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魔法使いちゃんの予定無き旅  作者: ウラエヴスト=ナルギウ
第二章 ギルド
13/111

日記8 進み始めた物語と、辛い特訓……

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

「……ジーヴル・サトラピが禁書庫に侵入……ねぇ……」


 ソーマは窓から差し込む朝日を眺めながら、そう呟いた。目の前にいるアルフレッドはただ事務的に返事をした。


「はい。あくまで閲覧までは行っていなかったので、此方の一存で不問としました」

「まあ、それは責めて無い。俺だってそうする。あんな逸材を見す見す逃す訳にはいかない」

「逸材、ですか。そこまでの才能を彼女から感じませんでしたが」

「お前は相当頑張って育てたと思ったんだがなぁ……アルフレッド」

「何か間違いがありましたか」

「俺なら分かった。多分メグムさんも分かったんじゃ無いか? 無名の魔法使いだからこそ舐めていたが……フロリアン、フォリア、ドミトリー、才能だけならこの三人の域に達することが可能だ」

「……まさか」


 ソーマは机の引き出しを開け、紐で纏められた紙の束をアルフレッドに手渡した。


「ジーヴル・サトラピの調査報告書だ。何処で生まれたのか、何処で育ったのか、何処から来たのか、それを記してある。生まれた場所を見てみろ」


 アルフレッドは言われた通りに資料を捲り、ジーヴルの出身地を確認した。


 そこに書かれていた文字の羅列に、アルフレッドは驚愕した様に目を見開いた。


「まさか彼女は……」

「ああ、あいつは厄介な、()()だ――」


「――あぶぶぶ……あゔぁゔぁゔぁ……」


 ……私のもちもちほっぺがまた引っ張られている……。


 ヴァレリアさんとシロークさんに引っ張られている訳では無い。あの二人とは一週間くらい会っていない。じゃあ誰かって?


「お、本当にもちもち。マシュマロみたい」

「カルロッタ……やっぱり貴方は可愛い……」


 ジーヴルさんとフォリアさんだ。


 私のほっぺには触るとご利益でもあるのだろうか。ストレス解消とか。


 お師匠様のほっぺももちもちのせいか、私のほっぺまでもちもちになってしまった。私とお師匠様は変な所が似ている気がする。集中すると見えなくても周りが見える様になる所とか。


「あぶぶぶ……」

「おしこんでーひっぱってー」

「あゔぁゔぁゔぁ……」


 何で私のほっぺは揉まれるのだろうか。そんな運命なのだろうか。


 朝食が食べられない……。


 何とか食べ終わり、私は何時も通りギルドの中にある資料室に足を運んだ。何だかここなら自分が知りたいことをもっと見付けられる様な気がする。あくまでそんな気がする。


 数人は人がいる。まあ、ここは冒険者は立ち入りを許されているらしいから、他の冒険者がいるのは分かるが、それにしては数が少ない。……何で冒険者って名前なんだろ。まあ良いや。


 見知った顔と言えば、フロリアンさんとファルソさんが一緒に本を開いている。何だかあの二人は仲が良い。同じ男の子だから気が合うのだろうか。


「俺に答えを求めるな。作るのはお前の魔法だ。俺はあくまで手助けしか出来ない」

「それでも参考程度には聞きたいです」

「……俺の魔法はあくまで俺の一族に伝わる物だ。血が繋がっているからこそ特徴が似ていた。魔法を次ぐなら一番良い方法だ」


 すると、ファルソさんが此方に気付いたのか、私を呼んだ。


「カルロッタさん、ちょっと色々聞きたいことが」

「良いですよ。何が知りたいんですか?」

「僕は独自の魔法を作ってないので、それを」

「うーん……そうは言っても、魔法を作るならファルソさんの特徴を反映した方が良いですよ。使い難い魔法を使うのはあまり得策とは思えませんし。そう言う点だとフロリアンさんの言う通りです」

「成程……」


 ……魔人はその莫大な魔力を持つが故に強さを追い求める人が多いと聞いたことがある。ただ、ファルソさんはどうやら違うらしい。強さを追い求めるのなら魔法を作ることもするはずだ。


