日記4 必要な冒険者試験! ①
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
私はヴァレリアさんにほっぺをつねられ、横に伸ばされていた。
「なーんーでーひーとーりーでーいーったのよー‼」
「ごめんなふぁい……」
「私がそんなに頼りないように見えたのかしらー?」
「あれはじょうひのまひんらったのれ……」
「赤毛と赤目は珍しいから高く売れるわねー?」
「ほんほうにごめんなふぁい……」
容赦なんて無いのかとてもとても強くつねられている。私のもっちもちのほっぺが千切れてしまう。お師匠様にも良くちょっかいをかけられていたほっぺが千切れてしまう。
「……まあ、シロークが無事なのは良くやったわよ」
「じゃあふぁなしてくだふぁい……」
「もう少しもちもち加減を楽しませなさい。ある意味で貴方の罰よ」
「もーちもち。もーちもち」
「もーちもちもちもーちもち。カルロッタのほっぺはもーちもち」
つねる手は何時の間にか私のほっぺをもみもみ揉んでいる。
シロークさんも便乗して私のほっぺを揉み始めた。
……もちもちが揉まれている……二方向からもちもちが揉まれている……。
私達がいる場所はシロークさんの実家。つまりマリアニーニ家の屋敷だ。
ジャンカルノさんは少し窶れた顔をしていたが、それでも感謝の言葉を述べた。
「ありがとう。魔女の方よ。私の愛娘を守ってくれて。もちろんお礼はするつもりだ」
隣のヴァレリアさんの目が輝いている。
「あーそうそう。この場にルミエール様が来ているのだが、どうやら帰る前に君と話がしたいそうだ」
「ルミエールさんがですか?」
「ああ。恐らく魔人を倒したことのお礼だろう」
そう言われて私はルミエールさんがいる部屋に入った。
「……何処かで、見てるのかな……」
その少しだけ高い声は、誰かに恋をしているように聞こえる。
お師匠様も良く星空を見上げながら何かを呟いている時がある。何と言っているのかは決して言ってくれなかったが。それでもこのルミエールさんの目と全く同じだ。
「……あ、いたんだカルロッタ。気付かなかったよ。ここに座って」
そう言われてルミエールさんに言われるがまま椅子に座らされた。
目の前にある丸い机には色とりどりなケーキが並べられてあった。
何だか久し振りに見た美味しそうなスイーツだ。きっととても甘くて、とても爽やかで……。
ルミエールさんは私の顔を見てクスクスと笑っていた。
「そんな顔しなくても、食べて良いよ」
「本当ですか! 頂きます!」
ルミエールさんはまたクスクスと笑っている。まるで小さな子供でも見るような顔だ。確かに500年も生きている人から見れば18年しか生きていない私は小娘だが……。
「……美味しそうに食べるね」
「はい! 美味しいです! 特に柑橘類のロールケーキが!」
「なら良かった。……今日はありがとうね。ちょっとしたトラブルが起こってね。あの魔人の対処が遅れたの。あのままだったらきっと、被害が増えたから。本当にありがとう」
そう言ってルミエールさんは机に小さな何かを何個も置いた。
手にとって見てみると、碧く輝く宝石のようにも見える。だが、それにしては異常とも言える程の魔力が宿っている。
「貴方のその杖はひょっとして……」
「多分思っていることは当たっていますよ」
「そっか。じゃあ良かった。それは杖に付けておいて。相当貴重な物だから大切にね?」
「ついでに言うとどれくらい貴重な物何ですか?」
「そうだね……うーん……私を三日雇えるくらい」
ルミエールさんはまたクスクスと笑っている。
そして凄く分かりづらい例えだ。
未だに金銭感覚が良く分からない。こればかりはお師匠様も分からなかったのだろう。
「そう言えば、何処か目的地はあるの?」
「特には……ああ、でも私は身元が分からないので、ヴァレリアさんがニールに行けば何とかなるかも知れないらしくて。今はニールを目指してますね」
「ニール……ああ、そう言うこと。ならお礼として少しだけ助言してあげる。あの十字架は持ってる?」
「はい」
「あれはあまり人に見せる物じゃ無いけど……ニールで困った時にはそれを見せて。話はこっちで通しておくから」
「あれは何なんですか?」
「あれは本来……」
ルミエールさんは言葉を渋っていた。
「……うん。きっとカルロッタが持つべき物だよ。貴方はあれに相応しい」
だから結局何なのだろうか。
答えないと言うことは何か不味いのだろうか。お師匠様はどんな物を渡してきたのだろうか……――。
――シロークはジャンカルノの前で真剣な眼差しで見ていた。
「お父さん。頼みがあります」
「何だ改まって」
「……これからカルロッタと旅に出ようと思います」
