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魔法使いちゃんの予定無き旅  作者: ウラエヴスト=ナルギウ
第二章 ギルド
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挟んだ覚えの無い日記 赤髪は悪魔に拾われて

注意※分かりにくい表現、誤字脱字があるかもしれません。そして唐突な戦闘などがあります。「そんな駄作見たくねぇよケッ!」と言う人は見ないでください。


ご了承下さい。

 雪が降り積もる景色に足跡を残すように、赤髪の少年は駆けていた。


 理由は恐らく、両手で大事そうに抱えている赤子だろう。何かから逃げるように走っていた。


 吹雪は永遠に吹き乱れ、やがて力尽きたようにその少年は倒れてしまった。


「……神様……お願いします……。……この子を……僕の妹を……助けて下さい……」


 悲痛な叫びは、少年が祈る神には届かなかった。何故なら神とは、全ての人間を救える程に万能では無く、暇では無かったからだ。もしそれが出来るのなら、全人類は苦も無く幸せに暮らせるはずだからだ。


 それを少年は、無慈悲にも小さな体で理解した。


「……僕の命を……捧げます……。……僕の妹を……助けて下さい……」


 少年は悪魔に祈った。神よりも、対価さえ払えば確実に願いを聞き入れる悪魔の方がより慈悲深いと理解してしまったのだ。


 少年の視界に、鳥の羽根のような物が舞い落ちた。それは吹き荒れる雪を止めながら、更に羽根は舞い落ちる。


 白い羽根と黒い羽根が入り乱れ、やがて少年の前には、生物を遥かに超越した超越者が舞い降りた。


 白と黒が入り乱れる髪、瞳は片方が無垢金色に輝き片方が無垢銀色に輝いていた。


 背から生えている純白の天使のような羽根と、漆黒の悪魔のような羽根で少年を包み込んでいた。


 美しく瀟洒に立ち尽くしている女性的な体型をしている男性は、少年を見下していた。


「……少年。どうやってこの中に入った。ここは俺の『固有魔法』"エピクロスの園"だ。確かに隠すことに特化しているせいで外殻は脆いが、それでも偶然に外殻を破壊したとは思えない。それにこの雪は……。……抱えている物は何だ」

「……僕の……妹を……」

「……成程。……それはお前の妹か? ……そうか。この雪は……」

「……助けて下さい……」

「……良いだろう。だがお前はもう助からない。お前の妹の魔力の影響で命の形その物を歪められている。人間の姿を未だに保っているのは奇跡としか言えない。もう俺の魔法でも無理だろう」

「……それでも……」


 男性は、口を開き歯を見せながら悪魔のような笑みを浮かべた。


 男性は凍えた赤子を少年の腕から奪った。その赤子を結界魔法で外部と遮断すると、辺りの雪は降り止んだ。それと同時に少年の体は灰となった。


「……さて、お前の名前を決めないとな。そうだな……アンジェリカ……いや、カルロッタだ。今日からお前の名前はカルロッタ・サヴァイアントだ」


 その男性は、背後を睨んだ。


「……招かれざる客が、また三人来たようだ」


 その視界には、三人の魔人がいた。


「こちらに渡して貰おうか」

「断る。交渉なら意味が無い。早々に立ち去れ。今の俺は少々不機嫌だ」

「貴様の機嫌はどうでも良い。その赤子は危険だ。貴様も分かっているはずだ」

「早々に立ち去れと、忠告したはずだ」


 一人の魔人の腕が腐り落ちた。


 唐突に起こったその出来事に、魔人達は叫喚した。それさえも、彼の前では無慈悲に響くと言うのに。


「俺は、忠告を、したはずだ。にも関わらず……阿呆が」


 腕が腐り落ちた魔人の体は即座に爆散した。辺りに撒き散らされた血肉は雪景色をより一層華やかに彩った。


 もう一人の魔人は全身が炎に包まれた。悲鳴が穢らわしい程に喚き散らされたが、その声を出す喉が破裂し、金属片が飛び出た。


「……さて、最後はお前だが……」


 そう言って男性は残った男性の前に立ち竦んだ。


 寒さのせいか、それとも恐怖のせいか、魔人は震えていた。やがて頭を低くし、降伏の意を体で示した。


「辞めてくれ……今すぐここから離れるから、殺さないでくれ……」

「……何か、勘違いしてないか?」


 男性はその魔人の頬に触れた。とても優しく、とても暖かかった。


「俺を見たからには、逃がす訳にはいかない。もうお前達の運命は決まっていたのさ。ここで、誰にも見送られずに、死ね」


 魔人の心は凪いでいた。それは穏やかになっていた。にも関わらず体の恐怖による震えは止まらなかった。


 やがて男性はカルロッタを抱えその魔人から離れた。


 魔人の心の凪は波立ち、恐怖は体から抜けた。


 やがて上空には赤い鱗のドラゴンが飛んだ。それは魔人の前に降り立った。そのまま餌を貪るように頭からその強靭な顎を砕き、自らの血肉とした。


「カルロッタ。今日からカルロッタは俺の弟子として魔法を極めてくれ。そうしなければカルロッタの魔力により世界は崩壊してしまう。……さて、小屋を少しは模様替えするか。……城のようにすれば良いか――」


 ――カルロッタの師匠は水晶の前で座り込んでいた。その水晶の中にいる吸血鬼に話し掛けるように、語っていた。


「……最初は、カルロッタを実験材料かなにかにしようとしてたんだ。だが……育てればどうにも、情が湧いてしまって。笑っちまうだろ?」


 カルロッタの師匠は水晶に触れた。


「……なあ、笑ってくれよ。あの時と、同じ様に……笑ってくれよ。そうすればきっと……」


 カルロッタの師匠は水晶に触れながら哭いていた。


「……お願いだ……笑ってくれよ……勝手に寝床に忍び込んで、勝手に混浴して、勝手に屋敷を建てて……そんな昔みたいに、誂って……意地悪に笑って……。……今の俺ならきっと、お前を抱き締められるから……なあ、お願いだ……。……"カーミラ"」


 水晶の中に眠る吸血鬼は、何も語らない。

最後まで読んで頂き、有り難う御座います。


ここからは個人的な話になるので、「こんな駄作を書く奴の話なんて聞きたくねぇよケッ!」と言う人は無視して下さい。


カルロッタの過去を少しだけ。これ以上の深掘りはもしかしたらするかも知れないししないかも知れない。ちょっと悩んでいます。


いいねや評価をお願いします……自己評価がバク上がりするので……何卒……何卒……

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