーマー』に告ぐ。貴機の所属と目的を明らかにせよ、明らかにしない場合は敵と判断し、迎撃を実行する」


 天倫基地からの通信。ヨシノリたち三人は相手に発見された。


「通信、天倫基地からです。相手は警戒しているみたいですよ」

「ユリ少尉、私が応じますか?」


 ヨシノリとノアは告げる。このまま応じなければ天倫基地から撃たれる。


「いえ、ここは私が応じます。上手いことやるので任せてください」

「了解。任せます」


 ユリには考えがある。ノアはユリに任せることにした。


「こちらは第一一三重装甲機兵中隊フォックス小隊、ライカゼ・ユリ少尉です。最高機密の計画遂行のため、軌道エレベーターの空間歪曲通信を使用しに来ました」


 これがユリの考え。

 自分たちも〝計画〟の一員だと噓で応じる。


「ライカゼ・ユリ少尉……確認した、蝦夷基地の所属だな。だが計画とはなんだ?」

「基地司令に確認をしてください。知っているはずです」

「……分かった、確認する。そのまま待機せよ」


 天倫基地側で確認が始まった。通信は一旦止まり、三人は天倫基地の上空で待機。

 天倫基地の司令が〝計画〟を知っているかは運次第。仮に知っていても、空間歪曲通信を使用させてもらえるかも運次第だ。


「ユリ少尉、上手く行きそうですか?」

「分かりません。これでダメだったら、強行突破するしかありませんね」


 結果がどうなるか。不審に思われて〝計画〟の阻止が悟られるか。

 不安が大きくなっていく。

 その時に「大変待たせたな」と、先ほどの通信士ではない男から通信が来た。


「私は天倫基地の司令官、オカダ・アルマ(岡田或間)大佐だ。君があの来風グループの令嬢、ライカゼ・ユリ君だね?」

「はい、司令官。私がライカゼ・ユリです。計画についてはご存じですか?」

「もちろん知っている。私も協力者の一人だからね」


 通信に出たのは天倫基地の司令官。彼もまた計画の協力者だ。


「だけど妙だね。ホオズキ君がユリ君を連れてくるなどと言っていたのに、どうして自分の足で来てしまったんだい?」


 しかし本来の予定と状況が違う。

 ユリがホオズキに連れて来られるというのが本来の予定。

 だが今はユリが自ら天倫基地に来ていて、本来の予定とは違う状況。返答次第で三人のやろうとしていることを悟られる。


「実はハイロウ要塞で爆発事件が起きたんです。それで私の姉は負傷、先に行ってほしいと言われたのでこうして訪れた次第です」


 相手に〝計画〟の阻止を悟らせてはいけない。

 ユリの噓が試される。


「そういうことだったか。ホオズキ君から一切連絡がないのはそれほどの重症で、彼女が連れていたボディガードも全員爆発に巻き込まれたということかい?」

「残念ながら……」

「なるほど。ホオズキ君も運がないな」


 噓を交えた会話は上手くいっている。だが――


「しかしだね。なぜ通信なんだい?」


 アルマ大佐はまるでユリの腹の内を探るように疑問をぶつけ始める。


「先に行ってほしい、ホオズキ君はそう言ったのだろう? それなら通信ではなく、君の実家がある地球へ転移をすべきじゃないのかね?」


 噓を潰してくる真っ当な意見。

 ここで黙ってしまうとアルマ大佐の疑いが確信に変わる。そうなれば天倫基地の総力が三人に襲い掛かり、強行突破しかなくなってしまう。

 最悪の場合は戦闘の最中に誰か死ぬだろう。


「私には負傷した姉の看病があります。なので先にお父様に連絡、計画への参加の説得をしておこうと思ったのです」


 だからユリは口を止めず、それらしい噓の理由を次々に吐く。


「ホオズキ君からは、君たちの仲は悪いと聞いていたが?」

「確かに仲は悪いです。でも家族ですから。家族の情で看病すると思ってください」

「ふむ。そうか」


 相手の口数が少なくなり、ユリの噓を信じ始めた。

 後少しで安全に空間歪曲通信装置が使える。

 その時――


「ユリぃぃーっ!」

「!?」


 ホオズキの怒り狂った声がやってきた。

 驚いたユリが後ろに振り返ると、接近してくる一機の『ベースドアーマー』を捉える。


「絶対に逃がさないわよ! あんたたちは!」


 その『ベースドアーマー』にはホオズキが乗っており、三人を追って来ていた。


「ふうん、なるほど。噓か」


 追ってきたホオズキの声。ホオズキが負傷していないという事実。

 ユリの証言とは真逆の状況。


「ま、待ってください! これは……」

「ホオズキ君は脅しと圧力を、ユリ君は(たく)みな噓を……姉妹揃って怖い女だよ」


 考え得る最悪な状況。


「ユリ君、君がなにを考えているかは分からない。だが、私を騙したということは我々の計画と異なる思惑を君は抱いている。つまり君は敵だ」


 並べてきたユリの噓が崩れた。


「緊急発進! 上空の『ベースドアーマー』三機は敵だ、全機撃破せよ!」


 天倫基地に鳴り響く警報。三人が敵と認識された証。

 もう噓は通じない。


「ユリ少尉、敵が来ます!」

「ここは、強行突破を……」


 ユリは考え込むように細い声で言う。

 残る手段は強行突破のみ。

 しかし強行突破を成功させても通信装置は敵の手中にある。


「ユリ少尉!」


 通信装置を使うという目的を明かした以上、簡単に使用させてくれない。

 突破に成功したとしても通信装置が破壊されるという恐れもある。

 であれば、軌道エレベーターの遥か天辺にある通信装置と『ベースドアーマー』の通信システムを直接接続するという方法がある。

 これなら基地内の通信装置を気にせず、地球本部と通信が出来る。

 だが、それには軌道エレベーターを昇って天辺の通信装置に到達する必要がある。


「あの来風家の令嬢とはいえ、邪魔者なら死んでもらう」


 敵の空中戦闘仕様の『ベースドアーマー』が基地から上がってくる。

 ユリの考えはまだ纏まらない。

 敵は待ってくれず、銃口を三人に向ける。

 赤い一つ目が笑う。


「なんだ!? 敵襲!」


 敵の通信と同時に多数の光が敵の『ベースドアーマー』たちを貫いた。


「この攻撃、まさか!」


 この場の全員が見覚えのある光、光弾。

 光弾の出元を見れば、そこには黒い装甲と妖しく赤い一つ目を光らせる軍団がいた。


「プランヴェル!」


 ヨシノリはその軍団の名を呼ぶ。


≪フフフ……返事は返さなくて良い、私が手を貸してやろう≫


 呼んだ名に応じるのはプランヴェルの大人びた少女の声。

 ヨシノリにだけプランヴェルの声が届き、三人は光弾に狙われない。


「プランヴェル軍が味方してくれる? それとも私たちのことは眼中にないのか?」

「どちらにしても、これは好機です!」


 三人を狙う敵、その敵を狙うプランヴェル軍。

 プランヴェルの協力によって戦場は混乱し、状況が好転した。


「お二人共、目指すは軌道エレベーターの防衛部隊用の昇降機です! 強行突破して軌道エレベーターを昇り、直接通信を行います!」

「了解! ヨシノリ、暴れてこい!」

「……はい!」


 この協力にどんな思惑があるかはまだ分からない。

 それでも今はありがたく、プランヴェルの協力を利用。

 敵の敵を味方にしている今、三人は強行突破を開始して、天倫基地内にある防衛部隊用の昇降機へ急いだ。

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