ジャンカルノは少しだけ驚いた顔をしていたが、それでも納得をしているように目を閉じていた。
「……そうだろうなとは思っていたが……やはりシロークがいるにはここは狭すぎたか。……少し聞かせてくれ」
ジャンカルノはシロークの父親だった。だからこそその行動力を良く知っている。
「……娘を止めることも出来ず、魔人と戦わせてしまったこんな私でも、父親でいられただろうか」
「それはもちろん。そうじゃ無ければ挨拶もせずに出てます」
「……そうか。……そうだな」
自責の念とは重い物だ。父親であろうとしたジャンカルノは、ただ受け入れるしか無かった――。
「――あーたーらしーいーあーさがきたー。きーぼーおのあーさーだ。よろこーびに……」
「何の歌?」
ヴァレリアさんの問いかけに私は答えられない。
「さあ? お師匠様が夏の朝に変な動きで歌ってたので、それを覚えているんです」
必ず夏にしか歌っていなかった。水に入る前に同じような変な動きをしていたから変な動きは準備体操だろう。多分。
ただ、本当に深く頭に刻まれている。
「あ、そうでした。ルミエールさんからこんな宝石を貰って、杖に付けようと思ったんですけど私はどうもそう言うのが不得意で……」
「分かったわ。杖に付ければ良いのね? 何か要望があれば聞くけど」
「最初から付けている宝石には傷を付けないで下さい」
「了解!」
そのまま何だか色々としていたが、何をしているのかは良く分からない。分からないが、まあとにかく私の杖を改造しているのは分かる。
「はい完成!」
そう言ってヴァレリアさんは杖を手渡した。
赤い宝石を固定している部分に碧く輝く宝石が埋め込まれていた。
うん。流石ヴァレリアさん。
すると、シロークさんが馬に乗ってこちらに来た。
腕を振り、嬉しそうにこちらに向かっている。
「カルロッター! ヴァレリアー! 話はつけて来たよー!」
ようやく来た旅の同行者。私は心がぽわぽわする二人に囲まれて旅をする。
ただ旅を続ける。特に理由の無い旅をずっと続ける。
「それで、今後の目的地は何処へ行くんだい?」
「ニール。このままだとカルロッタがミノベニア独立国家に入れないのよ」
「入れないって……身元が分からないのかい?」
私はその理由を答えた。
「赤ん坊の時からお師匠様が作り出した結界の中にいたので生まれも育ちも分かりません」
「ひょっとしてカルロッタは重い過去があるのかい?」
「さあ? お師匠様は特に知らないらしいので私も知りません」
ただ、少し思ったことがある。お師匠様の結界は外から中に入ることは本来困難なはずだ。それにお師匠様は結界の外に出ることはありえない。
つまりお師匠様は私を結界の中で拾ったと言うことになる。
お師匠様の結界を破る程の何かが無いとそれはありえない。
……もしかしたら、お師匠様は私に何かを隠しているのかも知れない。いや、隠していることの方が多いだろう。
せめてこの旅でお師匠様のことが少しくらい分かることを願おう。
「そう言えばヴァレリアの過去も知らないや。教えてくれるかい?」
シロークさんは一緒に旅をすることになったからか、質問を続ける。ヴァレリアさんは少しだけ迷惑そうに顔をしかめたが、少しずつ口を開けた。
「……特に何も無いわよ。田舎臭い小麦に囲まれるのが嫌で、ならせめて旅をしようと思ったのよ。ただ色々あって両親を失っただけ」
「……ひょっとして辛いことを聞いたかい?」
「特に。周りの人から聞いただけだから本当かどうかも分からないわ」
何だか境遇としては私に近いと感じた。
「死んだ理由は何だっかしら……。ああそうだわ。私を産んだ時丁度その年は不作だったのよ。あんな田舎の所だと商人も、何なら交通網もほとんど機能してないし、人がいる所に行くなら馬もいないから一週間以上。だから子供は良く間引かれたわ。それでも何とかしようとあそこの村人に訴えかけてあの二人は自分で命を断ったのよ」
思っていた以上にとても重い過去だ。それを何も思っていないように自然に言うヴァレリアさんに驚いている。
「何でそんなにさらっと……」
「だって私は覚えてないのよ。覚えていない物を悲しめなんて難しい話よ」
「それはそうですけど……」
「……まあ、だからこそあの村から出たかったのかも知れないわね。別に間違いって言いたい訳じゃ無いわよ。仕方無いって、納得もしてるわ。極限状態なら自分の子供も殺すことを私がしないなんて断言出来ないし。それでも、お金さえあれば往復二週間で全員助かることも出来たような気がするって……7才の時に思ったのよ」
ヴァレリアさんと会話すれば分かる。この人はお金が好きだ。だが今の会話からは、お金を稼ぐのは死にたくないからと必死な物を感じる。