 まあ、私達人間も似た様な物だ。色んな人がいる。


 取り敢えず、ファルソさんが魔法を作りたいのならまずするべきことは、自分の魔法的な特徴を100%理解することだ。それが出来なければ一生作ることは出来ない。


 ただ、それを理解するには理論よりも感覚が重視される。だから私は、私だけが扱える魔法を作り出すことが難しい。


 まあ、他人が使っている魔法を勝手に学んで勝手に使えることは出来る。


 フォリアさんはその場で集中する様に目を瞑った。何だか魔力量が高まっている気がする。あ、でもちゃんと外に出す魔力は制限してる。


 そうしないとここの環境が変わってしまう。変わってしまう程の魔力では無いかも知れないが、それでも人にとっては毒だ。


 流石に人と関わるには、魔力を制限しないと殺してしまう。ちゃんとその方法を学んでいた様だ。


 フロリアンさんは相変わらず色々頑張っている。むしろこの人の方が強さに貪欲だ。魔力の白く細い糸を作り出し、それを何とか曲げている。


「その調子ですよ!」

「グッ……!! どんな……!! こんなことばっかりしてたのかお前は……!!」


 やがて疲れ切った様にその手を降ろした。


「はっ……はぁぁっ……! これを複数作る……!? どれだけ馬鹿なことをしてたんだカルロッタ……!!」

「特訓あるのみですよ。それを使いたいのなら」


 私もお師匠様から教えて貰ってから二年掛かった。それ程までの難易度だ。


 そんなことに努力を振るなら、自分の魔法を更に研鑽する方が良い気がするが、それを決めるのはフロリアンさんだ。私が何かを言うことはしなくても良いだろう。意外とすぐに空中で魔法陣を書くことが可能かも知れない。


 さて、私は私で学びたいことを調べないと。


 ザガンさんに色々聞き、私は上の方の本棚にある本を何冊か取って来た。


 魔法に関する資料ではあるが、ちょっと特殊だ。その魔法の中でも中々に罪深い呪いだ。


 本来呪いと言う物は、その身に刻まれる悪い物だ。悪い物は軒並み呪いだ。たまーに恩恵がある物もあるが、そう言う呪いは大抵それ以上の悪い何かが同時に付いて来る。


 何故そんな物を読んでいるのか? 単なる好奇心。学ぶことは悪では無いとお師匠様も言っていた。


 ……あ、対処法も載ってる。


 ……うーん……大体お師匠様から教えて貰った呪いだ。こう考えると私とお師匠様が住んでいたあの世界の小屋の中の図書室は相当な蔵書量を誇っているらしい。


 そう言えば、お師匠様はどうやって五百年の間に出た本を外の世界から……ああ、そうだった。あの人が持って来てたんだった。あの人はお師匠様と唯一外の世界から来ることを許されていた人だった。けど……名前が思い出せない。会えば普通に呼べていたのに……。顔も思い出せない。不思議な感覚だ。


 まあ、良いや。それは後で考えよう。


 それにしても、あまり良い物が無い。こうなったらこの外の世界の寓話でも読んで暇を潰そう。


 色々探していると、案外見付かる物だった。あらゆる知識を保存することが目的なら、こう言う物があっても不思議では無い。


 色々読み漁ってみた。


「……青薔薇の女王……。……青薔薇の女王は……永遠に向日葵が咲く季節を終わらせる女王……。向日葵の女性は野原に向日葵の花を咲かせ、青薔薇の女王は雪の上に青薔薇を生やす……。それを永遠と繰り返し、季節は巡っていきました。ある時向日葵の女性は向日葵を枯らす雪を降らせる青薔薇の女王に頼み込みました。何度も青薔薇の女王にもう向日葵を枯らさない様に頼みましたが、青薔薇の女王は向日葵を枯らす雪を何度も降らせ、向日葵の女性は負けじと野原に向日葵を咲かせました。……ある時向日葵の女性は、我慢が出来なくなり、向日葵を枯らす青薔薇の女王を毒で殺してしまいました……何だか残酷な童話……」


 これが本当に子供向けなのか……。まあ良いや。読み進めてみよ。


「野原は広がり、向日葵の花は辺りに咲き誇りました。しかし、永遠に向日葵が咲く季節になってしまい、暑い時期がずっと続きました。それでは向日葵もきちんと咲きません。やがて咲き誇った向日葵は全て枯れてしまい、向日葵の女性は泣いてしまいました。向日葵の女性は、唯一雪が残っている場所へ行き、その場に青薔薇を埋めました……。やがてその場には青薔薇の女王が生き返り、また同じ様に向日葵を咲かせ、雪を降らせることを繰り返しました……」


