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魔法使いちゃんの予定無き旅  作者: ウラエヴスト=ナルギウ
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日記4 必要な冒険者試験! ③

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「結界の破壊……ですか」


 私はジーヴルさんにそう問いかけた。


「そう。そうすれば中から外へ逃げることが出来る」

「逃げる?」

「私達じゃ無い。逃がすのはあくまで――」


「――得点になる生物を遠ざけるためか……!!」


 フロリアンは第十七グループの考えに気付いた。


 今、まさに結界を破壊したカルロッタから溢れる魔力は自身の五倍。数値にすれば100万以上である。


 100万以上の魔力が突然現れた場合、それを本能的に恐れて人間以外のこの場にいる生物は全て逃げ出す。


 逃げ出すだけなら結界のおかげでその範囲外に逃げ出すことは出来ない。だが、禁止事項に「結界の破壊」は無い。


 鳥も蜥蜴も魔物さえも全てが逃げ出した。事前に魔物を倒し、得点となる生物を捕獲していた以外の点数はもう入らない。


 第三試験会場の外に遠く逃げ出した得点となる生物を追いかけるのは大幅な時間的ロスになる。それは第三試験終了が迫る今において、避けるべき事案である。


 よって、たった今、現実的で効率的な得点確保方法は戦闘、及び得点の奪取である。


 カルロッタは第三試験会場の中央の上空にいる。一番目立つ所であり、その人間と形容することさえも難しい大きな魔力を第三試験受験者は感じ取った。


 それでいてカルロッタは左手に握っていた薄紫色の薔薇を口に咥えた。


 たった今カルロッタはこの場に残っている受験者の全員に宣戦布告を発した――。


 ――第三試験初日、第十七グループ。


「それじゃあ私はここで結界の解析をするので」


 そう言ってカルロッタは地面に横たわり、眠ったように動かなくなった。


 解析のために極限まで集中し、あらゆる感覚を結界の解析に費やした結果、眠ったように動かなくなった。


 そのカルロッタの周りにフォリアは色とりどりの花を置いた。


「……それで、結界の破壊、それにあんなに強大な魔力を発するってことは多くの人がカルロッタを狙うことになる。こちらも援助はするけど限界がある」


 フォリアはジーヴルにそう聞いた。


「そこは……私達が頑張る。フォリア、あの規格外君をどうにか出来る自信はある?」

「もちろん」

「なら話は早い。私達でそのグループを潰せば、カルロッタの負担は大分減らせるはず。私があの変人を何とか出来るとは思えないけど……」

「私の戦いが終わればすぐに援護に行く」

「それならありがたい――」


「――どうする」


 フロリアンは少年にそう聞いた。


「……狙うなら一番です。僕はそのために頑張っているんです」

「……お前と俺であのカルロッタを倒す。出来るな」

「頑張ります」


 そして少年は浮遊魔法で飛ぼうとしたが、その直後に狙われた紫色の炎に襲われた。


「……フロリアンさん、カルロッタさんの所へ行って下さい。僕はこの人をなんとかします」


 少年が杖を向けた先には、不敵な笑みを浮かべるフォリアがいた。


 フロリアンは辺りの植物から集まった植物の葉に足を乗せ、飛んでいるカルロッタの下へ飛んで行った。


 何も言われなかったニコレッタは何をすれば良いのか分からないまま、感知した氷の魔法から逃げるように走り始めた。


 その氷の魔法はジーヴルの物だった。


 逃げるニコレッタをジーヴルは追いかけていた。


 クソッ……!! フロリアンに逃げられた……!! せめてこの眼鏡ちゃんだけは倒さないと本格的に私は頭脳だけの存在になる!!


 すると、私が追いかけている眼鏡ちゃんは突然振り返り、私に杖を向けた。


 動かす足はすぐには止められず、より近い場所で私は止まってしまった。


 すると、私の体は突然動かなくなった。


 ……拘束魔法……。戦闘にまともに使える魔法じゃ無くて良かったけど……。……動くことは不可能。距離は大体3m……。


 呼吸、出来る。心臓、動く。血液、動く。……あくまで行動が出来なくなる。だけど今この状態だと非常に厄介。すぐに他のグループが集まって私を倒すかも知れない。……つまり、何が何でもこの状態を抜け出さないといけない。


「……こんな魔法を使うなんて、優しいじゃん。何で冒険者試験なんて受けてるの?」


 今は考える時間を稼がないと……。


「……お婆ちゃんがいるんです。……いや、いた、と表現する方が正しいかも知れません。冒険者になれば強い仲間を集めることも容易で、敵討ちも出来るんです。だから私は合格しないといけないんです」

