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破壊者_全ての敵を破壊せし復讐/デストロイヤー_ペネトレイト・ヴェンジェンス  作者: D-delta
第一章 世界の裏と奥底の真実に隠れた憎き仇敵、復讐すべし
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▽0・1 破壊者(デストロイヤー)たる者の証明

 互いに殺意を向け、互いに銃口を向ける。

 そこからバッテリー駆動式浮遊装置――搭載した兵器を宙へ浮かすための装置――フローティングデバイスと背面のスラスターを使い、地面を滑るようにヨシノリは動き出す。


≪フフフ……≫


 敵も同じように動き出す。連携してヨシノリの機体を囲い込み、右腕部のエネルギー砲を撃つ。

 まともに被弾すれば陸上戦闘仕様の重装甲でも一撃で風穴が開く。

 そんな一撃必殺にも等しい光があらゆる方向からヨシノリに迫る。


「そうだ、来やがれ!」


 常人はもちろん、腕利きの教官たちでも四方からの攻撃を避け切るのは難しい。

 しかしヨシノリは普通ではない。

 視界にある自らに向く銃口と敵機の位置を把握(はあく)、死角にいる敵の位置を予測。

 飛んでくる敵弾を見切り、Fデバイスとスラスターをリミッター解除。寄ってくる敵弾を高速機動ですり抜けるように回避していく。


≪ほう……≫


 敵弾の全てを回避。

 回避の次は反撃。右腕部の30mmチェーンガンを発砲し、敵機の頭部バイザーに直撃させる。が、ペイント弾で敵の視界を奪うのみ。


「まだ出撃出来ないのか! 彼が〝逸材〟でも模擬戦用の装備じゃ無理だ!」

「待ってくれ、さっきの敵の攻撃で演習場へのゲートが開かないんだよ!」

「外から行くぞ! 飛び越えれば演習場に入れる!」


 通信に届く教官たちの声。先ほどのプランヴェル軍の攻撃で足止めを受けている。


「やはりペイント弾ではダメか」


 教官の助けはまだ来ない。それでもヨシノリはやめない。

 迫る敵弾を被弾の一つもなく駆け回り、ペイント弾を全ての敵機の脳天目掛けて機体の頭部に直撃させる。

 もちろん敵機にダメージはない。敵の視界を奪い、行動の制限が出来るだけ。


「だけど目潰しに使えるなら」


 それでもペイント弾の使い道はある。


「こう使う!」


 見出された使い道。もう一度敵機の全ての頭部に直撃させ、視界を奪う。

 これだけではダメージにならない。

 だから敵機に接近して『ベースドアーマー』の手足を使った格闘を挑む。


「父さんの仇、死ねぇ!」


 まずは一機目。

 限界出力の加速で蹴り飛ばし、敵が倒れたところを左腕部の拳で頭部を叩き殴る。

 執拗に、念入りに、殺すために、何回も何回も叩き殴って、中の赤い一つ目ごと頭部を破壊する。


「次もッ!」


 一機目の沈黙、破壊。

 他の敵機はペイント弾の汚れを(ぬぐ)って視界確保をしている。

 そこにもう一度ペイント弾で視界を奪う。

 反撃は許さず、次の敵機に格闘を仕掛ける。


「死ね!」


 次も敵機の頭を叩き潰す。そしてまたペイント弾で敵の視界を奪う。

 敵機はなにも出来ない。抵抗しようとも、回避しようとしても、全ての行動が無意味にしかならない。


「残らず!」


 人類を苦しめた最大の敵が手出しも出来ずに破壊される。


「死んじまえ!」


 これが〝逸材〟と教官に呼ばれる証明。敵に破壊者(デストロイヤー)と呼ばれた者の力。


「流石だな、ヨシノリ。教官全員を倒しただけはある」


 通信に入り込む声。その力を男勝りな女性の声が褒める。

 直後に開かない演習場へのゲートが爆発、破壊され、一機の教官機が飛び出す。

 出てきた教官機は実弾入りの30mmチェーンガンを発砲、最後の敵を穴だらけにして撃破する。


「最後の敵は頂いた。いいな?」

「ノア・フォート教官? 別に構いませんよ」


 ヨシノリが口に出す一番親しい教官の名。


「珍しくフルネーム呼びだな。私を誰に紹介しているんだ?」


 親しげで、ヨシノリの教官たるノアは冗談を言う。


「プランヴェル軍残党の殲滅(せんめつ)を確認。よくやった、どうなるかと思ったよ」


 初の実戦が終わった。指揮所からの通信がそれを告げる。

 この場に敵はもういない。安全が確保された。

『ベースドアーマー』の頭部及び胸部を展開、ヨシノリとノアは機体から降りて、お互いの生存を確かめるように顔を合わせる。


「今日も人間離れしていたな、ヨシノリ。怪我はどうだ?」

「怪我はありません。被弾もないです」


 表に(あら)わになる二人の姿。

 少年の筋肉質な肉体と年相応に少年な顔付きのヨシノリ。

 短く(まと)めた金髪と特徴的な碧眼(へきがん)。ヨシノリよりも長身で、昔は美少女であろう美人な顔付きのノア。


「二年前の最初の頃、親の仇を取りたいと必死になっていた時とは段違いだ」

「ここまで強くなれたのは教官のおかげですよ。あなたが教えてくれなかったら、今の俺はいません」

「口説き文句も上手くなったな?」

「それもノア教官のおかげです」

「全く……」


 正直な気持ちを晒す感謝の言葉にノアは照れを見せる。

 二年間の長い時間を共に過ごしてきて姉弟のように親しい。


「タキ訓練生に通達。上層部の判断により今日を以て貴官の訓練課程を修了とする」


 そして訓練課程の修了を言い渡される。


「良かったな。今日で卒業だぞ」

「ありがとうございます、教官」


 初の実戦、最初の復讐を通した卒業。


「これより貴官は一等兵として第一一三重装甲機兵中隊に配属。ノア・フォート軍曹と共に貴官がプランヴェル軍残党殲滅に役立つものと期待している」


 配属先は教官であるノアと一緒。


「一等兵からスタートか。幸先いいな、タキ・ヨシノリ一等兵」

「はい、教官!」

「ヨシノリ、教官呼びは今日ここまでだ。今日から私のことは軍曹と呼べ」

「は、はい! ノア軍曹!」


 これで一兵士として正式にプランヴェル軍残党殲滅の戦列に加わることになる。


「よし、では今日から同じ部隊の戦友として頼むぞ」

「光栄です。またよろしくお願いします」


 復讐の一歩目を踏み、ヨシノリの戦いはここより始まる。


  ※


 赤い一つ目は微笑(ほほえ)む。彼の力を見て、彼の力を感じることが出来て。


≪やはり彼で間違いないようだ。始めようか、もう一度≫


 また戦争が始まる。

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