 何だかこの童話は変な感覚がする。作り話にしては分かり辛い。作り話ならもう少し分かりやすく書く。勿論全部が本当とは言えないけど。


 何かしらの実話を童話にした様な雰囲気は確かに香る。


 この本は聞く限り千年くらい前に執筆された童話らしい。意外とそう言う話がある。


 まあ、どれだけ考えてもこれは童話の一つでしか無いのだ。あまり深く考えても仕方無い。


「それにしても……人が少ないや」


 すると、突然ファルソさんから爆発音が聞こえた。


「うえぇぇ!? 何があったんですかー!?」


 その場には、フードが吹き飛び何だか珍しい黒髪黒目のファルソさんが倒れていた。


「……ああ……何か間違えた」


 隣に座っていたフロリアンさんはチィちゃんの枝を伸ばして自分の体を覆っていた。


「おいファルソ、何をやっている」

「済みません……何か間違えました。多分あれです、二と六の部分で変な効力が発生しました」

「……何をしようとしているのかは分からないが、何を作れば良いのかは分かったのか?」

「はい。まだ秘密です」


 ……ちょっとびっくりした。


 帰ってみると、またマンフレートさんが外で特訓をしている。走っているアレクサンドラさんがマンフレートさんに宝石を投げ付け、単語を発した。


「"フォイア"」


 赤い宝石から炎の魔法が放たれた。その炎はマンフレートさんに激突した。だが、それも結局マンフレートさんの防護魔法を破壊した。


「む、まだ駄目か」

「当たり前ですわ。私の魔法を舐めないで下さいまし」

「うーむうーむ。どうした物か」

「まず魔法を作る方が宜しいのでは?」

「それでは結局誰かを守れない。俺は盾となるべきだ」

「……頑固ですわねぇ……」


 ……あの人は何かに縛られている。それが何かはあまり分からないけど。そんな気がする様なしない様な……。


 ある程度時間が過ぎた昼過ぎ頃。昼食の為に帰って来た人がまだ残っている。


 ……嫌な予感がする。今すぐここから逃げないと不味いことが起こりそうな不穏が私の背中を伝う。


 こう言う時は本当に悪いことが起こる。例えば……。


「おーい!」


 そんな優しい声が聞こえた。ただその優しい声は私の心にトラウマを植え付けている。


 ニコレッタさんの「ひっ……!!」と言う声が分かりやすかった。それも気にせずに、メグムさんはやって来る。不定期にやって来るせいでこの人の理不尽さが極まってしまっている。


「さて、丁度良く皆揃ってるね。私が来ると体調不良で休む人が多いから心配だけど」


 ……それはきっと会いたくないからだと思いますメグムさん……。


 ……いや、優しい人なのは分かるけど、それ以上に恐ろしいと言うか、何と言うか……。


「さて、まずはあっちまで走ろうか」


 にっこりと微笑みながら後ろを指差した。前と比べればある程度楽な様な……。


 すると、ドミトリーさんが唇を震わしながらメグムさんに言葉を発した。


「……参考程度に……どれくらいの距離を走るのでしょうか……」

「え? ドミトリーと一緒に走ったくらいだよ? 何時も通りだから楽でしょ?」


 ドミトリーさんは鼻髭を弄りながら冷や汗をかいていた。


「……さて、皆さん。一旦胃の中身を全て吐き出して走りましょう。私は少々……棺桶を用意して来るので……」


 棺桶!? 何で棺桶!? えぇ!? 死ぬ!? 死んじゃうの!?


 すると、絶えることの無かったメグムの笑顔が一瞬だけ途切れた。それと同時に、カルロッタの感覚は唐突に鋭くなった。それはとても簡単な理由だった。あまりにも大きい脅威を感じ取ったカルロッタだが、それと同時にその脅威は無くなるだろうと言う確信は存在していた。


 メグムの微笑みが戻ると同時に、カルロッタもまた同じ様に目の前の絶望を噛み締める覚悟を抱いた――。


 ――ペルラルゴは金の長い髪を動かしながら自分の髪を櫛でとかしていた。自分の身長の何倍も長い髪の毛の手入は困難であり、その髪の毛の重量だけで相当な重さになってしまっている。