「……思いは良く分かった。だけど、私にも合格する理由はある。わざわざ負ける訳にはいかない」


 考えはある。だがそれはある意味で賭けだ。だが、私は第二試験の時からカルロッタに一点賭けしている。今更こんな賭けに臆する程私の度胸は小さくない。


 私はまだ冷たい杖を握っている。私が作った独自の魔法、それを発動した。それは私の最後の手段であり、ある理由からあまり使えない魔法。


「"青く凛と誇る""凍土に咲く薔薇""荒ぶる滝さえも凍る""冬薔薇は白く花を咲かす""冬嶺孤松のように""私は冬空に立ち尽くす"」


 詠唱を終えると、私の体から、止めどなく冷気が溢れた。それは辺りの温度を下げ、そして冷たくした。


「……な、何を……!」


 眼鏡ちゃんは、可愛らしく驚いている表情を見せた。


「……拘束魔法(これ)、あんまり遠くにいる人を拘束するのは無理なんでしょ」


 冷気はただ辺りを凍らせ、氷を作る。少しずつ白い息が私の口から吐ける。


「これは戦闘には使えない。冷気が広がるには長い時間が必要だし、私の体が凍らないようにするために集中するから動けない。だけど丁度良かった。だって元々動けないし」


 すると、目の前で杖を動かせずにいる眼鏡ちゃんの体から体温が奪われているからか、僅かに震え始めた。


「一秒ごとに大体親指くらいの距離、荒ぶる滝も凍る程冷たい温度で固定される領域が広がる。さて、耐えられる?」


 丸眼鏡のレンズは少しずつ水滴が付着し、それが凍り始める。激しく体を震わし、辺りには雪のような白い物が飛んでいる。


 私の髪は徐々に白く染まり、それでいて長く伸びた。


「……"青薔薇の(ローズ・ブルー)…………樹氷(ジーヴル)"……」


 私の体に青い薔薇の蔦が巻き付き、やがて綺麗に華を咲かせる。凛として咲き誇るその薔薇は、ただ冷たく永久凍土のように変わること無く美しくそこにあるだけ。


 冷気は更に広がり、やがて瞼が凍り付き開くことが困難になる程になった。


「……あ……くそっ……!!」


 眼鏡ちゃんはその場から逃げ出した。これ以上いれば足元が凍って動けなくなると分かったのだろう。


 やはり体が動く。相当短い距離じゃ無いとあの拘束魔法が使えないのは正しいようだ。


 しかし、あれは賭けだった。禁止行為の中には殺害がある。


 つまりあのまま彼女があの場所で立っていれば私は殺す一歩手前で魔法を止めるしか手が無い、もし魔法を続けても私が失格になる。


 だが、先に逃げたのは彼女。もう私に近付くことも無いし、カルロッタの脅威にもならないだろう。


「……ばーか」


 "青薔薇の(ローズ・ブルー・)樹氷(ジーヴル)"、ジーヴルの独自で作られた魔法である。


 一秒毎にジーヴルを中心に半径約5cm魔法効果領域が伸びる。魔法効果領域の中は-50℃に固定されており、人間ならばまず生存は難しい。


 故に複雑な魔法術式であり、このように動かず、それでいて少しずつ距離を伸ばすことでしか使えない。しかも持続時間は魔力量が原因で30秒しか持たない。


 その全てを予測出来なかった、ニコレッタの敗北である――。


 ――少年は浮遊魔法を使い、高速で地面と平行に飛んでいた。そのすぐ後に追いかけるのはフォリア。


 狂気に染まりながら、彼女は少年を追いかけていた。


「逃げないでよー」

「……仕方無いですね」


 少年は地面にその二つの小さな足で立った。フォリアも少年の前に立った。


「規格外君って言われてるんだって、君」

「……それはそうでしょうね」

「……初めて見た時から少し怪しかった。君、()()()()()()()?」


 少年は何も言わなかった。否定をしなかった。


 だが、その答えと名乗るように、少年は帽子を取った。


 黒髪黒目の少年は、その漆黒の瞳にフォリアを写した。


「まさか君……!! ……そっか!! それなら納得出来る……!! その大きな魔力も……!! ()()()()()()()()ならば説明出来る……!!」

「……あくまでそうだと言われて育てられました。僕の名前は"()()()()()()()()"。だからこそ、僕は一番にならないといけない」

「君にとっては人間なんて雑魚に等しい。こんな小さな一番になりたいの?」

「……もう一つ、理由はあります。知り合いの占いによると、この試験にリーグの王が失踪したと同時に行方不明となった()()()()()()を持つ人がいるらしいです。それの回収も」

