日記28 休息日! ②
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
「魔法の複数同時発動ォー?」
「はい。色々頑張って」
「……もう、驚くのも疲れるわね……」
ジーヴルさんはそんなことを唸っていた。
「……いや、まあ、何回か見たから別に疑問には思わないんだけど……全部同時でしょ? 難しくない?」
「難しいですね。これなら普通に魔法を使った方が強そうです。一撃の威力は私の魔法の中で一番なんですけど」
「……相変わらず、天才の枠組みにも入らないくらいには天才ねぇ」
ジーヴルさんも相当魔法の才能がありそうだけど。何だかそれを充分に発揮出来ていない様に思える。
「……で? 何やってるのファルソは」
ジーヴルさんは私の膝の上にいるファルソさんに冷ややかな視線を向けた。
「お姉ちゃんの膝の上にいるだけですけど?」
「……お姉ちゃんって……。……魔人の貴方の方が歳上でしょ……」
「は? 年下のお姉ちゃん何ですけど?」
「頭おかしいんじゃ無いの?」
「はぁ? 貴方の常識なんて知らないんですけど?」
「もう一回言うわよ? 頭おかしいんじゃ無いの?」
「ほら、見て下さい。目と髪以外はそっくり。ほっぺももちもち。つまり姉弟です」
「……言われてみれば……いや多分これカルロッタが子供っぽい顔ってだけだわ」
急に私の悪口!?
「まあ……別に当人同士が納得してるなら、別に文句は言わないけどさぁ……」
「私は別に大丈夫ですよ。ほら、ファルソさんって可愛いですし」
「……私から見れば脅威な子にしか見えないんだけど。いや、別に黒髪黒目に偏見持ってるとかじゃ無いんだけど。星皇だって黒髪黒目だし」
ふと視線を逸らすと、珍しく資料室にエルナンドさんがやって来ていた。相変わらずぼろぼろの姿で、疲労している状態だった。
そんなエルナンドさんに、これまた珍しくフロリアンさんが話し掛けていた。
「どうした、こんな所まで来て」
「んーいや、カルロッタと話したいなって」
「……どうした本当にお前。その為にわざわざ?」
「そうそう。多分ここにいると思うんだが」
「……今は……そうだな。お前が割り込むべき雰囲気じゃ無さそうだ」
「お前そんな気遣いが出来る男だったのか……!?」
「何だこの男、失礼な」
エルナンドさんはフロリアンさんの手を握り、何度もぶんぶんと振っていた。
「男として尊敬出来るぞそう言う心遣いは。まあ俺が色々アレなのは認めるが」
「良く分からない所で尊敬するんだなお前……」
「俺の憧れにして良いか?」
「……いや……好きにしろ……」
仲が良いんだなぁ……。
資料室を後にして、束の間の休息を楽しむ為に、街に出て魔導書でも買いに行こうかと出掛けていた。何故か、後ろにアレクサンドラさんとニコレッタさんがいるけど。
まあ、楽しいから良いや。
「カルロッタ様カルロッタ様!! 見て下さいましこれ!! ああニコレッタ様にも見せたいのにあの方は一体何処に……」
アレクサンドラさんがその莫大過ぎる資産で買ったのは、どうやら魔道具の様だ。だけど何と言うか……スゴく濃い色の絵の具達で書かれている仮面だ。
「……何ですかこの……何ですかこれ?」
「どうやら魔物の群れに落とされても仲間と思われるらしいですわ」
「へー……凄そう。落とされたならもう戦った方が良さそうですけど」
「それが簡単に出来るのはカルロッタ様だけですわ」
襲われる前に倒せば何も問題は無いのに。
すると、ニコレッタさんが人数分のクレープを持ちながら小走りでやって来た。
「す、済みません勝手にいなくなって……。ああ、どうぞ」
手渡されたクレープは、生地が厚くまだ仄かに熱を持っている。クリームの白と色とりどりの切り分けられた果実は私の目には輝いて見える。
「ありがとうございますニコレッタさん!」
「あ、あぅ……どういたしまして……」
何だかニコレッタさんの表情が綻んでいる様に見える。何時からだっけ。ああ、多分ロレセシリルの作戦からかな?
