挟まれた綺麗な日記 魔王の会合、平和の教団
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
少女は、現世では無い異界へと足を踏み入れていた。
中はとても豪勢だった。大きな硝子の窓から差し込む明るい日光、それを僅かに反射する白い壁。広い廊下。むしろ寂しさまで感じた。
その奥にある玉座の間。少女はたった一人でそこへ向かっていた。
その少女には右腕が無く、左目が無かった。だがその傷を気にもせず、ただ薄ら笑いを貼り付けていた。
そして、彼女は玉座の間に踏み入った。
数段上の場所にある玉座は垂らされている白い薄布で隠されており、そこに座る王の姿は影でしか見えなかった。そしてその隣には、青髪の男性がいた。シャルルであった。
その更に下段には、合計七人の騎士と魔法使いがいた。その中の四人、一人は急に来襲し、ソーマと交戦した山羊の亜人の男性。
もう三人は、教皇国へと攻め込んだ主要人物の三人であった。だが、一人はマーカラに殺され、二人は無惨な姿で拘束されているはずだ。だが、何とも涼しい顔で神に等しい星皇と不躾にも名乗る者の傍に仕えていた。
「やあ久し振り、と言う程でも無いか。ああ、それともこの姿で会うのは初めてだから初めましてかな?」
「……ジークムントか……!」
「おー流石。流石魔王様」
少女はその場で拍手した。
「少々事情があって今はこの姿何だ。ああ、手助けはいらないよ。何とか出来る伝手があるんだ」
「……そうか。……此度の件、結果はシャルルから聞いておる……。……残念な結果ではあったが……可能性を感じた。……何、ルミエールだけなら……我一人で充分だ……カルロッタ・サヴァイアント程度なら……何とでもなる……」
「これからどうするんだい?」
「……万全を期したい。……ジークムントよ……試作品として作ったドラゴンを……大陸の端に放ったと言ったが……」
「ああ、件のカルロッタ君に倒されたよ。まあ試作品としては予想以上の出来だったし、カルロッタ君の初級魔法を通さない程の魔力放出及び密度があった。上質な材料があれば、まあ今のルミエール君の数十か数百倍程度の実力を誇るドラゴンは作れるかな、と言う所だ」
「具体的に……何が必要だ……」
少女は口角を上げた。
「竜人族の王の遺骨さえあれば、ね。それと君が力を別けてくれれば、最早敵無しだろう」
「……良いのか……? ……それは……メレダの父と言うことだろう……? ……実の父の遺骨を扱うのか……?」
「何の話だい? 何故今メレダ君の話が――ああ! 僕の妹だからか。安心してくれ。僕とメレダ君の父親は別だ。母親も別だけどね」
「……そうか。……此方で兵は送っておこう……全てを、持ってこれるだろうか」
「まあ、リーグが管理してるだろうねぇ。竜王の墓場を暴くとなると、四騎士が来る可能性も十二分にある。そうなると今の君の戦力だと厄介だろうね」
「……仕方あるまい……また、お主に頼ることになるな……」
「頼ってくれよ。協力関係だ」
そのまま少女は別れの言葉をして帰ってしまった。
玉座に座っている彼は、深く息を吐いた。
「……主よ、あの男を信用して良いのですか」
シャルルは薄布越しにそう言った。
「……手綱を握れるならば、そうした方が良い……離した後が恐ろしい……。彼の……あの不明瞭さは使える……」
「……行き過ぎた詮索だった様ですね。申し訳ありません」
「良い……疑問を誰かに投げ掛けるのは決して悪では無いのだから……。……聞いたな、七つの星々達よ……戦の準備に取り掛かれ……――」
――少女は、また何処かも分からない場所に来ていた。
十三人の黒いフードを被った人間が、少女の周りに集まった。その内の一人の女性が声を掛けた。
「聞いて下さいジークムント様。此度、新たに三人の女児を捕らえて参りました。これで後三回は大丈夫です。褒めて下さい」
「もういらないし、何で女児だけなんだ。僕はそう言う趣味は無いよ。これだって仕方無くだ」
「……そうですか」
すると、一番背丈の高い男性が女性を嘲笑った。
「だから言っただろう。お前は馬鹿だから何もするなと」
「馬鹿に馬鹿と言われたく無いでーす」
「知能評価では私の方が上だ」
「でも指揮官は私でーす」
その二人の言い争いに、少女は間に入り止めた。
「辞めてくれ。喧嘩をする暇は無い。今から相当忙しくなる。僕達の目的を、忘れないでくれよ?」
十三人の彼等彼女等は、一斉に返事をした。
「我等"フリーデン・アリウス教団"は、再度星皇をこの世界に降臨させる。決して、忘れてはならないよ。その為に、自由を掲げよう」
少女はまた薄ら笑いを貼り付けた。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
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