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第8話 神様 イケメンに奢らせる

 リーダーメイドさんに、暖房を入れてせめて物理的に店内だけでも暖めることは出来ないのかと相談したが、そのようなオプションサービスは無いそうだ。

 一度研究室まで、上着を取りに帰ろうかと真剣に悩んでいると、伊勢くんが私のテーブルに戻って来た。


 彼は、申し訳なさそうに、黙ったままうつむいて椅子に座っている。落ち込み煤けた彼の姿を見ていると、私は少々大人気無かったと反省する。思うと彼自身は何も悪い事をしていない。

 

 彼はただ、イケメンだっただけだ。悪い事などしていない。


 私は切り替え、伊勢くんに何を食べるか聞いてみる。

 伊勢くんは、私に話かけられたのが嬉しかったのだろう、私と同じ物が良いという。既に私はオムライスの口であったが、一応メニューを持ってくるように、伊勢くんの後ろに侍るメイドさん達にお願いする。


・・・分かっては、いる。先ほど私なりに整理をつけ納得したはずだ。彼は悪くないと。




「メニューをどうぞ、ご主人」


ありがとう。けど、メニューを頼んだのは私ですけど?


 メニューを持ってきてくれたメイドは、私に完全に背を向け、輝く本物の笑顔で伊勢くんにメニューを渡し、さらには丁寧に本日のお勧めセットの説明をしている。


 体が自然と動き、私はテーブルで再び司令の姿勢を取り、伊勢くんを静かに見つめる。伊勢くんは少し青ざめ、私にメニューを見せて提案をしてくる。


 今日は快気祝いなのだから自分が奢ります。つきましては、この人数限定のスペシャルワン・ニャンメイドの萌え萌えデラックス・オムライスセットさんきゅっぱ(3,980円)で、いかがですか?と。



 ほう、悪くない。悪くないぞ、伊勢くん。


 私も丁度それが良いと思っていたのだよ。


 私の言葉を聞いて安心した様子の伊勢くんは、件のセットを2つ頼んだ。



 人数限定スペシャルワン・ニャンメイドの萌え萌えデラックス・オムライスセットさんきゅっぱ(3,980円)、いつかは、注文したいと思っていたが、一食でマスターグレードが買えるということで、いままで二の足を踏んでしまっていた。しかし、奢りとなると話は違う。遠慮なく頂こう。


 人数限定のスペシャルワン・ニャンメイドの萌え萌えデラックス・オムライスセットさんきゅっぱ(3,980円)



 とても楽しみだ。



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