同じくらいにフロリアンさんも何だか変わっていっている気がする。
「……何かありました? フロリアンさんと」
「いぇっ!? 何もっ!? 何もありませんけど!? いきなり何ですかカルロッタさん!?」
……ふーむ、これはこれは、実在するんだ。恋愛って。
何せずっとお師匠様とジークムントさんとしか過ごしていなかった所為で、恋愛なんてしたことも無いし見たことも無い。
私はそれを文字でしか知らない。硝子の靴が脱げて、王子様は女の子を探してみたら偶然にもその靴の大きさがその人しかいなかった話とか。
成程、他人の恋愛事情を傍から見るのはこんなにドキドキしてワクワクするんだ。
「べっつに私はですね、決してフロリアンさんを目で追っている訳ではありません!」
誰も聞いてないのに勝手に喋りだした!?
「と言うか何ですか、所詮フロリアンさんは顔が良くて強いだけじゃ無いですか!!」
もう大好きみたいだ。何があったらこんな惚気を? ロレセシリルで何があったんだろ。
「悪かったな長所が無くて」
ニコレッタさんの背後に大きな影が落ちた。ニコレッタさんは顔を赤くしたり青くさせたりしながら、後ろをゆっくりと振り返った。
何故かフロリアンさんがいた。その後ろには、何だか忙しない様子のエルナンドさんもいた。
「いえっ、それしか無い訳じゃ無くてですね!!」
「ああいいいい。面倒臭い。どうせ俺は悪人面だ」
「誰も言ってませんよそんなこと!! いや確かに怖い顔ですけど……」
「……おい」
「違いますそれも好きって言うか!!」
お、言っちゃった。
どうなるのかなと好奇心を必死に表情に出さない様に見ていると、ニコレッタさんの顔は林檎みたいに真っ赤になった。
勢いのままフロリアンさんに杖を向けて、魔法を発動させた様だ。フロリアンさんの体は動かなくなった。
「フロリアンさんの馬鹿!! ウスラトンカチ!! へっぽこぽこぽこ!!」
「最後のそれは何だ」
そのままニコレッタさんは叫びながら何処かへ走り去ってしまった。フロリアンさんは未だに頭に疑問を浮かべている。
「待てニコレッタ! 最後の言葉の意味を教えてくれ!!」
あ、そこですか……。この人はこの人で鈍感と言うか……。
ふとエルナンドさんの方に視線を向けると、何故かじっと見詰め返して来た。対抗して私もじっと見詰めていると、何だか微妙な空気が漂った。
「……なぁ、カルロッタ、さん」
「何ですか?」
「……やっぱり無理!」
変な人だ。
「よーし言うぞ言うぞ……。……よし、カルロッタ!」
「だから何ですか」
「……いや、別に、用事があるなら良いんだが」
アレクサンドラさんに目配せをしたが、どうやら大丈夫そうだ。
「大丈夫ですよ」
「……いや、特に深い用事は無いんだけどさ」
エルナンドさんは、私に小さな花束を手渡した。花が咲いている柊の枝と、寒芍薬の花と、百合の花。エルナンドさんの指には小さな傷がある。これを作る時に怪我でもしたのかな。
「あの時のお礼をまだやって無かったからな。取り敢えず街で買い漁って作ってみたんだが……」
「心当たりが無いんですけど……?」
「ほら、慰めてくれただろ? あの言葉だけで俺はそーとー救われたんだ。このまま甘えたままだと男として情けなくてな……」
「ああ、そう言うことですか。ありがとうございます」
受け取ると、エルナンドさんは満面の笑みを浮かべた。無邪気と言うか、子供っぽいと言うか。
「よーしようやくもやもやが消え去った。これからも宜しくな。まあとは言ってももう二週間くらいか?」
「研修が終わったらどうするんですか?」
「そうだな……俺は、まあ、ゆっくりとするさ。テキトーに依頼でも熟して資金貯めて悠々と……ああ、故郷に一旦帰るのも良いな。あいつら俺を見直すぞぉー!」
やはり子供っぽい。
そのままエルナンドさんは、フロリアンさんと一緒に何処かへ走り去ってしまった。
「……どうしよ、これ。何処に飾ろうかな」
「一旦あの、何でも入る袋に入れてみては?」
「そうですね。崩れないかなこれ……大丈夫かな?」
お師匠様の魔法技術を信じよう。
擬似的四次元袋に詰め込んで、私達はニコレッタさんを探し始めた。
走って行った方向へ歩くと、大きな道の真ん中でニコレッタさんが仰向けで倒れていた。この人、思っている以上におかしな人だ。
「……このまま、日差しに溶ける蛞蝓になりたい……」
「何を仰っているのですかニコレッタ様」
「……もう、雨が降る林に掛かる霧になって霧散したい……」
「急に詩人みたいになりますわね」
「……あーあーこのまま、このまま酒に溺れて楽しい人生を過ごしたい……」
あれ、お酒飲んでる? 思っている以上に酒豪だったり?