恐らくヴァレリアさんの根底にあるのは、お金が無くなることの恐怖心、と言うのだろうか。無ければ死ぬ怖ろしい物。その恐怖を成長と共に欲求に変えたように思える。
「……まあ、私はあの村は好きよ。ここ十年で連絡技術が発展して不作になっても他の地域からの援助が受けられるようになったし、私の発明品のおかげで農耕技術も発達したし」
その感情に嘘偽りは無いのだろう。事実ヴァレリアさんはあの村にずっと住んでいた。馬代わりの機械が出来ればすぐにでも村を出ることは出来るはずだ。思い入れはあるのだろう。
私もその当時の間引きを残酷だとは思うが、仕方が無いと納得するしか無い。
その当時を生きている人達にとってそれは苦心の行動に違いない。ただそうしなければ死ぬ。そんな環境。
そんな過酷な環境にいた時に起こった残酷な出来事を、豊かな環境でしか過ごしていない私達が批判出来る物では無い。
「はいはい! 暗い話はここで辞める! これからの旅がこんなに重苦しい物になったら堪らないわ! 旅は楽しく笑顔で!」
あの話でそれをしろと言うのも難しい話だ。ヴァレリアさんは気にしていないのだろうが、やはり難しい。
やがて日が落ちる直前に街に寄った。
やはり栄えている街が近いからか、ここもある程度栄えている。
流石に領主の館程の物では無いが、中々に良い宿だ。少しだけ料金が高いが仕方無い。野営よりは必ず良い。ヴァレリアさんは少しだけ苦い顔をしていたが。
私のほっぺは今シロークさんにむにーっと伸ばされている。
「あゔぁゔぁゔぁ……」
「柔らかいねカルロッタの頬は」
「あぶぶぶぶ……」
私のほっぺが遊び道具にされている。このままでは私のもちもちほっぺが毎日もみもみされる。
横に伸ばされ、そして押し込まれる。
僅かな抵抗としてほっぺを膨らませてもシロークさんの人差し指につつかれて、口から空気が溢れて膨らませたほっぺは萎んだ。
そしてまた揉まれる。両手で鷲掴みにされて揉まれる。
「あ、シロークだけズルいわ。私にも揉ませなさい」
「カルロッタは嫌がって無いからどんどん揉んでやろう!」
あまり触るのは勘弁して欲しい……。
そしてやはりヴァレリアさんとシロークさんは私のほっぺを揉んでいる。
……楽しそうだし私も特に苦では無いせいで止めることが出来ない。
……胸でも揉んでやろうか。幸いこの二人は私より大きい物をお持ちだ。……辞めておこう。返り討ちに合う可能性の方が高い。
良いようにされるがまま、この二人が飽きるまで揉まれた。
仕返しとはまた違うが、逃げられないようにほっぺを揉んでいた手を思いっきり握った。
ふふふふふ……もう逃げられぬぞヴァレリアさん、シロークさん。
……二人の力が思った以上に強い。少なくとも私よりも強い。
案外簡単に離され、そのまままたほっぺを揉まれた。
「あばばばば……ぶぶぶぶぶ……」
「はいもーちもち! はいぷーにぷに!」
ヴァレリアさんの掛け声に合わせるように揉まれて揉まれて揉まれ続ける。それがただただずっと、ずっと続いた――。
「――カルロッタ・サヴァイアントぉ?」
男性の気怠そうな声が響いた。
白い軍服に黒いマントを羽織っている黒髪金目の青年と言える容姿の男性の前には、細かで、それでいて芸術性を秘めた装飾で飾られているティーカップで紅茶を嗜んでいるルミエールがいた。
「そう。多分来るからよろしく」
「良いのかそれ。捕らえなくて。サヴァイアントってあれだろ」
「……少し泳がせてみようかと思ってね。……彼女のお師匠様は今の所最重要人物の可能性が高いからね。見つけ次第戦闘は免れないかな」
その顔は何よりも覚悟した顔だった。その顔に、その青年は驚いていた。
「……お前、そんな顔出来るんだな」
「……もちろん。必ず止めないといけないからね」
「……分かった。あれを持つ赤髪赤目の天才ちゃんを見定めるのが俺の役目だな」
青年はルミエールの心情を全て知ることは出来なかった。だが、ある程度のことは知っている気だ。
何故ならこの青年は、500年前の激動の時代を生き抜いた一人であり、それでいてリーグの王の友人と言う特異な立場にいる数少ない人物だからである――。
「――んー……あれ……寝てた……」
私の顔にヴァレリアさんの髪の毛が上に乗っている。少し邪魔だ。
それを払うと、やはり鍛錬をしているシロークさんが写る。
「あ、カルロッタ起きたんだね」
「おはようございますシロークさん……」
私の肺から口に溢れた欠伸が出た。それを見てシロークさんは逆様の状態で笑っていた。
「そう言えば私何時の間に寝てたんですか?」
その問いかけに動揺したようにシロークさんが体勢を崩した。そのまま顔を赤くしながら顔を両手で隠しながら呟いた。
「……と、特に何も無かったよ……」
……え、私何かした?
