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魔法使いちゃんの予定無き旅  作者: ウラエヴスト=ナルギウ
第二章 ギルド
39/111

綺麗な文字で書かれた日誌 光り輝く者

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 ソーマはリーグの首都に足を運んでいた。


 リーグの王の宮廷の麓に位置する花畑、その薔薇に囲まれ紅茶を嗜んでいる彼女は、ルミエールであった。


「……あれ、ソーマ。珍しいね。貴方から来るなんて」

「色々気になることがあるからな」

「まあまあ、まずは席に座ってよ」


 ソーマはぶっきらぼうに椅子に座ると、傍にいるメイド服を着た女性がソーマの前にティーカップを置き、紅茶を注いだ。


 彼女は、モシュネと呼ばれる七人の聖母の内の一人である。


「……さて、何が気になるのかな?」

「もう終わったことだ。さっさと教えろ。何故、ジークムントの襲来を予言出来た」

「……メレダがそう言ったから」


 ルミエールはクスクスと笑っていた。


「そして、もう一つは私が行かなかった理由かな?」

「もう一つある。何を根拠に、ジークムントの封印が無意味だと判断したかだ」

「……一から説明するね。まず私が行かなかった理由」


 ルミエールは紅茶を一口飲むと、口を開けた。


「ジークムントは私を警戒していた。そして、逃げる手段を何個も用意していた可能性があった。勿論、私が来てもすぐに逃亡出来る手段も入っているはず。実際私は一度彼を逃がしたからね」

「それが何でお前が行かない理由になるんだ」

「彼の心情を掻き乱す為だよ。彼は戦闘中、私が乱入することをずっと警戒しなくてはならない。私が乱入すれば勝ち目が無いと分かってすぐに逃亡する。逃亡させずに彼を追い詰めるには、如何に不安にさせるかだからね。私が何時入って来るか分からない場面で、逃亡を謀る程、彼の目標は簡単に達成出来る物じゃ無いからね」


 ルミエールはティーカップを揺らしながら、語り続けた。


「彼を封印する絶好の機会は、最も混乱している一瞬だけ。自分の『固有魔法』を阻止され、私の攻撃だと瞬時に理解出来る彼は、私があの場にいると思ったんだろうね」

「じゃあもう一つも頼んだ」

「彼の封印が無意味だって言った理由?」

「それだ」


 ソーマは紅茶を一気に飲み干すと、机の上に広げられているクッキーを一枚手に取り、口の中に放り込んだ。


「……彼は、自由だからね」

「……答えになって無いぞ」

「そう? 私としてはこれで充分だと思うけど」


 ルミエールは自分の手でティーカップに紅茶を注ぐと、先程までの穏やかな笑みとは一変し、何処か真剣な表情に変わった。


「そう言えば、伝えないといけないことがあってね」

「シャルルのことだろ?」

「そうそう。話が早くて助かるよ。……彼の内側に輝くあの星の光は、青星の輝き。一日戦争の後に行方不明になったけど、まさか他人に受け継がれてるなんて思わなかったよ」

「青星の輝きねぇ……青星の持ち主が、偶然にもカルロッタを狙ったって言うのか? 小説でももう少し辻褄が合う様に物語を作るぞ?」


 ルミエールはクスクスと笑っていた。


「青星の持ち主は、救世主(メシア)を喰らわんとする狼だ。そんなに呑気にしていて良いのか?」

「どうだろうねぇ。多分大丈夫じゃ無いかなぁ?」

「……お前ならもう分かってるんだろ? ウヴアナール・イルセグを語る何者かの正体が」


 ルミエールは頬杖を付き微笑みながら語った。


「……教えない」

「おい」

「ただ、青星をシャルルにあげた人は分かるよ。青星は一日戦争の後に行方不明になった。そして、そんなことが出来る人物を、私は二人しか知らない」

「……星皇と、()()()()()()()()()()()か……」


 ルミエールは口角を釣り上げた。しかし、ソーマの表情は決して明るい物では無かった。


「ああ、そうそう。私の『固有魔法』の中に捕らえておいた教皇国に侵略した二人、脱出されてたよ」

「何でそんなことをさらっと言うんだお前は!? 大事件だろ!?」

「拘束を無理矢理解いた様子は無し。あの場には魂の一片さえも残っていなかった。さあ、問題。こんなことが出来るのは、どんな力を持っている種族でしょうか?」


 ソーマは呆れた様にため息を吐くと、思考を深める様に空を見上げた。


「……魔人族の王にだけ使える力の再分配と吸収。肉体を魔力に変換して、魂さえも吸収して、それを適当な人間にでも魂ごと分配すれば、そいつは復活する。……で、あってるか?」

「私が求めた答えだね」

「……おい。そうなると、本格的に黒幕はあいつってことになるぞ」

「まさか。彼がこんな馬鹿みたいなことをするはずが無い。彼は指揮、況してや戦闘においては、私よりも格上。わざわざ負け戦にする理由も見当たらなければ、あんなことをする理由も見当たらない」