「ほら、立って下さい。クレープ一口あげますから」
「……せめて二……いや、三で」
「うー……ん……い、良いですよ」
何だか釈然としない……。
結局交渉の末、二口あげることになってしまった。いや……まあ……別に良いんだけど……やっぱり釈然としない。
「それにしても、人の恋路は見ていて楽しいですわね。カルロッタ様はそう言うのは無いのですか?」
アレクサンドラさんはそんなことを聞いて来た。
「うーん……多分、誰かをそう言う風に愛することはしないと思います。まず良く分かってないのが一番ですけど」
私が知っているのは家族愛だけだ。それと博愛だろうか? 友情も感じることはあるだろう。ただ、うーん、やはり分からない。
ヴァレリアさんに向けている愛はそれだろうか? ならシロークさんは? フォリアさんは? 分からない。
「何時か愛する人が出来たなら、決して見落としたら駄目ですわ。狙う時に狙いましょう!」
……まあ、いたらですけどね。
あ、でもお師匠様が何だかそれっぽいことを言っていた気がする――。
「――好きな人?」
「はい、お師匠様の好きな人って誰なんですか? あの水晶に眠ってる人ですか?」
「……まあ、愛してはいるが、多分カルロッタが聞いてる愛じゃ無いだろうな。そう言う意味の愛を向けている人は、一応俺にもいる」
お師匠様は私に聞かせていた絵本を閉じると、そのまま悲しそうな微笑みを浮かべながら私に語り掛けた。
「僕は彼女を愛している。それは今も変わらないし、これからも変わることは無いだろうな。世界の誰よりも綺麗で、美しくて、僕を唯一許してくれた人だった。優しさに包まれて、ただ只管に眠った日もあったな」
お師匠様の表情は、少しずつ歪んでいった。しかし私にそれを見せまいと、必死に隠そうとしていた。
「……カルロッタも、何時かそう言う人に出会えるさ」
お師匠様は私の前髪を撫でると、優しくくしゃりと微笑んだ。
「カルロッタは誰からも愛される。特に愛するのは、きっと十二人。いや、十三人かも知れない。二人は一人になっているかも知れない」
「……十三人もいるんですか?」
「いや、どうやら十二人みたいだ。その十二人は、カルロッタの為に命を賭けられる程にカルロッタを愛している人達だ。大切にしろよ?」
「勿論。……でも、何で知ってるんですか?」
「お師匠様は何でも知っているのだよ」
「へー……」
すると、お師匠様は上げた口角を僅かに下ろして、呟いた。
「たった一人だけ、愛を裏切る奴もいるがな――」
――お師匠様は何でも知っている。
まるで未来を見通すかの様な発言を何度もする。それはあまりの思考力から導き出される予想なのか、それとも本当に未来が見えるのか。
未来が見えると言うのは、神の力の様にも思える。実際どうなのだろうか。
「……あら、カルロッタ様、あそこにヴァレリア様が」
「あれ、本当ですね。珍しい、何時も引き籠もってとんとんと色々作ってるのに」
よーく凝視してみると、ヴァレリアさんの前に何故かシロークさんが地面に頭を付けて何かを頼み込んでいた。
「駄目、だーめ!!」
「そこをどうか!」
「貴方金銭感覚狂ってるんじゃないの!?」
ヴァレリアさんは周りの目を気にしているのか、シロークさんを引っ張って今すぐ離れようとしている。
「魔断の剣、一本だけで良いから買って下さいお願いします!!」
「それがどれだけ金が掛かるか分かってるの!? 貴方は公爵家だからそう言うのぽんぽん変えられたかも知れないけど、こっちとしては相当な出費よ!? 一発破産レベルの代物よ!?」