 ペルラルゴの前にはソーマがお茶を飲んでいた。


「……はぁぁ……お茶が美味しい。……ペルラルゴ、ここで髪をとかすのは辞めてくれ。ただでさえお前は髪の毛が長いんだ。その抜け毛が落ちて掃除が大変なんだ」

「それも回収しますので……許して下さい……」


 彼等はただこの場で休息を嗜んでいた。だが、それもすぐに崩れる。ソーマの魔力探知に、ある存在を察知した。明らかに異質なそれを、ソーマは脅威と判断した。


 脅威とは即座に潰しておくべき物である。ソーマは即座に転移魔法でその場へ移動した。


「……あまりティータイムを邪魔しないで欲しいな。それにわざわざこんな場所で喧嘩を売るのは、余程の大馬鹿者か?」


 ソーマが抱いていた感情は、久しく感じた焦燥感だった。充分な強者であると判断したその人物に、ある一定の敬意を払おうとも思っていた。


 ソーマの目の前にいたのは亜人の男性であった。山羊の角と耳を持ち、それでいて迸る強者の闘争心がその紅い瞳からちらついていた。


「どうなってんだお前。亜人には魔力が無いはずだろ。それだとまるで魔人じゃ無いか」


 亜人の男性は、その身長以上の大きさを持つ大剣を片手で軽々しく持ち、それを何度も振り回していた。


「おー! 誰だおめー! 俺は……誰だ俺ー!!」

「……巫山戯てんのか?」

「俺は……あー! そうだそうだ! 思い出した! 俺はあの人の命令でここに来たんだー!!」

「おー誰だ誰だそのあの人って言うのは」

「……忘れた!!」

「……巫山戯てんのか?」


 その山羊の亜人の男性は、何度も頭を捻りながら、逆様になったり木に攀じ登ったりしていたが、やがて自分のするべきことを思い出したのかソーマを見詰めた。


「おめー誰だ」

「ソーマ・トリイ。案外有名人だと勝手に思っているが……どうだ」

「おーおー! そーだそーだ! おめーの実力確かめに来たんだ俺ー!」

「あ?」


 駄目だこいつ。色々すっ飛ばしてやがる。少し話しただけでも分かる。こいつ馬鹿だ。


「お前元人間だろ?」

「ああ、そうだな」

「じゃあ殺す」

「そこをきちんと説明して、ようやく納得が出来る会話だろ?」

「あの人が言ってた。人間は皆悪い奴だって」

「流石に言い過――」


 ソーマの首元にひやりとした感覚が起こった。ソーマは即座に後ろへ飛ぶと、そこには横に大剣を振っていた男性の姿が写った。


「お? お? 躱した?」

「もう少し会話を続けようぜ、亜人の坊や」


 ソーマは右腕を力強く振るった。それと同時に黒い稲妻が辺りに飛び交い、辺りに跡を残す程に熱を残した。


 ただ、亜人の男性はその大剣に隠れる様に身を潜めていた。そのお陰か、大した傷は見えない。


 ソーマは思考していた。


 魔力持ち……。明らかにおかしい。亜人は生来魔力を持たない。それは亜人の血を引いてる奴等も例外無く。だからこそ、おかしい。


 もしくは……誰かから分け与えられたのか……。そんな能力を持っている奴がいるのなら、相当強い奴だろうな。ただの亜人をここまで強くするなら。


 亜人は力強く大剣を振るった。魔力は迸る様に巨大な塊となり放たれ、辺りの全てを薙ぎ倒しながらソーマに向かっていた。


 その巨大な魔力の塊を、ソーマはただの防護魔法で受け止めることが出来た。


「辞めておけ。実力差があり過ぎる。殺しに来たのならあまりにも相手が悪いぞ」


 とは言ってみる物の、実際まだ分からない。魔力量は大体ファルソ並か。これを使い捨てに出来るのなら……黒幕はちょっとやばいか? 親衛隊出動案件の可能性も考慮に入れておこう。


 亜人はとても素早く動き、ソーマに向けて大剣を横に振るった。その刃は確かにソーマを捉えていたが、肌を切る前に、防護魔法で阻まれていた。


「お? おお?」

「だから言ってるだろ。俺とお前じゃ、実力差があり過ぎる」


 ソーマはその亜人に左の掌を向けた。そこから発動する魔法は人を吹き飛ばす強風を発し、その亜人を吹き飛ばした。


 依然ソーマには余裕があった。だが、その余裕では先程の焦燥を説明出来ない。本能で感じ取れるその強者としての威圧感との相違はソーマを更に困惑させる。


 確かに感じる焦燥感、しかし心にある余裕、そこから発生する困惑、目の前にいる亜人の謎は更に深まった。


 目的も分からず、ただ明確な殺意を宿すその溢れ出る闘争心だけが、目の前の亜人が敵であると言う証明である。


 亜人は乱雑に、しかし確かに殺意をその大剣に込めていた。何度も振り回すその斬撃を、ソーマは悠々と躱し、偶に余興で防護魔法で防いでいた。


 やがて感情を抑制出来なくなったのか、亜人は更に乱雑な斬撃を繰り出して来た。


 高く跳躍し、叩き付ける様にその大剣を振り下ろした。同時に魔力の塊が放たれ、地面を大きく抉った。ただ、それさえも防がれる。両者には無慈悲な程に圧倒的な力量差が存在していた。