「大魔術師の証……魔術史にそんな物があった記憶はあったけど……うーん……思い出せない」

「……貴方では無いことは分かっています。だからこそ、貴方に手こずる訳にはいかない」

「やってみてよ特別な容姿で産まれただけの少年君。私はきっと、君より強い」


 その笑みには、確かな自信が秘められていた。


 戦闘は一瞬で激化した。


 無詠唱でファルソが向けて撃ち込む上級魔法、それを走りながら防護魔法を交えて防ぐフォリア。


 ……魔力量が段違いなのは理解している。だけど、それだけ。魔力量は恐らく今カルロッタが放出している魔力よりも多いはず。


 上級魔法の消費魔力が50万、それを何発も放てるのなら……最上級魔法を撃てるくらいには魔力量があるかも。


 まあ、最上級魔法を扱える技量が無いのは確実。この上級魔法もギリギリで撃っている。魔力が安定してない。


「大丈夫? 疲れているみたいだけど」

「何時までも防いで大丈夫なんですか? カルロッタさんの隠していた魔力に気付いた貴方なら、僕の魔力量が貴方より多いことに気付いているはずです。このままだと貴方、魔力が切れますよ」

「そんなに戦いたいなら仕方無い。少しだけ見せてあげる。私の魔法」


 警戒したそのファルソは杖を握る力を強めた。だが、それと同時に杖はその手から離れた。


 何かに動かされて杖が独りでに動いた訳では無い。握る力が弱くなったから落ちたのだ。


 両手で握った物が落ちるはずが無い。ファルソはそう思い自分の手を見た。


 自分の小さな右手が落ちていた。ただ地面にぽつりと落ちていた。


 手首が綺麗に切断され、地面に落ちていた。


「"二人狂(フォリ・ア・ドゥ)"。それが私が作った独自の魔法の名前」


 "二人狂(フォリ・ア・ドゥ)"、フォリアの独自で作られた魔法である。


 これは自分と、そして視界の中に一人、人の形をした生物がいることが条件になる。


 相手には自分が過去に経験した幻覚の情景を現実で受ける。例えるなら、フォリアが過去にナイフに刺されて倒れると言う幻覚を見たのなら、相手はナイフに刺されたような傷が出来る。ただしそれに痛みは無い。


 そして、自分にはその幻覚と痛みが伝わる。例えるなら、過去にナイフに刺されて倒れると言う幻覚を見たのなら、その幻覚をもう一度見て自分にはナイフに刺された痛みが襲って来る。


 自分、そして相手にも大きなデメリットが出来るこの異質な魔法は、自分に対してだけ決して利益がある訳では無いと言う奇妙な性質のおかげで魔力の消費と術式の複雑さを少なくしている。


 相手にだけだと指向性を決めなければいけないが、視界に入れた相手なら前にその魔法術式を組み込んだ魔力を放てば良い。


 自分にだけ利益がある魔法を作るのならば自分はその魔法の対象から外れる必要があるが、自分も犠牲になるのなら外す必要も無い。


 この二つの理由によって魔力の消費と術式の複雑さをフォリアは知ってか知らずか少なくしている。


「さて、我慢比べしよっか。私の心がすり減るのが先か、君が死ぬのが先か」


 フォリアはへらへらと笑っていた。その笑みには狂気も含まれており、まるで痛みを物ともしないような余裕さえも含まれていた。


 それに比べファルソは彼女に怯えていた。


 あまりにも異質な、異常な、奇妙な、そんな魔法に怯えていた。右手が切り落とされた痛みが無いのが返って狂気を際立たせた。


 すると、今度は左目が落ちた。


 まるで木から落ちた果実のように自然に、何の痛みも音も無く。


 フォリアはまだ笑っていた。


「私ね、母親が精神異常だったの。その人の妄想が私にまで移っちゃって、思い出すだけで痛い思い出しか無い。だけど、おかげで良かったよ。私にとっては、もう慣れたことだから」


 そう、この戦いはフォリアが有利だ。ファルソはただ痛みも無く体を削られるだけであり、フォリアは痛みを感じる。だが、フォリアにとってその痛みは何度も経験した物であり、もう怯えるような物では無くなっている。