「そこをどーか!! 安い奴でも良いから!」
「我慢しなさい。ただでさえ出費が多いんだから」
「……ヴァレリアの出費が一番多い気が……」
「何か言った?」
「……いえ……別に……」
シロークさんはそのまま地面に仰向けになると、子供の様に駄々をこね始めた。
「嫌だ嫌だ買ってくれないとここから動かない!!」
「はぁー……! ……リーグの誰かにねだれば良いんじゃ無いの? ソーマギルド長とか」
「やだやだやだ買ってくれなきゃヤダー!!」
……あれは……まあ、シロークさんの為にも、見なかったことにしよう――。
――フォリアは対面しているソーマに視線を動かし、その横にあるソファーに座っているタリアスヨロクの王、ハポロスに自然と視線が誘導された。
「……何で、タリアスヨロクの王が?」
「んあ、ああ、なんつーか、謝罪参りっつーのか?」
「……ああ、成程」
「別に俺のことは気にしなくて良いぞ。こいつとはもう一戦した」
ハポロスは愉快そうに笑って机の上に広がる菓子を貪り食っていた。
「……それで? 何の用だ、フォリア・ルイジ=サルタマレンダ」
「少し、聞きたいことがあって」
フォリアは出された紅茶を飲みながらソーマに疑問を投げ付けた。
「聞きたいことは色々あるけれど、まずは貴方が自由に動けなくなったのに、今になってもう一度私達の育成に力を注ぎ始めた理由を」
「ルミエールからの指示だ。俺はギルド長である以前に、リーグの一兵だ。上からの指示は相当な理由が無い限り拒否することが出来ない」
「……それはつまり、ギルドはリーグの傀儡と言うこと?」
「まあ、そうだな。否定はしない」
ハポロスはこんな単純な会話すら少しも理解出来なかった。彼にとっては強者に従うのは当たり前のこと、ソーマがルミエールの命令に従うのは当たり前のことなのだ。
「なら二つ目、ヴァレリウスとは何者?」
「……ま、因縁の宿敵と言っておこう」
「最初から気付いていたのね、ヴァレリウスが解放兵団を率いていたことを」
「予想ではあったがな。もう一人の亜人のことは知らなかった」
「……反乱軍、と言うのは?」
「言葉の通りだ」
ソーマはフォリアの顔を伺っていた。ソーマは理解していた。フォリアが本当に聞きたいことは、多種族国家リーグの深い場所に位置する事柄なのだろうと。
そして、フォリアもソーマがそれに勘付いていることを薄々感知している。しかしそれでも、彼女はその疑問を訴えた。自らの好奇心の為、そして最愛の人を更に理解する為に。
「もう一つ、星の娘とは」
この場の空気はがらりと変わった。
今すぐにでも、相対しているソーマがその剣を抜き、自分の首を切り落とす。そんな嫌な想像を強制される程に、目の前の英雄は、大戦を生き残った英傑は、威圧感を発していた。
ハポロスは咄嗟に飛び上がり、部屋の上の角に這い上がった。
「……私の予想を話しても?」
「……良いぞ」
「言葉の通りに考えるのなら、星皇の子。けれど星皇に子はいなかった。だからメレダが国王の代理になったのだから」
「ああ、そうだな」
「……検討が外れちゃった」
「だろうな」
ソーマは微笑みながら紅茶を一飲みした。そしてハポロスを一瞥すると、彼は腕を小さく振った。すると、ソーマとフォリアの両者に薄いヴェールの様な物が降りて来た。
これからの会話は、ハポロスには決して聞こえない。聞いてはならない。
「どうせ動揺すると思ったんだろ」
「……最後に一つ。ファルソがウヴアナール・イルセグの子息と言うのは、リーグ上層部にとってはもう知れ渡っていることなのね」