「……何で、そんなことが分かるんだ。もうあれから五百年経っているんだぞ? あいつも多少なりとも変わっているとは思わないのか?」


 ルミエールは星も見えない青空を眺めながら、呟いた。


「……私は、彼を、愛している。彼は、私を、愛している。だから私は彼を理解しているし、彼は私を理解している」

「惚気話か?」

「ソーマが何時もやってるお返し」

「ああそうかい。……星は、見えるか?」

「……ぜーんぜん――」


 ――メレダは十字架に磔にされたジークムントを眺めていた。


 剣はやはり彼の、いや彼女の体に深々と突き刺さっていた。


「……やあ、メレダ君。ここだと時間間隔が狂わされるんだ。久し振りかい? それともそれ程時間は経っていないのかい?」

「まだそんなに。……色々聞きたいことはあるけど、まず一つ。彼は何処にいる。知ってるはずだ」

「……彼……ああ、彼のことか。僕が分かることは唯一つ。星は何処にある? そう、空だ。星は空で煌々と輝く。ならば、星の皇は空にいると考える方が自然だろう?」


 メレダは変わらず表情を一切動かさなかった。しかし、ジークムントは金色の瞳で彼女を嘲笑っていた。


「空に輝く星の光は美しい。太古の昔、その星の輝きを神に見立てたのも理解出来る」

「煩い」


 メレダはジークムントを一瞥した後に、背を向け歩みを進めた。


「待ってくれ」


 その一言に、メレダは歩みを止めた。


「最後に一つだけ。果実を、見せてくれないかい?」

「……何で」

「何でって……まあ、それもそうか。嫌なら良い。別にその行動に意味は無いからね」


 メレダは再度ジークムントと向き合った。


 服の裾を掴み、彼女は臍の部分を見せびらかした。


 メレダは息を小さく吸うと、漏らす様に詠唱を始めた。


「"無垢銀色は彼女の瞳に""七人の聖母は主と交わり""七つの種を生み出す""光り輝く者は""イチジクの実を生やす"」


 すると、メレダの臍から頼り無い程に細い木の枝が生えた。


 その銀色の樹皮を持つ枝は、前へ前へと伸び、やがて一枚の銀色の葉を付けた。


 枝が下に垂れると、先から一つの果実が大きくなった。


 メレダの掌程の大きさのその実は、無花果に似通っている形をしており、黒い皮を持っていた。


「安心したよ。まだその実を、誰にも食べさせていないんだね」

「……食べるとすれば、彼だけど」

「彼以外が食べれば、それは大罪となる。分かっているのかい?」

「少なくともお前よりかは」

「兄に対して酷い口振りだねぇ。僕は悲しいよ」

「……お前は、私の兄なの?」

「ああ、嘘は吐かない」

「……そう」


 メレダは決して答えを出さない。


 ただ、メレダは無愛想な表情のまま、ジークムントに歩みを寄せた。


 その短い腕を必死に伸ばし、彼の頭に届かないことを知れば、浮遊魔法で彼女は体を浮かせた。


 そして、メレダはジークムントの前髪を触った。


「……私は、貴方の敵になる」

「僕は、君の敵になるだろう」

「星の光に焼き焦がれた兄は、一体何が目的?」

「星の光に恋い焦がれた妹は、何故そんなことを聞くのかい?」

「……別に」


 メレダは地面に足を付け、今度こそ封印の外へ出た――。


 ――ここは、闇に潜む者が集う場所。


 闇に潜むが故に、ここにいる生者は皆一様にして、黒いローブを着ている。そうしなければ、光に肌を焼かれてしまう。


 十三人の黒いローブを被った人間は、一人の少女を囲っていた。


「いたい……やだ……」


 掠れた息で助けを求めようとも、その声は闇に潜む者には聞こえるはずも無い。彼等はこの世界の異端者なのだから。


 その少女は服を破り捨てられており、右腕は切り落とされており、嘗て右腕だったであろう肉の残骸がその場に転がっていた。


 そして、左の眼球が刳り抜かれており、潰された眼球を握り締めていた。


 少女を囲っている十三人の内の一人が新鮮な血肉が付着しているナイフを持っており、一人は鋸を持っていた。


 しかし、彼等はそれを投げ捨て、神に祈る様に頭を垂れ、手を組んだ。


 そして、彼等は一人ずと言葉を紡いだ。


「一人、鍵を持つ」

「二人、貝を持つ」

「三人、杯を持つ」

「四人、特異な十字架を持つ」

「五人、牧杖を持つ」

「六人、刃物を持つ」

「七人、財布を持つ」

「八人、槍を持つ」

「九人、鋸を持つ」

「十人、帆船を持つ」

「十一人、魚を持つ」

「十二人、首を吊る」

「十三人、彼の上に」


 すると、突然少女が左腕を地面に力強く叩き付けた。


 悶え苦しむ様にも見えたが、それにしては表情が穏やかだ。むしろ快楽に身を委ねている様にも見える。


 残った眼球を脳の裏側に回し、口角から泡の様な唾液を吐き出すと、目一杯体を仰け反らせると同時に、空気の抜けた風船の様に地面に落ちた。


 すると、少女は薄ら笑いを貼り付けた。


「……おお、遂に……!」


 少女は一人出に立ち上がると、薄ら笑いを更に深めた。


「……出来れば、ノーコンティニューでクリアしたかったが、まあ仕方無い。ああ、回復と、取り敢えず服を貸してくれ」

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


説明不足な部分であったであろう部分の答え合わせ。

多分、これで充分な説明は出来た……でしょうか?


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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