「それじゃあ、綺麗になって」


 ファルソの喉に真っ直ぐ、綺麗な血の線が出来上がった。それは少しずつ少しずつ深くなっていった。


 やがてファルソは年相応に涙を流した。顔の表情を崩し、その自信を、プライドを踏み躙られ、ぐしゃぐしゃの顔で死を恐れ泣いていた。


 やがて死ぬ直前まで切れた時、フォリアは魔法を中断した。


 視界に二人以上が入ればフォリアの魔法は中断される。フォリアの視界の右端にいたのは、銀色の杖を持つ第一試験監督だった。


「辞めろフォリア・ルイジ=サルタマレンダ。受験者の殺害は失格だ」

「……なら止める必要は無いと思うけど。勝手に失格にさせれば良い。私はファルソを綺麗にさせようと……」

「殺害は避けるべき事案だ。お前が何と言おうと、それがソーマさんの意志だ。それとも何だ。俺と戦おうってのか。金の卵風情が」

「……分かった。戦っても勝てない勝負はしない。今の私で()()()()使()()に勝てると思ってる訳じゃ無い。命拾いしたねファルソ。また殺し合う機会があれば」


 そう言ってフォリアは走り去っていった。


「……ファルソ・イルセグ。試験を続行して良いぞ」

「……分かりました」


 ファルソにはもう戦う気力も、体力も残っていないことが第一試験監督には分かっている。だが、それでも止めないのは、それがソーマの意志だからだ――。


 ――意外と来たぁぁー!!


 うわー!! 意外と来たぁぁー!!


 心の中で叫んでいてカルロッタの前には、浮遊魔法で飛んで来る大勢の人々がいた。


 叫ぶことは出来ない。叫べば咥えている薄紫色の薔薇が落ちるからだ。


 すると、植物の葉が複数集まって固まって、その上に乗って飛んでいる変人がいた。


 男性はこちらに向かって飛んでいるが、今度は飛んで来た上裸の男性がその変人を下に殴り飛ばした。


 もう魔法使いの戦いだとは思えない。


 私の役目は出来るだけ向かって来る人達を倒すことだ。この変態の人も倒さないといけない。


 私はジーヴルさんとの会話を思い出していた――。


「――……出来ました! 大体100万くらいの魔力なら出せます!」

「……そうね……。……ヤバイ……あまりの魔力に気分が悪い……」

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫……大丈夫……」


 ジーヴルさんは横になりながら何とか言葉を発した。


「……えーと……つまり生物が逃げたら……。……必ずその魔力量を感じて、しかも点数を手に入れるには……受験者を倒さないといけないから……。……多分カルロッタを狙う……。だから、あえて薄紫色の薔薇を持って空中で戦って……出来る限り倒していけば……恐らく私達が合格する可能性が高まるから……でも規格外とあの変人がいるから……それはフォリアが対処して。私は出来る限り援護するから……――」


 ――私はその人に向けて魔力の塊を放った。


「舐められた物だな規格外!! この筋肉の壁にそのような魔法は通用しないと証明してやろう!!」


 あ、変人だ。と言うか変態だ。


 その変態は腕を交差させ、防護魔法を展開した。


 魔法術式から予想するに恐らく独自に改造した魔法。最悪跳ね返される……あれ? あの魔法、魔法抵抗がほぼ0じゃ? あれれ? ……気のせいだよね。


 だが、その予想に反し、その上裸の変態の防護魔法はいとも簡単に崩壊し、魔力の塊が男性に直撃した。そのまま弱く地面に落ちていった。


 ……ええ……。あ、でも気絶してないし何なら着地しても当たり前のように立ち上がってる。体の頑丈さがシロークさん並だ。


「何やってるんですのあの変態は!!」


 私の後ろからそんな声が聞こえた。


 黒を基礎としたドレスで着飾り、それでいて色とりどりの宝石で彩られた女性だった。


 その手に持っているのは無数の宝石の塊。そこから感じるのは、様々な属性魔法。


 カルロッタが知らない彼女の名前は"()()()()()()()()()()()()()()()()"。使う魔法は――。


「"高貴な魔法石(エーデル・シュタイン)"!」


 "高貴な魔法石(エーデル・シュタイン)"。それは宝石に魔法を刻む。


 宝石とは魔法的な価値が高い。故にその宝石に魔法を刻み、宝石を媒介に魔法を使えばその威力及び効果は何倍にも跳ね上がる。


 とても小さな魔力で、とても難易度の低い魔法で上級魔法に匹敵するような魔法もある程度高純度な宝石さえあれば使える。


「"フォイア"! "ヴァッサー"! "ヴィント"!」


 撒き散らされた宝石から魔法が放たれた。炎、水、そして風が吹き荒れる。だが、それなら私で簡単に対処が出来る。


 "魔法を跳ね返す"魔法はとても便利だ。こんな魔法なら簡単に跳ね返せる。


 その全てを跳ね返すことは容易であり、跳ね返された魔法は宝石を砕き、それに合わせて放たれた私の魔力の塊が女性に直撃した。


 次々と飛んで来る人達を魔法の塊を直撃させた。流石に杖一本では難しくなってきた。


 すると、落ちていた変人が私の視界に入った。


「……すまなかった。お前を格下に見て」


 私は口に咥えていた薔薇を手に取って、言葉を発した。


「気にしてないですよ。仕方無いことですから」


 その「仕方無いことですから」と言う言葉が、フロリアンのプライドを傷付けた。


 彼は面倒臭い男だ。人間にとって別格とも言える大きな魔力量と、他を突き放す圧倒的な才能。それを抱えた彼の性格に影響された、他を突き放したが故の「他人とは違う」と言う特別感。