「……認めていないがな。本当にあいつの子供だとしたのなら、純粋な魔人族なことに疑問が残る。世界に現存している魔人族は、あいつだけだったはずだからな」
「なら彼は誰の子なの?」
「……さあな」
ソーマは、もう分かっているのだ。ただ信じたく無かっただけなのだ。
彼は理解している。心では、もう既に結論が出ているのだ。それを信じたく無かった。彼が思い浮かべる星皇は、そんなことをしないと、夢を見ている。
「……何時か、現実を見ないとな」
フォリアの疑問は全て解消されることは無かった。ソーマはそんな彼女を、ほくそ笑んでいるだけであった――。
――星空が世界を包む頃、ジーヴルは外で蹲っていた。
涼し気な風が流れ、それにジーヴルから漏れ出る凍える様な冷たい魔力が混じり合い、まるで雪が降ってしまうかの様な気温へと変わった。
彼女の息は荒かった。その漏れ出る魔力を何とかして抑え込もうと力んでいたが、ジーヴルの体はそれを拒絶する。
彼女は空っぽである。彼女の中には魔法しか無い。その身に宿る魔力さえも充分に操れず、その冷気を発し続けていた。
「はっ……あっ……クソッ……!! ……嫌、嫌だ」
彼女が抱えていた希死念慮は、カルロッタのお陰で薄れていた。それを上塗りしてしまう程に、彼女の体は限界を迎える。
徐々にジーヴルの周辺の草が凍り付き、そして僅かな衝撃で軽く散ってしまった。
「……死にたくない……」
自死を願ったジーヴルは、死の恐怖を感じていた。
カルロッタに変えられてしまった。ジーヴルはカルロッタに変えられてしまった。だからこそ、受け入れていた恐怖を、また感じてしまった。
すると、ジーヴルに柔らかな温かみが包み込んだ。気付けば、彼女はカルロッタに抱き締められていた。
涙に濡れながら、ふとした瞬間に現れたそれを、ジーヴルは抱き寄せた。
「……まだ、色々分かりませんけど、何と無く、事情は分かってるつもりです」
「……本当に、貴方は……賢いね……。私とは大違い……」
ジーヴルはカルロッタの赤い瞳を見詰めながら、少しずつ自身の魔力を落ち着かせていった。
「……ブルーヴィーを凍り付かせた人間って、ジーヴルさんですよね。あそこで感じた魔力は、ジーヴルさんの物でしたから」
「……そう、ええ、そう。……私がやった。私が、あの街を凍らせてしまった」
「けどジーヴルさんの所為じゃ無いんですよね? だって……そんなことをやる訳がありませんから」
ジーヴルは暗い表情をカルロッタに向けながら、もう一度俯いた。
「……私は……。……いや、あれは、違うの。……私は、あれは私の力だった。今でも、彼女の力を感じる。私を引き寄せてるの」
「……私は、貴方を救えますか?」
「……分からない。一つ言うとするなら、ルミエールさんも、メレダさんも、私を救えなかった」
それでもカルロッタは、優しく微笑んだ。
「私が、私が救ってみせます。誰が不可能と言っても、誰が諦めても、私はジーヴルさんを助けますから」
「……ま、期待はしないでおく」
「期待してて下さいね」
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
そろそろ研修が終わります。ようやく旅に戻りますよ。今までずぅーっとタイトル詐欺してましたからね。
まあ、まだまだ話は長く続きそうです。もしかしたら二十エピソードくらい後に旅が再開するかも知れません。
……書きたい話が多過ぎる!!
いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……