 ただ、その力量差も時期に埋まることになる。


 突然、その亜人の雰囲気が変わった。それと同時にあの違和感が払拭されることとなった。


 その山羊の角は更に長く伸び、歪み曲がった。髪は更に乱雑に伸び、やがて毛皮の様な髪質に変わっていった。


 それと同時に迸る魔力。内包していた魔力を表現するかの様に空間が歪んだ。


 その魔力はやがて変質し、赤く紅く朱い炎に変わり果てた。それは、ソーマの防護魔法を僅かに打ち破った。


 軍服の様な服に若干引火したが、それを冷静に手で払った。


「やるな。それが全力では無さそうだ」


 亜人はその炎を撒き散らし、足元から爆発させた。その衝撃は亜人を空高く飛ばし、ソーマを見下した。


 剣をソーマに向けて投擲し、空いた両手を後ろに向けた。その腕を勢い良く前へ突き出すと、太陽とも見間違う程巨大な炎の塊がソーマに向けて放たれた。


 投擲した大剣が地面に突き刺さると、その大剣を中心に溶岩の様に溶けた岩石が溢れ出した。それは全て生きているかの様に動きソーマを一直線に襲ったが、腕を僅かに振るうとソーマの魔法は発動し、その溶岩は全て凍らされた。


 放たれた巨大な炎の塊が地面に接触する直前、何処からともなく多量の水が辺りを包み込んだ。まるで局所的な津波に襲われた様な多量の水だったが、それはやがて動き出し、空中へ浮かんだ。


 球の様な形に水は固まり、やがて宙へ浮かび亜人さえも包み込んだ。


「あーあー。聞こえるかー? まあ、聞こえると言うことにしよう」


 ソーマはその水の中でも声を出し、呼吸に苦しんでいる様子は無かった。ただ亜人は手で口元を覆い、肺の中に溜まっている空気を出さない様に必死になっていた。


「正直に話せばここから出してやる。ああ、そうだったな。声は出せる様にしてやる」


 亜人はその言葉を信じ、覆っていた手を離した。呼吸も出来る、声も出せるその水の中を不思議がったが、すぐに逃げるように泳いだ。


 だが、絶対に前に進めない。


「無駄だ。この水は俺の魔法だ。コントロールは俺にある。それで、誰の命令だ。教えれば別に命は奪わない」

「やだ」

「……ま、そう言うと思った。拷問は専門外だが、まあ、仕方無いよな。お前が俺の敵として立ち塞がったんだから」


 突然水は流れを生み出し、亜人の口へ流れ込んだ。食道を通らず気道に無理矢理入り込み、やがて肺へと侵入した。


「ほら、さっさと吐け。誰から命令されたのか、名前を吐くだけでお前は楽になるんだ。ほらほら、もう水は飲み飽きただろ?」


 苦しむ声も水が入り込むせいで出せずに、その場で悶え苦しみだけだった。


「……吐かねぇか……。……仕方無い。一旦気絶させて後は任せるか……」


 その行為は、あまり得策では無かった。


 問題点を上げるのならば、この亜人に対して注意を割き過ぎたことにある。外部からの干渉を考慮に入れなかったことである。


 唐突に、水は破裂し、重力に従う様に地面へと落下をし始めた。ソーマは即座に辺りを見渡した。


 ソーマは確かに強者であった。ただ、ルミエールの様に世界で他の追随を許さない程に圧倒的な強さを持っている訳では無く、メレダの様に何百年も過ごしたことによる思慮深さがある訳でも無い。


 それを自分自身で理解していながらも、微かに抱いていた油断。なまじ敵う相手が少ないからこそ、微かに油断をする悪癖が未だに治っていない。


 かつてソーマは自らの友人であるリーグの王の御言葉を思い出していた。簡単に要約すれば、ソーマ程の実力者であっても、それだけでは油断をする理由にはならないと言う言葉だった。


