日記39 城塞都市エーデリ! ②
注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。
ご了承下さい。
「……君、そんな髪型だったか?」
「ブルーヴィーで色々あって焼き切れました」
「ああ、色々あったらしいな。詳しくは知らないが。何せリーグの国家機密に認定されたらしいしな」
フォリアさんの髪型、前の方が好きだったのになぁ。
……と言うか、ついにシロークさんを待つ時間で暇になって、良く分からない雑談に花を咲かせてしまっている。
この、陛下も何で楽しそうなのかなぁ……私とヴァレリアさんは気が気で無いって言うのに……。むしろフォリアさんが落ち着き過ぎていると言うか……。
ほら、ヴァレリアさん、ちょっと白目向いてる。あまりの緊張で白目向いてるもん。
ようやくシロークさん達が帰って来ると、陛下は笑顔で二人を迎えた。
「どうだったカーティア。話は出来たかい?」
「ええ、心配御無用」
「そうか、それなら良かった。家族思いの君をまた一つ知れたよ」
この人あれだ。モテるタイプの人だ。エルナンドさんはこの人を参考にすれば良いのに。
まあ、それはそうか。この人王様だもん。結構大国の王様だもん。人の扱い方には慣れているのかな。
「さて、ようやく話に入れるな。まず君達、何処へ向かうつもりなのかな?」
「ミノベニアです」
「ミノベニア? 今、あそこは情勢が更に不安定になって、一般の入国は全面的に封鎖されているはずだが……」
「……え? ヴァレリアさん?」
私はヴァレリアさんの方に視線を向けた。
ヴァレリアさんも知らなかったらしく、首を横にぶんぶん振っている。
「……ふむ、成程、仕方無い」
そう言って、陛下は指をぱちんと鳴らした。その直後に、王妃が静かに言った。
「気を付けなさい」
え、気を付けるって――。
その瞬間、日差しが差し込む硝子の窓から、いきなりそれを蹴り割って男性が飛び込んで来た。
硝子の破片が飛び散る前に、入って来た男性が大体の破片を素早い手付きで回収し、外に放り投げた。
……変な、変な人だ。最近変な人としか出会って無い気がする……。
それに、硝子の破片は外に投げないで欲しいなぁ……。
「書類を」
陛下がそう言うと、入って来た身なりがやけに整っている男性が、懐から紙と筆を陛下に差し出した。
殆ど何も言ってないのに何を求めてるのか分かるんだ……側近とかかな? なら窓から入るんじゃ無くて、ちゃんと扉から入って来て欲しかった……。……うん? まず側近って隣にいるべきじゃ?
何で外にいたんだろ、この人。
陛下はその紙にさらさらとサインを書くと、私に手渡した。
「こっちからもミノベニアの王に親書を送ろう。これで国境はすんなり超えられるはずだ。ああ、封筒にでも入れておこうか。済まない済まない」
「ああ、その、それで、結局何の用で……?」
「おっと、また忘れていた」
すると、今度こそきっちりとした、陛下に相応しい風貌の雰囲気を発しながら言葉を続けた。
「丁度この国とミノベニアの国境である山脈付近に、君達にとっても因縁深いであろう解放兵団の大型基地が発見された。現在ギルドにも報告し、先遣隊として二人送られた」
「ああ、つまり私達にも行けってことですね」
「察しが良くて本当に助かる。本当は正式にギルドからの依頼を待ちたい所だが……あれが国境付近にあると、ただでさえ不安定なミノベニアの情勢が更に悪化する原因になる。この国はあれを黙認していたなんてミノベニアから言われれば同盟国内での戦争勃発、なんて最悪のケースもあり得る。まあ、これは難癖に近いから他の国が否定するだろうが……」
ああ、つまり大人の世界の事情と言うことだ。
「つまり早急の案件であり、ギルドの動きを待つ訳にはいかない。そんなこんなを思っている時、偶然偶々君達が何かいたから話し掛けたと言う訳だ」
あ、ちょっぴり嘘吐いてる。
多分、偶然、偶々じゃ無いんだろうなぁ……。そうじゃ無いと、エーデリに入ってすぐに見付かるはずも無いし。
多分、エーデリに入ったと同時に陛下の魔力探知に引っ掛かったのかな。細かい場所は……多分あの側近の人が見付けたのかな? それなら外にいた理由もちょっとは納得出来るし。
まあ、何はともあれ、ソーマさんから私達の動向は聞いていたのだろう。
そして、これを言わないのが大人の会話。
「正式な依頼はまだだが、どうだろうか。受けてくれるか?」
「……ちょっと、一晩くらい考えさせて貰っても、良いですか?」
「ああ、構わない。何せ規模の全容がまだはっきり分かっていないからな。君達が経験した以上の危険があるかも知れない」
相談するにしても、ヴァレリアさんの精神がそろそろ限界そうだ。私もちょっと疲れている。
けど……シロークさんはまあ当然として、何でフォリアさんまで慣れてる様子なんだろう……?
