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第4話 冒険者ギルドへ


 

 俺が寝床にしている所はスラムの端っこにあるボロボロで今にも崩れそうな木造の長屋の1室だ。

 俺とステフはそこからスラムの外にある冒険者ギルドに向かって歩いていた。

 既に半日以上はたっていると思っていたのだが日はまだ高い位置にあった。


「結構長い時間ああしていた気がするんだけどまだ昼過ぎなんだな」


「集中していたものね。1時間くらいでモノにできたのは想像以上の収穫よ」


 話しているうちに冒険者ギルドの前までやったきた。

 このキーストリアという街は王都から見て辺境に位置していて、そのため周辺には多くの魔物の生息地があり、冒険者の街と呼ばれている。

 そのためかここの冒険者ギルドは周囲の建物と比べてもかなり立派で大きな造りをしている。


「へー、初めて来たけれどここのギルドは大きいわね。さすが冒険者の街と言ったところかしら」


「それで何か依頼を受けるのか? 俺はFランクだし雑用くらいしか受けられるのが無いぞ?」


「そこらへんは私に任せなさい。今夜の晩餐のためにガッポガッポ稼ぐわよ」


 晩餐って……。

 まあ少しは豪華な夕食にできるように頑張りますか。

 そんな気持ちもこの後の出来事で消え去っていったのだがその時の俺はまだ知らなかった。



 俺たちは今冒険者ギルドの中にある掲示板の前にいる。

 掲示板に貼ってある依頼が書かれた紙を取って受付に行くとその依頼を受けることができる。

 だが依頼の多くは朝一番に張り出されるため、昼過ぎの今、割のいい依頼は残っていなかった。

 うーん、やっぱり直接仕事を探しに行くほうがいいかな。

 この前やった商会の倉庫の力作業は大変だったけど結構稼げたしまだやってるといいなぁ。

 そんなことを考え、ふと隣を見てみるとステフが掲示板に貼ってある依頼の紙を片っ端から取っているのを目にした。

 中にはBランクの冒険者パーティが受けるような依頼もあった。


「お、おいステフ。こんなに取ってどうするんだよ、依頼には期限というものがあってだな――――」


「大丈夫よ。選んだ依頼は全部この街の周辺で済ませられるようなものばかりだし日が沈むまでには終わらせることができるわ。これで暫くはお金の心配をせずにカイの修行に専念できるから安心しなさい」


「日が沈むまでに終わるって……。手に持ってるのにB、Cランクの依頼も混じってるじゃないか。ステフのランクは知らないけどよくてCランクだろ? どう考えても無理だ」


 聞いてなかったけどステフは見た目的に俺と同じ15歳そこそこだと思う。

 この街で15歳の冒険者がCランクになったときに冒険者ギルドにあまり足を運ばない俺の耳にも届くほどに大騒ぎになったものだ。

 そういったことを考慮しての発言だったんだが……。

 ステフは俺の言葉を聞くと口を尖らせてあからさまに不機嫌そうになった。


「……ふーん、へー、あっそう。カイは私の強さをそういう風に評価していた訳ね。なるほどなるほどあなたが言いたいことはよくわかりました」


「あ、あれ? もしかしてステフさん怒ってらっしゃいますか?」


「怒っている? 何のことかしら?」


 ゾクリと背筋が凍るような感じがした。

 ステフは満面の笑みを俺に向けているが目が据わっている。


「カイ、早く行くわよ」


「は、はいっ!」


 俺は彼女の後を追うように受付へと向かった。


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