 その言葉を、ソーマは今一度反芻した。


「反省会は後だ。誰がやったのか……」


 その思考と共に、ソーマは空中で浮かぶ無数の長槍が矛を向けられた。


 無数に乱雑に、しかし確かにその全てに明確な敵意を持つその槍ごときで、ソーマは怖気づく訳では無かった。むしろ更に思考を速めた。


 さて……恐らく二人で来たな。探知に引っ掛からないとなると相当な手練れか。しかもこの槍、魔法で作ってやがる。こんな大質量な物良くあの一瞬で作ったな。


 槍は向けている矛先に向けてただ真っ直ぐ動き出した。まるで弾丸の様な速度に差し掛かり、ソーマに向かっていた。


 しかし、何も持たずソーマは体を回し、右腕を一周させた。それと同時にソーマを囲っていた槍は例外無く叩き落された様に落下を始めた。


 それと同時に、何時の間にか先程の亜人が大剣をソーマに向けて振り下ろしていた。


 ソーマの防護魔法さえも叩き壊した。ただ、やはりその大剣はソーマを傷付けることは出来なかった。


 片手には、白い長剣の柄が握られていた。その長剣は亜人が振り下ろした大剣を受け止めていた。


「力強っ……流石亜人」


 亜人が持つ大剣を弾き飛ばし、ソーマは振り落とした長剣を振り上げた。その白く輝く刃は簡単に亜人の腹から胸に一線の傷を刻んだ。


 そのまま炎を目から吹き出しながら、その亜人は地面に向けて落下した。


「さて、まだいるんだろ? こっちだって暇じゃ無いんだ。さっさと休んで妻といちゃいちゃしたいんだ」


 その声に反応する様に、大木が飛んで来たと見間違う程に巨大な槍がソーマを目掛けて途轍も無い速度で飛んで来た。


 ソーマが白い剣を振ると、その槍は縦に真っ二つにされた。そのまま槍は灰も残さず燃え尽きた。


「この辺りには魔物が跋扈して人がいなかったから良かったが……いや、それを狙ったのか? もう目的が分からないな」


 それと同時に、あの亜人から感じた魔力も消え去った。


「……逃げられたか。……一応ルミエールに連絡しておくか――」


 ――夕暮れ時、私達は、倒れていた。


 疲労困憊になり、胃の中の物が全部吐き出しそうな感覚に襲われた。そんな距離を私達と一緒に走っていたはずなのに、メグムさんは息も切らさずに元気そうだ。


「うん! 皆頑張ったね!」


 メグムさんの肩には一番最初に倒れてしまったシャーリーさんとニコレッタさんが乗っている。途中からあの二人も抱えて走っていたのに何であの人は平気そうなのか分からない……。


 ……動けない……本当に動けない……。立ち上がろうとすると脚ががくがくと震えて結局膝を付いてしまう。


 昼頃から夕暮れになるくらいに走ったせいだ。お師匠様の所でもそんなにきつい運動はしなかった。むしろそう言う訓練は大体魔法で代用出来るせいでして来なかった。


 ……途中から浮遊魔法でズルをしたのは内緒にして欲しい。


「けどカルロッタちゃん! 途中で浮遊魔法を使ったのはバレてるよ!」


 バレてた……。


 メグムさんはため息をついた。シャーリーさんとニコレッタさんを肩から降ろし、腰に未だに付けていた奇妙な鍔をしていた剣を抜いた。


「カルロッタちゃん、魔力は充分に残ってるでしょ? ちょっと手合わせしようか。罰としても丁度良いし、ソーマ君からも頼まれてたからね」

「うぇぇ……」


 ソーマさんとの戦いぶりから見るに、この人は未だに全力じゃ無かった。そして見た時から感じていた真っ赤に灯る熱い魔力。この人は恐らく、火を使う。


 ドミトリーさんの魔力と似ている気がするが、ちょっとだけ違う。ドミトリーさんはもっと荒々しく、それでいて真っ青で冷たそうな炎だった。この人は穏やかに灯り、それでいて近付けば熱く火傷をしてしまいそうな炎だった。


 私はたまーにその人の魔力的な特徴が視覚的に分かる時がある。本当にたまーに。お師匠様が言うには

「感覚が鋭いせいだな」程度にしか言われなかったけど。


 今の所見えたのはフォリアさんとドミトリーさんとメグムさん。フォリアさんはとても血に塗れていて恐ろしかった。


 まあ、今はそれを言っている暇は無い。目の前にいるメグムさんが抜いた剣からちらちらと見える小さな炎が、私に向けられようとしている。


 私は浮遊魔法で無理矢理体を起き上がらせた。これを使えば楽に動ける。


「ちょっと離れようか。疲れている子が多いこんな場所だと巻き込みそうだし」

「何処まで行きますか?」

「そうだね……あ、そうだ。丁度良い所があるよ。着いて来て」


 そう言ってメグムさんの背後に炎で形成された大きな翼が展開された。相当な熱量を持っているせいか、辺りの空気が揺らいでいる。


 そのままメグムさんはその炎の翼を小火を撒き散らしながら羽撃かせ、悠々と空を飛んだ。


「ちゃんと着いて来てね」

「分かってますよ」


 そのまま私は飛行魔法を使って前を飛んでいるメグムさんを追い掛けた。


 まるで炎が燃えている様な夕暮れに、本当に炎を使って飛んでいるメグムさんは良く映える。そう言えば、この人も『固有魔法』は使えるのだろうか。流石に使えたら実力としては敵わない。