何だか恥ずかしがっているように見える。
すると私の横で寝ているヴァレリアさんが起きて、私の顔をじっと見詰めた。やがて少しずつほっぺを赤らめ、何だか小さな変な声を出しながら私のほっぺを揉み始めた。
「……覚えてる?」
「えぇ⁉ 何がですか⁉」
「……なら良いのよ。うん。覚えてないなら。それが幸せよ」
「本当に何があったんですか昨日の夜に⁉」
「……何も無かったわよ。本当に、何も」
絶対何かあった! 私の記憶が無い内に何かあった! 何⁉ 怖い‼
その謎は分からないまま、私達はまた出発した。
二人は特に何も言ってくれない。むしろ何時も通りだ。……本当に何があったのだろうか。
「……路銀が心配ね」
「そうですか? 何とかなりそうですけど」
「そうじゃ無いのよ。ニールで結構使うから心配で……」
そんな用事があるのだろうか。私だとどうしても分からない。
やがて歩いていると、ある一本の河が流れていた。
シロークさんの馬のクライブはそこで頭を下げ、水を飲んでいた。
「……この黒い馬め」
ヴァレリアさんがクライブに殺意を向けている……。
旅を一緒にするなら仲良くして欲しい。
水の中に魔力探知を広げてみても特に魔物がいるようには思えない。多分安全だろう。
……いや、ちょっと遠くに感じる。小さな魚の群れだろうか。
「ヴァレリアさん、新しい発明品の試運転をやってみませんか」
「ちょうど良いわね。魔物でもいる?」
「ちょっと向こうに」
少し向こうに行くと、水に浮かんでいる水黽のような魔物の群れがいた。私でも嫌悪感を抱く程群れており、シロークさんはちょっとした悲鳴と共にクライブの後ろに隠れていた。
「何よシローク。虫でも怖いの?」
「虫……と言うよりかは大勢集まっている物がどうしても苦手で……」
「……良いことを聞いたわ」
「辞めてくれないか⁉」
ヴァレリアさんは擬似的四次元袋から新しい発明品を取り出した。
両手で抱えるようにヴァレリアさんが持つと、三つの細い金属の筒とその中央にある太い金属の筒が前を向く。
そのまま引き金を引くと、三つの細い金属の筒から小さく、それでも連続的に発射され続ける魔力の弾丸が水面にぶつかり、美しくも荒々しい水飛沫を上げさせた。
発射速度が私の想像を遥かに越えている。
当たり前のように魔物を、無関係の水生生物も巻き込んで殲滅した。
やがてヴァレリアさんは引き金から指を離した。
「うーん……ちょっと反動が強いわね」
私から見れば充分だとしか思えない。
魔物の死体を私の浮遊魔法で陸に上げ、そのまま協力して解体を始めた。
解体出来た物は私の擬似的四次元袋に入れて、残りを地面に埋めてまた出発した。
「どうも部品の質が悪いのよね……。私の想像の思い通りにならないし……」
何やらぶつぶつとヴァレリアさんが言っている。その後は専門用語のような、別の言語にも聞き間違える程訳の分からない言葉を発した。
「……何を言っているか分かるかいカルロッタ」
「さあ? 私も別に発明家って訳じゃ無いですし……」
「やっぱり天才かな。いや、変人……に近いかな」
変人だからこそ考えが一般からかけ離れている。かけ離れているからこそ天才にもなる。それがヴァレリアさんだ。
太陽が真上に上がった頃、森の中に日差しが差し込む中で、魔物と出会った。
熊のような魔物だが、その魔物は四足で歩いていても私よりも背が高い。
威嚇のように立ち上がり、前足を広げた。
それと同時にシロークさんが剣を抜き、その腹を一振りで切り裂いた。
そこから溢れる鮮血に怯えることなくヴァレリアさんが発明品の拳銃を使い、そこから発せられた魔力の弾丸は魔物に当たったと同時に爆発した。
熊の魔物はあっさりと倒された。
「まあ、普段はこれくらい魔物と出会うわよね。この前から出会わなかっただけで」
これくらいが出会う頻度らしい。
すると、私の魔力探知に何かを感じた。その方向に二人を連れて行ってみると、誰もいないように見える。だが良く見ると植物の苗を持っている左手が地面から生えている。
一瞬だけ私達は思考が止まった。
当たり前だ。こんな所にこんな変な物があるのだから。
ようやく正常な思考が出来るようになると、私は悲鳴に近い物を発した。
その声が聞こえたのか、その左手は動いた。どうやら生きているらしい。
「何ですかこれ! 埋まってるんですか⁉」
「良いから早く助けないと‼」
何とか頑張ってその辺りを掘ると、確かに人の腕が見えた。
ある程度掘っていると、その辺りの土が盛り上がり、土で汚れた服を着ている男性が這い出てきた。