 良くも悪くも彼は中二病だ。故に彼は、孤独であった。


「貴様は絶対に……」

「それより大丈夫ですか? さっき殴られてましたけど」

「ぶっ殺す!!」


 それと同時にフロリアンが持っていたチィちゃんの枝が成長を始めた。フロリアンの体に枝が巻き付き、各方向に枝を更に伸ばした。


 魔法使いの杖は指向性を定めるための道具である。故に何か操りたい物があればその物体に杖を向けなければならず、それは複数の物体を同時に操るフロリアンの魔法では克服しなければならない課題である。


 フロリアンはそれさえも克服した。聖樹の苗木(チィちゃん)は本来高性能な杖の素材となる木であり、故に魔力抵抗率が極めて低い。


 その植物さえも操り、杖の代わりとする。それがフロリアンが求めた複数同時に指向性を定める方法。


 チィちゃんの枝の先の物体を操る。"植物を自在に操る"魔法は、更に昇華された。


「"植物愛好魔法(プラント・ラヴァー)"」


 多くの植物の葉を操り、やがて空を埋め尽くした。


「第三試験会場の至る所にある植物に魔法を刻んでいる。つまり、どう言うことか分かるはずだ。貴様程の魔法使いなら」

「圧倒的な物量、ですか?」

「……それ以外にも分かるだろ」


 その葉は全てカルロッタを襲った。青々しく茂るように、風に吹かれるように縦横無尽に飛び回る葉の速度は目に捕らえられない。カルロッタは薔薇をもう一度口に咥え両手で杖を握った。


 襲いかかる異常に硬い葉の全てをカルロッタは防護魔法で防いでいた。


 カルロッタはフロリアンを評価していた。


 魔法の使い方が上手い。人間にとって魔法の同時発動は難しい。浮遊魔法を使いながら他の魔法を使うことが出来る人間は少ないってお師匠様も言っていた。


 それはこの人も例外じゃ無い。だから浮遊魔法を使わず空を飛んでる。


 自分が使う魔法に二つ以上の効力を見出す。本当に天才だ。


 フロリアンはカルロッタを嫌々ながらも評価していた。


 魔法の技量が凄いな……。何で浮遊魔法と並行して魔力の塊を飛ばせるんだ……。本当に人間か?


 本来魔法使いの対空戦は浮遊魔法を一旦辞めてから魔法を使う。当たり前のように落下しながら魔法を使うため上空にいる方が有利になる。


 だが、あいつは違う。


 あの宝石で魔法を使う奴の魔法を跳ね返していた。あの瞬間も空中で動きながら跳ね返していた。つまりあいつは浮遊魔法を使って魔力の塊だけでは無く他の魔法を使っている。


 これだと植物の葉を固めてそれに足を乗せて飛ぶ俺が馬鹿みたいだ。……認めるしか無い。あいつは、本物の天才だ。


 奇しくも二人の評価は一致している。目の前にいる魔法使いは、「天才」の二文字が出会う人物だと。


 カルロッタは思考していた。


 手数なら相手の方が有利。それに……葉っぱの一つ一つに防護魔法の魔法陣が刻まれている。魔法陣に流す魔力は何処から……。


 ……植物!! そうだ!! この人植物から魔力を吸収してる!!


 第三試験会場全ての植物では無いだろうけど半数の植物から魔力を吸収してる!!


 魔力切れを考慮するのは辞めた方が良い……。……じゃあ……あ、そうだ。良いこと思い付いた。


 カルロッタは魔力を放つのを辞めた。その代わり浮遊魔法でその無数に動き回る植物の青々しい葉を避けるように飛んでいた。


 ……何だ……? ……試験終了まで粘る気か。


 すると、フロリアンの視界には色褪せた灰色の髪の老人が写った。


 フロリアンは飛び散っている植物の葉をその老人に向けて動かした。


 襲いかかった葉は、その老人を叩き落したように見えた。だが、その植物を塵にする青い炎が燃え盛った。


「何やら大袈裟な魔法ですが……それに見合う技術を持っておられるようで」

「植物を燃やすな貴様ぁ!! ぶっ殺すぞ貴様ぁ!!」

「……大変申し訳無い……」


 その老人は燃え尽きた炭のような白い木の短い杖を向けた。


「手加減をしなければならない程の弱者では無いことは分かっています」

「貴様に集中出来る程こっちは余裕じゃ無い!! 一瞬で叩き落とすぞ貴様ぁ!!」


 カルロッタに5割、こいつに3割、その他に2割の葉を使う!!