 ……流石にそこまでの魔法の練度にまでは至っていないと思うけど……いやでも……どうだろう。


 やがてメグムさんはある場所に降り立った。叢が広がるだけの殺風景な場所だった。確かにうってつけではあるけど。


「うん。ここなら大丈夫かな。そんな杖で大丈夫?」

「はい。ルミエールさんとかソーマさんから聞いてませんでした?」

「あら? ……ああ、ソーマ君がおかしな杖を使うって言ったのはそう言うことなのね。確かに……おかしな杖だけど」

「大丈夫です。どうせ私は全力が出せないので」

「……契約魔法?」

「良く分かりましたね」


 さて……ここだとどうせ契約解除は出来ない。どうせ全力は出せない。それならせめて今出せる全力を。


 私はメグムさんに杖を向けた。


「それでは、お願いしますメグムさん」

「ソーマ君が言うにはカルロッタちゃんは戦い方に癖が付いちゃったみたいだから、それを治す為の訓練も兼ねた物だからね」

「それにしては剣を構えてますけど……」

「寸止めにするから安心して」


 目の前に対峙しているメグムさんは右手で持っている剣の切っ先を此方に向けた。そのまま剣を真っ直ぐに腕を後ろに下げ、左手をその剣の刃に根本に置いた。


 左手を剣に沿って少しずつ前に動かすと、その剣に炎がこびり付いた。


 まるで剣から炎が舞い上がる様になると、それを何度かその場で振り回した。その度に赤く黄色い炎の勢いは増し、溢れ出る凶暴で狂おしい程に盛る烈火の焔は小さな太陽の様に輝いていた。


「……来ないの? もう来ても大丈夫だよ」


 あ、もう初めて良いんだ。


 私は浮遊魔法で空高く飛び、メグムさんに杖を向けた。それと同時に宙に浮かぶ魔法陣を無数に刻んだ。


 ニコレッタさんの捕縛魔法はほとんど意味は無い。まずあそこまで近付けるとは思えないし、それをする意味も無い。


 今回はあくまで戦い方の癖を治す為の訓練だ。両者が動けなくなる魔法を使う意味は無い。


 そう思うと、ドミトリーさんの"蒼焔(シー二イプラーミャ)"は癖も無くて扱いやすい。"植物愛好魔法(プラント・ラヴァー)"は植物に触る暇が無い。


 初級魔法、単純な魔力の塊とそれに織り交ぜる蒼い炎をメグムさんに向けて放った。燃え盛る炎が、凍える氷が、吹き荒れる風が、迸る雷撃が、白く輝く光線が、魔力の塊が、蒼く太い焔が、この場を満たした。


 ただ、それはあまりにも無意味だった。


 燃え盛る炎はメグムさんが振るった剣に触れると同時に、その剣に纏わり、凍える氷はその熱量に溶かされ、吹き荒れる風は熱風に掻き消され、迸る雷撃を悠々と躱し、白く輝く光線を真正面から切断し、魔力の塊を受け流し、青く太い焔はその剣の炎に飲み込まれ更に熱量を増す燃料になった。