「……あー苦しかった」
「苦しかったで済むんですか⁉」
「……助けてくれ。とりあえずここから出してくれれば満足だ」
シロークさんは軽く抱え、その穴から出してあげた。
左手に持っている苗を決して落とさないように、それでいて頭を下げた。
「いやいや、助かった。色々あって地面に埋まった」
「色々で地面に埋まる状況って一体何ですか⁉」
「それはもちろん……俺が植物の根になろうとしたら出れなくなった」
「もちろん⁉ もちろんって分かりませんよ! 一般の感性じゃ分かりませんよ!」
「何かになりたいって良く思うだろ。別の生物でも良いし人でも良いし。俺はそれが植物の根だっただけだ」
「変な人だー‼」
「失礼だなこの女」
変人だ。明らかに変人だ。だがそれ以上に感じるのは、人間にしては多い魔力量と、それに見合う魔法の才能。
銀色に近い髪と黒い瞳を持つ男性は、高そうな布を使っている服を着ている。そんな服を土で汚して勿体無い。
「人生って言うのは色々あるんだ。植物の根になりたいと思うくらいの強烈な思い出がある人生も何処かにあるさ」
「何ですかその思い出って……」
「……そんな物あるわけ無いだろ。変な女だな」
「何なんですか貴方‼ 自分から言ったのに‼」
「まあ、感謝する。あのままではこのチィちゃんが枯れる所だった」
「チィちゃん……ってその苗ですか?」
男性はその苗を右腕で隠し、ある程度の距離を取った。
「チィちゃんは渡さんぞ貴様ぁ‼」
「別に奪おうとも思ってませんよ‼」
変人を越えて狂人に近い。何なのだろうかこの人……。
……魔力量は28万と言った所だろうか。人間にしては多い。それに加えチィちゃんと呼んでいる苗に、少しだけ複雑な魔法術式が刻まれている。恐らくこの人の独自な魔法だろう。
そのまま男性はとても速い足で何処かに行ってしまった。
「えぇ……何だったのかしらあれ……あ!」
「知ってるんですかヴァレリアさん」
「あの人から助けたお礼貰ってないわ!」
……ヴァレリアさんらしいと言えばらしいが……。
私達は頭に疑問符を浮かべたままニールを目指して足を進めた――。
――二週間後、私達はある関門の前で足止めをされていた。
この関門を超えればニールだ。だからこそこの国の首都だからこそ人が多くやって来るのだろう。
少し向こうに石で出来ている城壁が見える。守りは万全だろう。
やがてその城壁の中に入った。そこに広がる景色はやはり首都と名乗るに相応しい発展だった。
人々の多くが賑わっており、辺りで様々な商売が蔓延っている。
果実も、肉も、良く分からない物や、私の目ではガラクタにしか見えない物まで売られている。
馬車が絶え間なく中心の道を通り、その流通の盛んさも良く分かる。
私はシロークさんと一緒に子供のようにはしゃぎまわっていた。
「こらそこの二人! 特にカルロッタ! 早く行くわよ! 少し時間が無いんだから!」
そのまま抵抗する私達の手を引いて、ヴァレリアさんはある建物の中に入っていった。
その中は私の記憶の中には無い程豪華に彩られていた。
小さな城にも見間違える程の建造物の中には私の目でも分かる程強そうな人達が多かった。
亜人も魔人も人間も色々いる。
「げっ……足りない……」
ヴァレリアさんが受付の人と何やら話しながらそう呟いていた。
「……もう少し安く出来ない?」
「いえいえ、無理ですよ。これくらい払えないと」
私は隣で窓から眺める街の景色を見ているシロークさんにこの場所は何なのかを聞いた。
「ここかい? ここは冒険者ギルドって言ってね。同盟国の中だと必ずある物だよ」
「ここで私は何をすれば?」
「カルロッタは身分が分からないからね。だからここでギルドに登録された冒険者の一人になれば同盟国の中なら辛うじて身分は保証されるからね。それに冒険者になれば色々有利になる物があるんだけど……まあそれはすぐに分かると思うよ」
ふとヴァレリアさんを見ると、受付の人と言い争っている。
「だーかーらー!」
「むーりーでーすー!」
「良いでしょ少しくらい!」
「無理ですよ!」
……どうやら何かが足りないらしい。
ふとルミエールさんの言葉を思い出した。困った時には私のロザリオを見せれば良いらしい。
ヴァレリアさんと受付の人との言い争いに割って入り、受付の人にロザリオを見せた。
「……何ですかそれ」
「あっれー⁉」
話が違いますよルミエールさん⁉
すると、その受付の奥から少しだけ年老いた女性が出て来た。まるで死んだと思った息子を見付けた時のような必死な形相でこちらに走って来た。