私達は今日泊まる宿に早く着くと、すぐに相談を始めた。
「国境沿い……国境沿いねぇー……山脈がキツイのよねぇ……」
ヴァレリアさんは何方かと言えば、否定的な意見を持っている様だ。
「そんなにキツイんですか?」
「まあ、普通に標高が高いからメチャクチャ寒い。それと……ふっつーにドラゴンが住んでる。あの山脈は、経緯は知らないけどどっかの馬鹿な魔人が莫大過ぎる魔力で作った山脈だから、魔力濃度が濃いらしいのよ。だからドラゴンが外敵もいないまま伸び伸び育ってる」
「ああ……ひょっとしてヒョウドラゴンの生息域ってそこですか……」
「シラヨヒョウはもう一つ向こうの大陸を分断する山脈の方だから、それに比べるとまだ……まだ、マシ、マシかぁ?」
「繁殖力はヒョウドラゴンの方が高いですからね。……超絶危険地帯じゃ無いですか」
「だから魔物避けの魔法が贅沢に使われてる山道があって、私達はそこを行こうと思ってたんだけど……確実に、そこから外れることになるのよねぇ……」
「休める場所も限られることに、きっとなりますよね……どうします? 断ります?」
「いやぁ……でも報酬良さそう……。ただ、クライブもいるから、色々面倒臭い……」
ここでクライブさんが馬であることに問題が……。
個人的にはどうにかしたいけど……うーん、ヴァレリアさんの言う通り、山脈を越えるので精一杯。
「まずここに来たのがそれの準備の為でしょ」
フォリアさんがそう切り出した。
「近いからこそそれの対策もここには充分揃ってる。費用の問題だって言うなら、そこも含めて陛下に交渉すれば良いでしょ。交渉はヴァレリアに全部任せるけど」
「ほらー! そう言うことは全部私任せ! 私の気持ちなんて知ったこっちゃ無いってことね!?」
「割とそう思ってるわよ」
ヴァレリアさんはもう色んな感情をぐちゃぐちゃに混ぜた視線でフォリアさんを睨んでいた。
あの感情は……どう言う言葉が正しいのだろう。
「まず、前みたいに上手く行くとはとてもとても……」
「あくまで偵察でしょ。ギルドも今、本隊を作ろうと躍起になってるはず」
「……確かに」
お、流れが変わった。これは結局行く流れかな?
