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魔法使いちゃんの予定無き旅  作者: ウラエヴスト=ナルギウ
第二章 ギルド
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挟まれていた日記 同盟国の英傑達 ②

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 アルフレッドはググを脇に抱えながらペルラルゴと走っていた。


「ペルラルゴ、武器は集められているか」

「……何とか」


 ペルラルゴは長過ぎる髪の毛を魔法で動かし辺りに落ちている武具やら鎧やら魔物から別れた角やら牙やら牙やらを髪の毛で掴み上げていた。


 それにアルフレッドが作り上げていた銀のナイフもペルラルゴの髪の毛に渡していた。


 ペルラルゴは最早金色の毛玉が無数の武器を持っている新たな化け物にしか見えなかった。


 ググは相変わらず頬を膨らませて自分の扱いに不満を持っていた。


「何で私だけこんな扱い何ですか!?」

「運びやすいんだ」

「好きでこんな体になった訳ではありません!! それに子供扱いは嫌です!!」

「見た目は子供だ」

「いーやーでーすーおーとーなーなーんーでーすー!!」

 

 やがて西の門の近くへ辿り着いた。そこには、背丈が5mを超える巨人の様な男性がいた。顔の右側には眼球が三つ付いており、左側は当たり前だが眼球が一つあった。


 その長い腕に腕輪を何個も付け、その手には人間からすれば両手で扱う戦斧を右手と左手の両方に持っていた。


「ようやく来たか偽りの英雄達よ!」


 アルフレッドは長い杖をその巨人に向けた。


「……魔人か」

「そうだ! 我は誇り高き兵である! 貴様等とは違ってな!!」

「……まるで俺達が偽の正義を抱えている様な言い草だな」

「当たり前であろう!」


 その戦斧で地面を叩き、怒りの表情を浮かべていた。


「真の英雄と言う者は真の正義に従う者である! だが貴様等はどうだ!! 偽の正義を掲げ淘汰されるべき多くの民を生かしている! ああ嘆かわしい!! この様な正義が蔓延ってしまっている!!」


 その大声に、アルフレッドは辟易していた。杖を一度降ろし、呟き始めた。


「……一応言っておくが、俺は正義を自覚してこの場に立っている訳では無い。俺が今この場に立っている理由は唯一つ、やりがいだ」


 アルフレッドは再度巨人に杖を向けた。それとほぼ同時に詠唱を始めた。


「"我が闘争に導く""やがて訪れる静寂""反発の反――"」


 すると、戦斧を掲げて巨人がアルフレッドに襲い掛かった。その直後にググは杖を横に振ると、アルフレッドとググはその巨人の背後に回っていた。


「"――動""続くは銀の世界""それは放たれろ"」


 銀に輝く長い針が形成され、勢い良く射出された。それは導かれている様に巨人の右腕に飛んでいった。


 見事に命中はした。だが、その屈強な腕の筋肉の壁にはあまり突き刺さら無かった。


 アルフレッドとググに視線が行くと同時に、その巨人の四肢が金色の糸に縛られた。それはペルラルゴの髪だった。


 三人がやるべきことは、マーカラが到着するまでの時間稼ぎである。最初から討伐を目標にしてはいけない。


 巨人はその剛力でペルラルゴの髪を掴み、逆に投げ飛ばした。ペルラルゴは投げ飛ばされながらも、髪の毛で掴んでいる武具を巨人に向けた。無数の槍を突き刺そうとしてもその剛体によって逆に壊され、剣で切ろうとしても刃が欠け、大槌で叩いても痣の一つも付かなかった。


 巨人は戦斧を振り回しながら、ペルラルゴの髪の毛を切ろうとしていた。ただその髪は自由自在に動き回る所為で絶対に切られ無かった。アルフレッドはペルラルゴに翻弄されているその巨人に杖を向けた。むしろ、その目にだった。


「"それは放たれろ"」


 直後、巨人の右にある三つの目に銀の針が突き刺さった。流石の巨人と言えど、その激痛に耐えられなかったのか目の針を抜きその目を手で抑えていた。


「"我が闘争に導く""導かれるは幻想足る教え""神々の真意は未だに分からず""星の輝きは未だに潰えず""やがて訪れる静寂""反発の反動""銀の弾丸は――"」


 ググはアルフレッドの詠唱が終わる前に杖を横に振った。アルフレッドは、未だに目を押さえている巨人の腹部の前に現れ、その杖を腹部に押し付けた。


「"――放たれろ"」


 大きな魔力の昂ぶりと共に、魔法は放たれた。巨人はとても簡単に吹き飛び、そのまま近くの建築物に叩き付けられた。


「……不味いな。魔力がもう無い」


 巨人は、立ち上がった。当たり前ではあるが。


 付いた傷と言えば目の傷。もう二度とあの様な隙は生まれないだろう。それを理解していながら、アルフレッドは未だに瀟洒に立っていた。余裕がその表情にはあった。もう魔力と言う戦える余力は無いと言うのに。


「……何だその顔は。確かに先程の攻撃は流石だが、もう貴様の魔力は枯渇しているだろう?」

「余裕はある。ただ、貴様を倒すことは最初から考えていない。もう役割は終わった。後は、まあ、真艫な死に方を、貴様の敵ながら祈っていよう」


 アルフレッドは悪い笑みを浮かべた。その直後に、夜空に浮かぶ月が赤く染まった。


 巨人はただ困惑していた。確かに目の前にいる男は魔力がもう枯渇しているのだ。ここまでの事象を引き起こす莫大な魔法を使う魔力等、もう無かったはずだ。そして導き出した答えはとても単純。全く別の、強大な存在が原因。