私のロザリオの近くに顔を近付け、触ろうとしたが触れないのかそのギリギリで、やはり触らない。
恐れ多いように触るのを躊躇っているように見える。……本当にお師匠様は何を渡したのだろうか。
「……少々お待ち下さい。確認して参りますので……」
一礼してそのままその年老いた女性はまた奥に走って行った。
私達の心は未だに状況に追い付いておらず、何も分からないまま放置された――。
「――ソーマ様」
年老いた女性の声が弱々しく響いた。
「どうした。遂に死にそうになったか?」
「心臓が止まりそうになりました」
「冗談で言ったんだが……。それで、何かあったのか?」
「……ソーマ様が言っておられたアレを持つ……」
ソーマと言われた男性は目を見開いた。
白い軍服に黒いマントを羽織っている黒髪金目の青年と言える容姿の男性だった。すると、その驚愕の顔を徐々に微笑みに変え、やがて高く笑った。
「はっはっは! ようやく来たか! そうかそうか……ククッ……金の卵かどうか見極めてやろう!」
愉快に笑っていた男性の名前は"ソーマ・トリイ"。リーグの兵士の魔導指導役である――。
――またほっぺを揉まれている……。
「全く……何だったのよ」
「まあ良かったじゃ無いか。何も出来ないよりは」
「それでも私を置いてけぼりは駄目じゃない。何が起こってるのかは分からないわ」
「そうだけど……僕は悪い予感はしないよ」
「そんなこと言ったって……」
私のほっぺを伸ばすヴァレリアさんの指は、ほっぺから離れた。
すると、誰かが私の名前を呼び始めた。
「カルロッタ・サヴァイアントさまー! カルロッタ・サヴァイアントさまはいませんかー!」
「はい! はいはいはい! 私です!」
何だか注目を集めているが、これは仕方無い。
「大変お待たせしました。金銭はこちらで持ちますので冒険者試験を受ける許可が出ました。魔法使いで合っていますか?」
「あ、はい! 魔法使いです!」
「分かりました。二日後の昼に来て下さい」
何だか色々話に着いて行けない。私は困惑のまま今日泊まる宿にいた。
「……えーと……つまりどう言うことですか?」
ヴァレリアさんは懇切丁寧に教えてくれた。
「そんなに簡単にほいほいと冒険者の資格を与える訳にはいかないのよ。冒険者ギルドは治安維持の他に英雄を育て上げる目的もあるし。だからこそ試験。それに相応しい試練を与えるのよ。けど、貴方なら大丈夫よ。契約で縛られても充分強いから。試験に合格すれば三ヶ月の研修をして晴れて冒険者ギルドに登録されるわ」
話を聞く限り大丈夫だと思いたいが……何か嫌な予感がする。気のせいなら良いが……――。
――二日後、私は冒険者ギルドに入った。
二人は来ていない。ヴァレリアさんは何時の間にかギルドに登録されている、シロークさんはマリアニーニのご令嬢のため簡単に身元を証明出来るらしい。
ヴァレリアさんがどうやってギルドに登録されたのかを聞いてみると、「……カルロッタ。聞かない方が良い世界の闇って言うのはある物よ」と言っていた。
……ちょっと怖ろしいことを言っている。
「カルロッタ・サヴァイアント様ですね。第一試験の会場はこちらでございます」
そう言われて来たのは、結界に囲まれた広い土地だった。ニールの端に位置するその場所は、湖の姿が良く見える。
「どうやら皆様はまだ来ていないようです。ここでお待ち下さい。試験監督が来れば冒険者試験が開始します」
そう言って受付の人は来た道を戻った。
一人残された私は、何をすれば良いのか分からなかった。
恐らく結界があるのだからこの外から出てはいけないのだろう。
湖を眺めても端が見えない。海にも見間違えるその景色に私は圧巻された。
外の世界には海に見える湖もあるとは言われていたが、本当にあるとは思わなかった。これはもう海で良いのでは無いだろうか。
「……うーん……この湖の奥に何かいるような?」
私の魔力探知に何かが感じるのだが、何だか霧がかかっているように曖昧で見えない。
すると、ぞろぞろと杖を持った人がやって来た。
そこから更に数時間程経つと、よれよれのマントを着崩しながら羽織っている人が私達の前に見窄らしく立った。
「……まだ二名来ていないな。まあ良い。俺の名前は第一試験監督の……名前は良いか。どうせ不合格になれば会うことも無いだろう」
そこには同意する。
「……もう良い。来ていない二名は不合格とする。それでは始めるぞ。第一試験を」
そう言いながら私達の前を右に歩いて左に歩いて、やがてまた前に立った。
