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破壊者_全ての敵を破壊せし復讐/デストロイヤー_ペネトレイト・ヴェンジェンス  作者: D-delta
第一章 世界の裏と奥底の真実に隠れた憎き仇敵、復讐すべし
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▽3・5 プランヴェル軍・共闘

 数分の移動。

 ヨシノリは合流ポイントの近くへ来る。

 距離はもう100mとなく、合流ポイントを目視出来るところまで来ていた。


「あそこか」


 目視して見えてくるのは周りの植物に隠れた洞窟。

 洞窟の入り口を隠すように植物が長く垂れており、隠れるには絶好の場所だ。


「中は暗いな……誰か、そこにいますか?」


 合流ポイントである洞窟の前に到着。

 早速小隊の誰かがいるかどうか、洞窟の中に向かって声を掛けてみる。


≪タキ一等兵、中に入って来い≫


 通信越しのノアの声が言う。


「はい」


 声に誘われるように真っ暗な洞窟の中へ入る。

 洞窟の先はなにも見えない。真っ暗闇で、自身の歩く音が聞こえるのみ。


「それにしても軍曹、こんな真っ暗にしてなくても……」


 そう言って、頭部のライトで真っ暗な洞窟を照らす。

 すると同じモスグリーン塗装の『ベースドアーマー』が目の前に姿を現した。


「ノア軍曹?」


 目の前の『ベースドアーマー』からは人の気配がない。しかし別の気配はする。それも目の前の『ベースドアーマー』と、その左右から。


「なんだ……?」


 気配を辿(たど)って右に向けば『ベースドアーマー』がもう一機、左にも一機いる。

 暗闇を照らす中で、三機に三方向から囲まれている。


≪よく来てくれたな、タキ・ヨシノリ一等兵≫


 そんな状況で通信からノア軍曹の声が一つ。


≪この時をどれだけ待っていたことか≫


 だが、ノア軍曹の声は聞き覚えのある人ではない声へと変わってくる。


「プランヴェルか!?」


 正体が分かった今、三機の『ベースドアーマー』に赤い一つ目が灯される。

 ヨシノリは咄嗟に距離を離し、ノアの声に化けていたプランヴェル側の三機にチェーンガンの銃口を向けた。


≪そう身構えるな、タキ一等兵≫


 言葉通りに戦う気はないらしく、プランヴェル側は銃口を下ろしたままでいる。


「身構えるな、だって? ノア軍曹の声でここに誘っておきながら言うことかよ。輸送機に攻撃してきたのだって、お前なんだろう?」


 しかし言葉通りだとしても、なにも隠していない訳じゃない。


≪あぁ、貴様が乗る輸送機を攻撃したのも、貴様を孤立させたのも私だ。我々がこうして会うには必要なことだったからな≫


 プランヴェルは言う。ヨシノリの予想は当たっていた。


「やはりお前の仕業だったのか!」

≪しかし安心しろ、今の私は貴様の味方だ。その証拠にこれを受け取りたまえ≫


 プランヴェルから一つのデータが送られて、HUDに表示される。


≪そのデータは貴様が真に復讐すべき者のものだ、確認したまえ≫


 真に復讐すべき者――ヤン・ウェイライン将軍。

 ヨシノリはHUDと連動する3Dホログラム状に投影された外部コンソールから、機体の指で操作してデータを開く。するとHUD上にヤン・ウェイラインの名前と共に老齢の顔写真が表示された。


「確認した。コイツが俺の父さんを殺した奴か」

≪そうだ、憎いだろう? 私にしても憎いよ≫

「なぜ、お前も憎い?」

≪当たり前だろう? 私に核兵器を撃ちながら、私に核兵器使用の罪を(かぶ)せたのだぞ≫

私怨(しえん)かよ」

≪それ以外にも目的はある≫


 私怨以外のプランヴェルの目的。

 気になって「その目的は?」と(たず)ねる。


≪奴の試作兵器の破壊。現体制派にとっても、私にとっても脅威になるからな≫

「つまり共通の脅威があるってことか」

≪我々の殺すべき相手は同じ、我々の脅威も同じということだ≫

「だから味方だと?」

≪貴様は父親の仇討ちをして、私は目的を達成する。そこは違うとも、ウェイライン将軍を殺すという目的は同じなのだ。ここで我々が敵対することもなかろう≫


 共通の目的を持つ者同士で、目的を達成するのは至極妥当なこと。

 復讐心を抱くヨシノリでも、それは理解出来る。


「分かった、協力しよう。だが、これまでのお前の所業を許すつもりはない。今日のことから俺たちが初対面した時のこと、そして父さんが死んだ時のことも」


 しかし相手はプランヴェル。協力はするが、信用はしない。

 ヨシノリはその意味合いで告げる。


≪フフフ……ともあれ貴様の協力を歓迎しよう≫


 これで協力関係が成り立つ。

 ヨシノリとプランヴェルはここから共犯となる。


≪ここから私は貴様の仲間として振る舞わせてもらう。そのために貴様たちと同じ塗装と武装でおめかししてきたのだから≫


 同じ塗装と武装は偽装のため。そのためか、ここにいる機体たちはエネルギー兵器を装備していない。


「分かった……それと一つ聞きたい、中隊と接触した場合はどうするつもりだ?」


 ふと出てくる一つの疑問をプランヴェルに問う。


≪こちらの正体がバレるまでは、生かしておいてやろう≫

「バレたら?」

≪死んでもらう。例え、貴様と親しいノア・フォート軍曹だとしてもな≫


 プランヴェルはなりふり構わない姿勢を見せる。

 それに対してヨシノリは「そうなった時はお前を殺す」と返す。


≪ほう、ノア軍曹のためなら復讐を後回しに出来るのか?≫

「違うな。殺す順番をお前からにして、ヤン将軍はその後殺すだけだ」


 親しい人間を犠牲にしてまでプランヴェルと協力するつもりはない。ヤン将軍に復讐心を抱くとも、プランヴェルとの協力にそこまでの価値はない。


≪なるほど、まぁ話はここまでとしよう、ウェイライン将軍を殺しに行くぞ≫

「あぁ、今だけは一緒にな」


 そして共通の人間を殺すという目的の下、二人の協力はここに始まった。

 洞窟から外へと出て、ヨシノリはプランヴェルに付いていく形で森空基地へ向かう。

 全ては共通した己の目的のために。

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