「あーもう分かったわよ! 交渉事は全部私! はいはい分かりました! じゃあ決定! 依頼は受けます!」
まあ、私としてはどっちでも良い。皆さんが行くって決めたのなら、私も勿論着いて行く。
そうと決まれば、急いで準備に取り掛かろう。何せ元々、山道を抜けてそのままミノベニアに行くつもりだったから、それよりも多くの物資が必要になる。
出来れば、低体温症を防ぐ為の丁度良い魔法があれば……。最悪私の魔法やフォリアさんの魔法で焚き火でも作れたら良いけど……。
あ、そうだ。"植物愛好家"で植物を伸ばして、それに火を点ければ手軽で何処でもキャンプファイヤーが出来る。
問題は食料? 結構大量に用意しないと。
保存のことは寒冷地だからそこまで気にしなくても良いだろうけど、場所の関係で何時も通り料理が作れるとは思えない。生モノは辞めた方が良いかな。じゃあやっぱり保存食になりそう……。
そして、すぐにでも次の日。同じ場所で陛下と出会った。
「……その顔付きを見る限り……いや、君達の言葉で聞こう」
「ご依頼を受けましょう。そこで、何ですけど……いや、これからはヴァレリアさんに……」
交渉は全部この人に丸投げしよう。
ヴァレリアさんは悲鳴を静かにあげながら、ヴァレリアさんの人生の中で一番緊張しているであろう時間を過ごした。
まあ、私達は別室に案内されたけど。
「……貴方が、カルロッタ・サヴァイアント?」
王妃様がそう聞いて来た。
「……ええ、はい。カルロッタ・サヴァイアントです」
「……そう、つまり貴方が……。サヴァイアント、ですか。随分と……何と言うか、随分な因縁を背負って産まれて来た物ですね」
「失礼ですが、どう言う意味ですか? ソーマさんも、何だかそれに似た様なことを言ってましたけど」
「知らないのならそれでも良い。知ればより多くを理解出来るかも知れませんが、知ることが幸福では無いのです。まあ、魔法使いである貴方にとって、それはまた納得のいかないことなのでありましょうが」
サヴァイアント、お師匠様もこの名前の由来は教えてくれなかった。
しかし、これだけの人にそれっぽいことを言われれば、嫌でも諦めかけていた由来を知りたくなる。
言わないと言うのなら、勝手に私が予想してやろう。
まず、サヴァイアントの意味を知っていそうな人の共通点……ソーマさんは、うーん。リーグの人でしょ? あ、でも王妃様もシロークさんの伯母と言うのなら、マリアニーニ、つまりリーグとの関わりが深いはず。
でもドミトリーさんは知っている様子を見せていない。まああの人は嘘が上手い人だから、これの信憑性が100%と言う訳では無いけど。
つまり、それこそ星皇がまだいた頃の五百年前の知識を持っている人? お師匠様も、思い返せば何だかリーグの住民っぽい様な……?
ソーマさんは私には似合わない名前だと言っていた。そして王妃様は知ることが幸福では無いと言われた。
まあ、あれなのだろう。きっと良い意味では無いのだろう。余程の悪人の名前だったりして。
そんな名前を私に付けたお師匠様って一体……。……まあ、お師匠様だし。あの人ちょっと変な人だし。
特に考えも無く付けてたり。お師匠様ならあり得るかも。
まあ、気になるが、王妃様はそれを答えるつもりは一切無いらしい。なら無理には聞かない。
個人的に調べるくらいはするけど。
ようやくヴァレリアさんgか戻って来ると、いきなり私に抱き着いて来て力を抜いた。
「疲れた……本当に、本当に疲れた……」
「お疲れ様でした」
「……ほんと、ほんとに……もうあんな気が気でいられない交渉事は嫌……。……だって国王陛下と会話するだけで畏れ多いって言うのに……」
私も出来ればしたくない。
だからヴァレリアさんに全部丸投げしたんだけど。
「それで、どうなったんですか?」
私がそう聞くと、待ってましたと言わんばかりに、扉を勢い良く開けて陛下が入って来た。
「それは私から説明しよう!!」
この人も大概愉快な人だ。
「こちらからギルドと交渉し、特別手当と言うことで報酬のかさ増しを提言するつもりだ。交渉次第だが、恐らく報酬は二倍になるだろう」
おお、どんな交渉の果に、そこまで破格な条件にしたのだろうか。
次の為に、後でヴァレリアさんにその方法を聞いておこう。陛下の前でも物怖じせずに強気な交渉術、一体どんな……?
「それでは、諸君等が新たな歴史に刻まれる名のある者になることを願い、その勇ましい功績を待っていよう」
さて、また予定が出来ちゃった。
最後まで読んで頂き、有り難う御座います。
ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。
これから先、個人的な要件で多忙となり投稿頻度、そして間隔が大きく開くと思います。申し訳御座いません。
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