「俺が担当する試験の人数はおよそ120名。これを……そうだな。50名まで絞れるだろう。合格率は半分を下回るくらいか。これくらいならまだマシだ」
第一試験から落とし過ぎでは無いだろうか。だが誰も何も言っていないと言うことは別に不思議なことでは無いらしい。
「俺が提示する合格基準は単純だ」
すると、二の腕の長さ程の銀色に輝く真っ直ぐな杖を持ち、試験監督の背後に揺れる湖に向けた。
その杖は魔法陣のような物が刻まれている。そこに魔力が流れ、詠唱を始めた。
「"我が闘争に導く""やがて訪れる静寂""反発の反動""続くは銀の世界""それは放たれろ"」
銀に輝く金属の細い塊は勢い良く射出され、水飛沫を上げながら湖の奥に奥に進んでいった。
やがて音も聞こえなくなった頃、何かが湖の奥から勢い良く飛び出した。
青い蛇のような物が水面を飛び出し、そしてまた湖の奥へ潜った。
明らかに空にまで届きそうなその魔物に少しだけ圧巻された。
「ここの魔物は外敵もいない湖の底に住んでいるせいか、図体はでかいが刺激に敏感だ。少しでも何かが当たれば大袈裟に水面から出て来る。俺の合格基準はこの魔物が水面から出れば良い。制限時間は……そうだな。大体一時間。その制限時間の中なら何回でもやって良いぞ。ただし一人ずつだ。同時にはやるな。湖にも潜るな。それ以外は何でも許可してやる。ここが壊れない程度にな」
そのまま試験監督は近くの木陰で横になった。
他の人達は少しだけ困惑しながら、詠唱を込めた魔法を撃ち始めた。
合格基準が何だかおかしい。持ち物検査が少しだけあったが、自分で作った魔法陣は認められた。だが、それ以外、つまり杖に付けている物以外で魔法の威力を上げる効力のある物品は認められていない。 何でも許可するのならそれさえも許可することが重要だ。
湖の底の眺めても、恐らくこの湖の向こう側よりも深いと思う。私の魔力探知が届かない。
明らかにおかしい。およそ50名を合格させるには多分困難だと思う基準だ。
それを分かってか、分からずか、魔法を完全詠唱で湖の底も見えない、感じない程深い深い底に向けて撃っている人がいた。
少しずつ焦り始めたのか、誰がやるかで言い争いが起こっている。
挙句の果てには誰が先にやるかで抗争まで起こり始めた。私は遠い所で見ていた。
「……まあ、こうなるか」
試験監督はそう呟いていた。何度も見たことがあるような、そんな顔をしている。
「……何だ、やらないのかお前」
私と目が合った。
「……赤目に赤髪。あーソーマ様が言っていた奴か。……別に自信が無ければそれで良い。ソーマ様には『買い被り過ぎだ』と言っておく」
「ソーマ様? 誰ですか?」
「あ? 知らないのか? 余程世間知らずなんだな」
何だか失礼な人だ。
ふと湖を見ると、ブカブカのローブと帽子を被った小さな少年がその体長以上の杖を湖に向けた。
紙に書いた魔法陣をその杖の先に貼った。とても細かくて、とても複雑な魔法陣をあんな小さな紙に書いている。
そのまま魔法陣に魔力を流し、湖に向けた。
そこから放たれるあまりに強い魔法は湖の水を上げる勢いで奥へと進んだ。
やがて大きな蛇が飛び出し、空にまで届きそうな程飛んでいた。
そしてまた湖に戻り、奥深くに沈んでいった。
「凄いなお前。じゃあ合格。どっかで座ってろ」
合格発表が軽い……。
「30分経過ー。おら早くしろー」
仕方無い。争っている人達を横目に私は魔力の塊を湖の奥に放った。
「……ふざけてるのかお前」
「ええ⁉ 至って真面目ですよ⁉」
「真面目なら術式も使わない魔力を……」
すると、大きな蛇が飛び出した。
試験監督はその表情を崩し、目を見開いていた。
「マジか……! 何でも使って良いとは言ったがほとんど何も使わず合格する奴は初めてだぞ……!」
「やった! 合格!」
私はその少年の傍に正座で座った。
すると、少年は私に話しかけた。
「……何であなたはそんな魔力なの?」
「そんな魔力? どんな魔力ですか?」
「……やっぱり良いや。後で聞く。どうせ合格するし」
……この子と話すと変な感覚になる。赤だと思った物が急に青に変わったような、白と黒を混ぜると灰色にならなかったような、表現が難しい感覚に陥る。
「はーい40分経過ー。どうしたお前らー。今年は二名かー」
やがて、他の人達は魔法を使う戦闘を始めた。誰が先にやるのかの戦いはずっと続いている。こんなことをする暇は無いはずなのに……。
止めようとすると、試験監督から止められた。
