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第6話 ギルドマスター ニック・マクレイ

 

 ここはギルドマスターの執務室かな。

 部屋に入って奥のほうにある机の上には書類が散らばっているのが見え、直前まで仕事をしており急いでこちらに対応してくれたのだろうとわかった。

 部屋の手前には来客に対応するためのソファとそれに合わせたテーブルが置かれていた。

 俺とステフは部屋の入り口から見て奥のソファに座り、ギルドマスターのニックさんはその向かい側に腰を下ろした。

 うは、このソファすんごいフワフワしていて気持ちがいいぞ。

 薄い藁をベッドにしている俺は何とかこれを持ち帰ってうちのベッドにできないものかとその感触を楽しんでいた。

 ギルドマスターのニックさんは俺たちが一息ついた頃を見計らって口を開けた。


「ステファニー殿、およそ20年ぶりでございますか。相変わらずお変わりなくご壮健でなによりです」


「あんたは老けたわね、髭まで生やしちゃって。名乗られるまでは分からなかったわ」


 ん? 知り合いだったの?

 それと20年ぶり? 赤ん坊のときからの知り合いか?

 じゃあ何でステフが赤ん坊のときの記憶があるんだってことになるんだけど……。

 それとも見た目はの割に結構歳食っててそれなのに自分のことを美少女とか言っちゃうイタい奴なのか

 聞きたいとは思ったがここで口を挟むのもなんだしここでは黙っておくことにした。


「して、ステファニー殿は確か宮廷魔法師団に所属したと耳にしたのですがどうしてこのような所へ?」


「い、色々とあって私はもう宮廷魔法師団所属ではないわ。今日は持ち合わせが無くてね、ちょいと稼ぎに来たの」


「んあっ? 宮廷魔法師団!?」


 思わず声を出してしまった。

 ステフとニックさんがさっきまで完全に空気だった俺に目を向けた。

 あぁよかった、俺ってちゃんと認識されてたんだな、と馬鹿みたいなことを考えつつもニックさんのそれでお前は一体だれなんだよって視線に応えることにする。


「本日よりステフの弟子になったカイといいます、よろしくお願いします」


 俺がそう言うとニックさんが少し驚いた顔をした。


「ほほぉ、ステファニー殿の御弟子であったか。カイ、おぬしは幸運じゃぞ。ワシは彼女ほど指導者に向いている魔法使いを知らぬ。なぜなら魔法を毛嫌いして一切魔法を使おうとしておらんかった引退間近のワシに魔法を使わせたのだからのぉ」


 多くを束ねるギルドマスターでさえも認める指導力、さすがだぜ、段々と驚かなくなってきた。

 この際だと俺は気になったことを聞いてみた。


「あの、お二人はどういった関係なんですか? 20年ぶりだとか言っていましたが……」


「そうじゃな、ワシとステファニー殿は元冒険者仲間といったところかの。正式にパーティを組んだわけではないがワシが引退するまでの約1年間、共に行動しておった。そのときはワシがAランク、ステファニー殿がBランクであったが今となってはワシはギルドマスター、ステファニー殿はSランクと……。随分と時間が経ち立場も変わってしまったものだ……」


 20歳もいってないような見た目のステフが20年前に冒険者としてニックさんと行動していた。

 それが意味することとは……。


「ステフ、お前って若作りババアぐふぉぉぉおおおおおおああッッ!?」


 突然身体に衝撃が走る。

 鳩尾から鈍い痛みが広がり、見てみるとステフの裏拳が鳩尾に綺麗に収まっている。


「ぐぉほっ、ごほっ。おいステフ、いきなり何するんだよ!」


「何するんだよじゃないわよ! カイ、あなた今女の子に言ってはいけないとても失礼なことを言おうとしたわよね? いえ、もうほとんど言っていたわ。この私の弟子となったからにはそのデリカシーの無さもしっかりと指導してあげるわ」


「で、でもよ、20年前にBランクの冒険者だったってことは今は結構歳食ってるおば…………」


 言い切る前にステフが冷ややかな笑みとともに拳を握りしめる姿を見て俺はすぐさま言い直した。


「いや、20年前から冒険者をしているってことはそれなりに年齢を重ねていらっしゃるということで、それなのにまるで10代かのような透き通るような白い肌に艶やかな金色の髪、一体どういうことなのかなーっと……」


「んー、まぁいいわ。実は私はね――」


 ステフの言葉に俺は驚愕した。



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