 老人は浮遊魔法を使いながら詠唱を始めた。


「"黄色い砂""それは火の山の口から落ちる""松明の火は燃え移り""黄色い砂は蒼い炎を上げる""妖しき鬼の炎は魂さえも燃やし""やがては完全燃焼を齎さん""放たれろ、神秘を秘めた蒼き焔よ"」


 浮遊魔法を辞め、そして向けていた杖の中から青い炎が漏れるように溢れ出した。


 そこから放たれた青い炎が大きく放たれた。


 "(シーニイ)(プラーミャ)"、それが老人の魔法である。


 とても単純な魔法だ。普通の火属性の魔法よりも遥かに高温な炎を放つ。


 だが、老人は奥の手があるが、それはまだ使うことは無い。


 フロリアンの視界には青い空では無く蒼い炎だけが見える程大きく球として放たれている。


 だが、その炎を掻き分けるようにチィちゃんの枝が伸びた。より多くの枝が集まり、巻き付き、炎を物ともせずにその老人を叩き落した。


 そのまま地面に激突する直前に浮遊魔法を使い難を逃れたが、着地しながら老人は考えていた。


 ふーむ……。完全詠唱でもダメージを与えられないとなると……あの二人の戦いは誰も割り込めませんね……。これ以上割り込めば最後戦闘不能になり失格になりますね……。


 何方かが倒れれば……いや、もう片方を倒せる実力は私には無いでしょう。ここはマンフレートとアレクサンドラと合流して……。


「……誰かいるようですね」


 老人が振り返ると、そこには杖を向ける四人がいた。


 ……四人……協力している……いや、それにしては様子がおかしい。ならば恐らく……。


「操っている人がいるようですね」


 その言葉に答えるように、シャーリーがその四人の後ろに姿を現した。


「ふむ……厄介だの。出来れば姿を見せずに倒したかったのだが……名前は何と言うのだ老耄よ」


 老人は鼻髭を弄りながら思考していた。


 洗脳の魔法……。名前を答えるのが条件の可能性もありますが、もしそうだとすると操っている人の数が少ない。なら恐らく名前を答えるだけが条件では無いはず。ここは一旦答えて様子見をしますか……。


「お初にお目にかかります。"()()()()()()()()()()()()()()"と申します」

「シャーリー・パートウィーだ。うむ……ドミトリー……何処かで聞いた名だが……はて、何処で聞いたのかの」

「役職も名乗りましょう。()()()()()()()が筆頭、ドミトリーでございます」

「……ああ、思い出したぞ。今は失踪したリーグ国王陛下の宮廷を守る魔法使いで構成された一つの組織か。しかし……このような老耄を雇う程リーグは廃れたのか」

「いいえ、私よりも強い御方はそれはそれはもう多くおられます。私は若い頃はリーグの一兵士だったのですが、実力を認められ魔導衆に入った、と言うだけです」

「ならばその実力は相当な物のはず。今更その老体で、冒険者試験を受けて何をすると言うのだ」

「……少し、人生の最後に私の血が滾りましてね。それならば冒険者にでもなりましょうかと思い、それをソーマ様に聞いた所、『ああ、自由にしろ。偶にはリーグに帰れよ。せめて墓はリーグに作ってくれ』と言いましてね」

「……意外と友好的なのだなソーマと言う方は……」

「ええ、奥様も綺麗ですし、故に人望があるのが良く分かります。さて、そろそろ始めましょうか。ダラダラと語るのはお好きでは無いでしょう?」

「良く分かっているでは無いか老耄」


 二人は悪い笑みを浮かべていた。


 やがて操られている一人が杖を振った。それと同時に大きく風が吹き荒れ、ドミトリーを吹き飛ばした。


 木々さえも土が剥がれ根を抜き吹き飛ばしている。ドミトリーはその吹き飛んでいる木々に飛び移りながら杖を振り青い炎を撒き散らしていた。


 だが、その炎は操られているもう二人が使う強固な防護魔法で遮られ通ることは無い。


 シャーリーは思考していた。


 ……ふむ。炎か。熱くて堪らん。それに威力が高い。宮廷守護魔導衆は伊達では無いと言うことか。


 操る人間の魔法も使えるから良かった物の、我の魔法だけでは決して倒せなかっただろう。


 ドミトリーは思考していた。


 純粋に手数が多い……。まあ、それはそうですよね。シャーリーは洗脳のため魔法を使えないと仮定すれば、あの四人が他の魔法を使うでしょう。今使っているのは三人……。残り一人が不気味ですが……。