「辞めろ。不合格にするぞ」
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ。こうなることは大体分かっていた」
達観していた目でそう言っていた。
「……残り5分。さて、そろそろか」
今見てみると、試験を受けに来た100人以上人はいたはずなのに、立っているのは半分程になった。
すると、試験監督はまた口を開いた。
「良し、立ってる奴ら全員合格」
その発言にほとんどの人が驚いた。
説明するように、だが面倒臭そうに髪を掻き毟りながら淡々と言葉を発した。
「ぶっちゃけた話あれが出来る魔法使いなんて少ないに決まってる。まあ、今年は二人いるが……。俺のもう一つの合格基準はこの試験を最後まで立っていた奴だ。だから今立ってる奴ら全員合格。もちろんお前ら二人も合格」
その発言に、憤りを感じるのは当たり前だろう。一人が声を荒らげた。
「ふざけるなぁ‼ そんなこと認められる訳が無いだろうが‼」
「認める認めないは試験監督である俺が決める。少なくともお前じゃ無い。この第一試験の目的は規格外と戦闘技術が高い奴と冷静な奴に別けることだ。規格外は人知れず俺が提示した合格基準を満たし、戦闘技術が高い奴と冷静な奴は最後まで立つ。ただそれだけだ。自分の感情を優先して他の奴を蹴落とそうとして、挙げ句に負けたお前は第二試験に行く資格は無いって言ってんだ」
試験監督はため息をしながら立ち上がった。
「戦闘技術がある奴は勝手に戦って勝手に勝って立っている。冷静な奴はまず戦闘を避けて結果的に立っている。合理的だろ」
合格者以外の多くの人がそれに憤慨した。人によっては試験監督に杖を向けている。
「そんなに物騒な顔になるな。来年また頑張れ。まあ俺は今ここにいるお前らと会うことは無いだろうがな。二回目の奴らはまた違う試験監督が付く。俺の担当は一回目の奴らの第一試験だ。合格した奴は着いて来い。次の試験会場に連れて行ってやる。……あーそれよりも前に休憩時間だったな。安心しろ。傷も治してやる。魔力も回復させてやる」
あれを放置して良いのかは分からないが、試験監督が気にしていないのなら大丈夫だろう。
「無傷の奴はそっち。魔石もある。怪我した奴は俺に着いて来い。第二試験の時間になれば人が来る」
そう言われて休憩室のような部屋にやって来たのはあの少年と、紫色の髪の短いツインテールの女性だった。
二人は用意されている魔石で魔力を回復させていた。
「……大丈夫なの?」
女性がそう呟いた。
「大丈夫です。そこまで魔力は減ってないので」
「……そ。別に良いならそれで良いけど」
少しだけ微笑んでいる女性に、私は恐怖を覚えた。
何故ならあの紫色の瞳の奥に狂気を感じた。狂気、と言うよりかは殺戮衝動と形容するべき物だ。
まずこの人は、恐らく戦闘技術が高い方の人だろう。少しだけ戦いぶりを見ていたが、無詠唱の中級魔法で他の人を圧倒していた。
その時も、試験のことなんて気にすること無く戦いに身を置くことが目的なように見えた。
……私の本能が訴えかけている。この人は、危険だと警鐘を鳴らしている。
「……感覚が鋭いね、君。名前は?」
「……カルロッタ・サヴァイアントです」
「あたしは"フォリア・ルイジ=サルタマレンダ"。よろしく、多分合格するから」
そう言って私に手を差し伸べた。
私は手を交わしたが、体を触るだけで怖気を感じる。手を離してもまだ指先が震えている。
強いから怖い訳じゃ無い。その底も見えない狂気が、怖ろしい。
「凄い魔力量。流石、あの試験をあんな方法で合格した人。私だと無理だったよ」
私は恐怖を紛らわせるために一緒に置かれている砂糖菓子を口いっぱいに入れた。
あまりの甘さと美味しさに悦び、もう一つ、そしてもう一つ口に運んだ。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
ようやく書きたい物が書けるようになり始めました。さーてさーて……伏線をぶちまける時期だ。
(……もう何も無いからどうでも良い設定出すか……)
カルロッタ・サヴァイアント。
身長165cm
魔力量不明。(測定不能のため)
ヴァレリア・ガスパロット。
身長167cm
魔力量1000。(人間の一般的魔力量)
シローク・マリアニーニ。
身長170cm
魔力量1600。(魔法の才能はゼロなためほとんど意味は無い)
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