 恐らく炎は意味が無い。メグムさんは炎その物を自分の物に出来るのだろう。ただもう氷をぶつけても意味が無いくらいには熱量を増している。なら……。


 単純な魔力の塊だけに限定させ、速射性を高めた。圧倒的な物量で攻めることがあの人の対処法だろう。


 百は優に超える魔力の塊を、メグムさんに放った。


 すると、メグムさんは先程の炎を翼を展開させた。それは熱を発し、更に燃え盛った。


 一瞬の爆発音と共に、メグムさんは私の視界から消え去った。いたのは、私から見て左側だった。あの剣の間合いに入られていた。


 メグムさんは横に炎を纏った剣を振るった。ただ、その剣は私の手元から離れた杖で防いだ。


 一瞬だけ硬直したその瞬間に、私はメグムさんに魔力の塊をぶつけた。その衝撃でメグムさんを地面に叩き落とし、そのまま無数に魔力の塊をぶつけようとした。


 魔力の塊は地面を大きく抉り、土煙を巻き上げた。


 そこに、メグムさんはいなかった。


 メグムさんは私の目では追い付けない速度で私の更に上へ移動していた。剣に纏わせている炎は離れ、無数に小さな火に別けられた。


 その全てが、放たれた。


 その小火が私の防護魔法に触れると同時に小さな爆発が起こった。


 その爆発の火で私の視界が遮られると同時に、メグムさんは私の背後に回っていた。


 炎を纏わず、しかし確かに重く素早い一突きが私の防護魔法に激突した。


 一撃で破壊されたが、即座にもう一度私の背後に作ろうとした。その直前に、私の腹部にメグムさんの長い脚から繰り出された蹴りが入った。


 浮遊魔法で浮かんでいる私の体を、それ以上の強制力で地面に叩き落とした。その私に向けてメグムさんは剣を突き刺す様に落下を始めた。


 その剣を弾こうと杖を魔法で動かし、落下中のメグムさんに当てようとした。


 メグムさんは、それよりも速く右腕を横に突き出し、その手先から爆発を起こした。その衝撃でメグムさんの体は左に吹き飛び、私の視界から消えた。


 すると、私の首にひやりとした感覚が引っ付いた。横を見ると、メグムさんが倒れている私の首に刃を当てていた。


「はいおしまい。敵だったら殺されてたよ?」

「何時の間に……」

「視覚に頼ってるからって言うのもあるけど……カルロッタちゃん、落下してる私に魔法じゃ無くて杖をぶつけようとしたでしょ? 確かにあれも速いけど、貴方の魔法の方がもっと速かった。にも関わらずそれをぶつけようとしたのが一つ」


 メグムさんは剣を鞘に収め、私に手を差し伸ばした。


「それと、防護魔法さえ張れば攻撃を防げると思ってるのが一つ」


 私はメグムさんの手を掴み起き上がった。


「そしてやっぱり、先読みしようとしているのは分かるんだけど、その先読みは貴方のお師匠様の動き方しか読めない。これがソーマ君の言っていた癖だろうね」

「確かに……お師匠様以外に特訓をした覚えは無いですね……」

「でしょ? 人によって多種多様に変わる戦闘術の内、貴方は一つしか知らない。もっと色んな人と戦えばそんな癖も薄れるはずなんだけど……やっぱりずっと一人としか戦ってなかったからだね」

「対処法は何かありますか?」

「やっぱり色んな人と戦うことをしないとね。それも自分と同じ実力か、それ以上の人達と。格下と戦ってもカルロッタちゃんが強過ぎて勝負にならないから」

「なら毎日ソーマさんと模擬試合をすれば良いんですか?」

「ソーマ君なら色んな戦い方が出来るからね。私はどうしても徒手空拳と剣術と火の魔法だけだからね。色んな魔法を使えて剣術もある程度出来るソーマ君はおすすめだよ」

「ありがとうございますメグムさん」

「良いんだよ。カルロッタちゃんは……。……ううん。これは何時か話そうかな」


 そう言っているメグムさんの顔は、少しだけ悲しそうだった。


「さて、少し休もっか」


 メグムさんは私の隣に座り込んだ。


 夕暮れは徐々に暗くなり、星が僅かに見える様になった。


「あの、メグムさん」

「どうしたの?」

「メグムさんはリーグの王に会ったことがありますか?」

「……あるよ」


 メグムさんは少しだけ辛そうに微笑んだ。


「どんな人だったか聞きたいの?」

「はい。どうにも気になって」


 メグムさんは、僅かに見える星空を見上げた。


「……あの人は……あたしを救ってくれた。優しくて、温かくて……あたしは彼を愛してしまった。彼の心はルミエールちゃんにあったのに。彼は星々を統べる王、何よりも強く輝く王だった。あたしはその星の光に恋い焦がれてしまった」

「そんなに素敵な人なんですか?」

「あたしから見ればね。……結局あたしは彼の心を救えなかった。五百年前のあの日、彼は……もう、疲れてしまったんでしょうね」

「王としての責務とか?」

「……そこまで無責任な人なら、どれだけ良かったのか」


 すると、メレダさんは俯いた。


「……ごめんねカルロッタちゃん……もう……これ以上あたしに何も聞かないで……。……あたしの心は……彼のせいで壊れやすくなってしまった……」

「……分かりました。先に帰っていますね」

「……また明日。カルロッタちゃん」


 メグムはカルロッタが帰ったことを確認した後に、鞘から剣を抜いた。


 この剣はリーグの王からメグムへ、その功績に応じて貰い受けたこの世に一つしか無い物品である。


 その剣に微かに残るリーグの王の清浄で、それでいて邪悪な魔力を感じ、メグムは涙を流した。


 懐かしいその魔力を心の拠り所にして、メグムは平穏を保っていた。


 その剣を抱き締め、メグムはまた俯いた。僅かな慟哭にも近しい声を出しながら、メグムは美しい涙の粒を落としていた。


 敵わない恋心であると分かっている。分かっていることだったが、それでも良いと心の中で決心が付いている。それでも、その恋心は薄れさせることなど出来なかったのだ。


 その姿を思い浮かべ、彼女はぽつりと呟いた。


「……また、貴方に……会いたい……」

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


ようやく進めそうです。色々ぐだぐだとやっていますが、読んでくれたなら幸いです……。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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