 攻めるにも難しい。なら……。


「それは精神を破壊する行為になるのでは?」

「その恐れがあっての。事前に聞けば元に戻るのなら大丈夫と返って来た。ただし操られればそこで戦闘不能状態と見做されて失格らしいがの」


 恐らく操られた人に痛みは無い。……私の魔法は殺傷力が高い。失格者と言っても殺害すれば私が失格になるでしょう。


 ……なら、やるべきことは……。


 ドミトリーは大きく青い炎を巻き上げ、それを放った。


 木々を塵よりも小さく焼き尽くし、シャーリーの前面まで迫ったが、やはりそれも防護魔法で防がれる。


 次に写った視界にはドミトリーはいなかった。


「……逃げたか。賢明、それとも臆病者か……。いや、賢明だろうな。逸早く不利なことに気付くとは。……他から得点を奪うとするかの――」


 ――フロリアンとカルロッタは未だに交戦していた。


 いや、交戦と言うのもおかしい。傍から見れば一方的な戦いに見えるのだろう。


 フロリアンが動かす無数の青々しい葉が怖ろしい程襲いかかり、それを杖が触れる程ギリギリでカルロッタが避ける。


 そして乱入する受験者をフロリアンは軽々と叩き落とす。ただそれが数分程続いた。


 ……何だ? 何か違和感がある。


 まだ魔力には余裕があるはずだ。にも関わらず何故逃げている……。


「どうしたカルロッタ! さっきから逃げてばかりで!」


 煽ってみるが……どうだ。反応するか。


 だが、カルロッタは反応せずにただ超高速で飛び回るだけだ。


 ……本当に何故だ……。


 すると、カルロッタは突然動きを止めた。ここで一気に攻めるべきだが、フロリアンは突然の変化に警戒し、全ての葉の動きを止めた。


 カルロッタは薄紫色の薔薇を左手で掴み、そして口を開けた。


「……そろそろかな。それじゃあカウントダウン。ごー」

「……何のカウントダウンだ」

「貴方が負けるカウントダウンですよ。よーん」

「さっきまで逃げ回っていたのに何を言っている」

「魔法って、奥深いんですよ。さーん」

「……そうか。何かをする前に倒す」

「出来るのならどうぞご自由に。にー」


 そして夥しい数の葉はカルロッタに向かった。


「いーち」


 その言葉と共に、フロリアンが操る植物の葉の一つが急に大きくなった。


 ただ少し大きくなった訳では無い。大きさも質量も大体50倍程大きくなっている。そう、これはカルロッタが覚えた"好きな植物を50倍の大きさにする"魔法である。


 カルロッタは超高速で逃げ回りながらフロリアンが操る植物を杖で触れていた。もし攻撃をすればフロリアンは防御のために葉を近くに飛ばしておくが、逃げることで全ての葉が攻撃に回りカルロッタの方へ向かう。