 赤い月を背後に、四つの羽根を動かしている女性が佇んでいた。その女性はただただ狂気的に笑い、その巨人を見下していた。何故なら、彼女にとってあの巨人は弱者であったからだ。


 巨人も絶対的な、強者ではあった。ただ、女性から見れば巨人は相対的な、弱者であった。


「こんばんわ、大きな大きなおじさん」


 マーカラは巨人を見下しながらそう言った。


「……誰だ、女」

「あたし? あたしはマーカラ。リーグ……えーと、リーグ……国王陛下? 直属の新……新何とかの副隊長」

「……マーカラ・ヴァンパイア・ドラクリヤか。有名だ。多種族国家リーグ国王陛下直属親衛隊副隊長、で合っているだろうか?」

「そうそれよ! あんまりにも引き籠もって忘れていたわ」


 マーカラはその巨人の前に降り立った。


 巨人はそのままマーカラに向けて二つの戦斧を横に振るった。そのか細い首に戦斧の刃が当たり、即座に切断させるはずだった。


 マーカラの首は落とされなかった。その白くか細い首で、肌も切れずに戦斧が止まっていた。口輪の奥で口角を上げ、その狂気性を滲み出した。


「私は五百年間一回も、お外に出てないのよ。本当は出ても良かったんだけど、どうせあの人はいないし。そんな時に、ルミエールから頼まれて、目の前にいる遊び道具……。それじゃあ、遊びましょう? こんなに月も赤いから、楽しい夜になりそうね」


 その瞳から滲み出す、徹底的に巨人を見下すその視線。彼女にとって巨人とは、ただの大きな玩具であった。


 それを本能的に理解したのか、巨人の体から汗が溢れていた。


「きゅ……吸血鬼は、夜の支配者と言われているが、弱点もそれ相応に多いと言われる……!! 貴様等――!!」


 巨人は言い聞かせる様にそう言っていた。


「そうよ。病弱っ子なの。そんな病弱で可哀想な吸血鬼の遊び道具になれるのだから、さぞ光栄でしょう? 大きな大きなおじさん」


 巨人は発狂寸前まで精神的に追い詰められていた。強者が故に、理解していたのだ。その絶対的な力の差に。その絶対的な生物としての格の違いに。


 巨人は二つの戦斧を合わせた。すると、それよりも巨大で魔力で空間が歪む程に放出されている戦斧が出来上がった。それを両手で掴みマーカラに向けて振り下ろした。それを華麗に躱し、その細腕で巨人の手首を締め上げた。痛みに呻き戦斧を手から離すと同時に、マーカラは僅かに爪先で地面を蹴った。


 とても軽やかにマーカラの体は上に移動し、その巨人の頭にまで届いた。腕を伸ばし左手の中指で巨人の頭を弾くと、爆発にも似た音と共に巨人の体は勢い良く後ろに倒れ頭部を地面にぶつけた 手から離した戦斧をマーカラが拾うと、少しだけつまらなさそうな顔をした。


「どうしてこんな鈍らを使っているの? これじゃああたしの肌は傷付けられないわ」


 その指先で戦斧の刃に触れると、音を立てながら一瞬で粉々に砕けた。


「ほら、こんなに脆い。武器を使うなら――」


 マーカラは両手を合わせた。その手が合わさる隙間から炎が吹き出し、勢い良く腕を広げると刺突用の片手剣の形状をしている物が現れた。様々な宝石で装飾されており、祭事用の印象も受ける程に美しかった。


「――これくらい強く無いと。まあ今回は使わないけど。これを使ったら遊びじゃ無くなっちゃうわ」


 その剣を地面に突き刺すと、炎を包んで消えてしまった。


 巨人は立ち上がりながら、マーカラを見ていた。その濡れた瞳で見ていた。生物として上くらいに、むしろ生物としての枠組みを逸脱している存在に、恐怖し涙を浮かべていた。


 むしろ逃げ惑う様に腕を動かし背を向けていた。その直後、右腕が肩から千切れた。そこから吹き出る血を、そこから吐き出す絶叫を、マーカラは愉悦として味わっていた。


 今度は何時の間にか眼球の一つが刳り貫かれていた。最早無抵抗に近かった。マーカラはその巨人の体に触れた。


「うんうん、怖いわね。だからこそ、あたしは楽しいの。そのまま、必死に怖がって」


 触れている部分は、黒い小さな魔力の塊に貫かれた。彼女はただ遊んでいた。小さな子供が蜻蛉の頭を抉る様な残虐な遊びを彼女はただ楽しんでいただけだった。故に心を痛めることは決して無く、むしろ楽しんでいた。


 狂気は止め処無く彼女から溢れ始め、やがてその鮮血が顔に掛かると食欲の衝動に駆られた。引き千切った腕を掴み、それを高く挙げた。口輪があるが、口を大きく開き、そこから未だに垂れる血を口の中に満たした。嬉しそうに、しかし満足はしていないのか少しだけ不機嫌そうだった。


「やっぱりあの人の方が美味しいわ」


 巨人は、血の大半を外に出した所為かその場で倒れていた。


「おーいおじさん? おーい、起きてー。……あーあ、もう壊れかけ」


 マーカラは巨人の頭に優しく触れた。


「ばいばいおじさん。少しは楽しかったわ」


 黒い魔力は放たれ、その巨人の体は消え去り鮮血の雨へと変わった。


「……ああ、綺麗」

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


さっすがマーカラちゃん! とっても強いね!

……あー……。……マーカラの発言には色々元ネタがありますが、気付いている人は一体どれ位いるんでしょうか。分かった人は感想にでも。


姓名のドラクリヤの元ネタはドラキュラ公の本人筆だと思われるサインにWladislaus Drakulya(ラテン語でヴラディスラウス・ドラクリヤ)と使っていた物です。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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