 一枚一枚どんどん巨大化していった。


 急激に、唐突に、予想外の事象に、フロリアンの頭脳は本能的に状況の理解に全ての容量を費やした。


 秒数にして一秒だろうか。その僅かな時間だけ植物を操ることを忘れていた。


 その一瞬の隙を、カルロッタは狙っていた。


 超高速で飛び、フロリアンの体に杖の先を押し付けた。


 回避は不可能、防御に回す葉は間に合わない。純粋で単純な魔力の塊は、フロリアンの体に直撃した。


 やがてその威力に地面に叩き付けられた。


 最早立つことも出来ず、大の字で地面に寝ていた。


 フロリアンは果てし無く青い空を見上げていた。ただ己に満たされた敗北感を初めて感じ、青い空に浮かぶ圧倒的な強者である彼女を眺めていた。


「……負けた……。……チィちゃんがいなければ……すぐに戦闘不能になった……。……負けたのか。……そうか。俺は……敗けたのか」


 初めての敗北。だが、何故か不快では無い。むしろ心の片隅に眠っている孤独の穴が塞がり、充足感を得ていた。


「……楽しかったな」


 心の奥から、ずっとずっと奥に潜めていた、正直な言葉だった。


 この第三試験の戦いは、第三試験の受験者の実力も冒険者ギルド発足以降において上くらいに君臨出来る実力者ばかりの集まりだった。


 その中で、更に規格外であるカルロッタとフロリアンの戦い。冒険者ギルド発足以来類を見ない程の大規模な戦いであった。この戦いはカルロッタの伝説の一つとして語られる。


 その戦いから27分後。


『えー……第三試験終了を……お知らせいたします……』


 第三試験中にそのような声が響いた。それと同時に戦闘をしていた受験者は杖を収め、第三試験開始場所に戻っていた。


 そこにはペルラルゴがいた。


「そそ、それでは……第三試験の合格者はこちらで発表します……」


 その発表されたグループの中に、カルロッタの十七グループも入っていた。


 第三試験合格者は計16人。だが、その内6人が最終試験へ進むことを拒否した。


 カルロッタとフロリアンの戦いは大規模であった。そしてカルロッタの魔力量に、フロリアンの技量に、これ以上進むのは自分では実力不足と言う人が第三試験合格を棄権をした。


 あまりの異常事態にペルラルゴは困惑したが、最終的に押し負けてそれを認めてしまった。


「……えー……。それでは……棄権者も出たので……残った合格者を発表します……。一番点数が多いグループに所属していた人から順に発表しますので……。……カルロッタ・サヴァイアント。フォリア・ルイジ=サルタマレンダ。ジーヴル・サトラピ。フロリアン・プラント=ラヴァー。ファルソ・イルセグ。ニコレッタ・ガリエナ。ドミトリー・シーニイ・プラーミャ。マンフレート・シュヴァーベン。アレクサンドラ・エーデル・シュタイン。シャーリー・パートウィー。この十名が……第三試験合格と言うことで……それでは一日の休息を挟むので……また明日同じ時間に冒険者ギルドへ……」


 そう言ってその場は解散した――。


「――ファルソ・イルセグはどうしましょうか」


 第一試験監督が綺麗な黒色の髪で稲妻のように光る黄色の瞳の女性とチェスをしていたソーマに話しかけていた。


「少し待て。久し振りに妻と会っているんだ。そんな時間を無下にしないでくれ」

「……昨日も会ったでしょう」

「昨日だぞ!? 昨日から会っていないんだぞ!? 長い時間だぞお前!!」


 第一試験監督は大きくため息をついた。


「何で俺はこんな人に仕えているんだ……」

「おうこらどう言う意味だ」

「……ファルソ・イルセグの処分はどうするんですか」

「……まあ、別に良いだろ。わざわざ難しい人間の試験に出たんだからよ」

「難しい? 魔人である彼にとっては然程……」

「じゃあ、何であいつは負けたんだ? ただの人間に、しかもまだ100年も生きてない奴に」


 第一試験監督は言葉に詰まった。


「魔法は大きな魔力を持つ魔人の方が強いと良く言われる。だが、それは間違いだ。魔法なら人間の方が有利だ」


 ソーマは達観した目で天井を眺めた。


「魔法の天才は人間から生まれやすい。それは、人間の方が魔人よりも数が多く狂人が多いからだ」

「……しかし貴方は世界的な強者が集うリーグにおいて一番の魔法使いです」

「俺は元人間だ。ルミエールも、それに……俺の友達も。『固有魔法』も、人間だった頃に身に着けた。世界って言うのは上手く出来ている。全ての種族は奇跡的なバランスで均衡を保ち、一つの種族が天下を取ることは無い。だからこそ多種族国家であるリーグは軍事力を高めた」


 彼は500年前に瞳の裏に焼き付いたリーグの王の輝きを思い出していた。


 リーグの王とは古くからの友であり、彼とリーグの王とルミエールは同じ故郷を持っている。


 故に親しく、リーグの建国を手伝った一人である。


 リーグの建国当時からずっと傍にいた彼は、未だに星の光を色鮮やかに覚えている。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


何だか色々凄いことになり始めた……。

……合格者全員把握出来るか懸念がありますが頑張りたいと思います……。

フロリアンとフォリアとファルソの実力の補足をしておきます。フロリアンとファルソが大体互角。二人が協力すればもしかしたら契約で縛られたカルロッタを倒せた……かなぁ? ちょっと無理かなぁ?

フォリアは契約で縛られたカルロッタと互角……と言うかフォリアの魔法が人間相手に強すぎるって言う理由がありますが……。

(……今回もどうでも良い設定出すか……)

ルミエール。

身長159cm

魔力量不明。

好きな食べ物無し。(好物をある理由で今は食べられないため)


メレダ。

身長141cm

魔力量不明。

好きな食べ物無し。(とりあえず食べられるなら満足する)


ソーマ・トリイ。

身長175cm

魔力量不明。

好きな食べ物、妻が作るテンプラと言う謎の食べ物。(恐らくリーグの文化的な料理)


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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