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第2話 弟子入り


「どうかしら?」


 ステファニーはドヤ顔のまま俺に問うた。

 どうって何がだよ……


「ちなみに超絶は天才と美少女の両方にかかっているわ!」


 そんな無駄な知識は求めてない。


「それで私が超絶天才美少女魔法使いであるが故の問題が起こって紆余曲折あって飢えてゴミでも漁って凌ごうとしたところ倒れちゃった訳よ、詳しくは聞かないで貰えるとありがたいわ」


「その紆余曲折の部分を知りたかったんだが……まぁいいや。お前これからどうするんだ?」


「しばらくはこの街で冒険者稼業でもして日銭を稼ぐつもりよ。その後はまだ考えてはいないけれどイールカ王国を出て別の国に行くと思うわ」


 なんとタイミングがいいことか。

 こいつが本当に天才魔法使いなのかはわからないけど自称するくらいなのだからそれなりに魔法が使えるんだろう。

 このチャンスは逃せない。


「ひとつ頼みがあるんだけど」


「何かしら? カイは命の恩人だもの、頼みは可能な限り全て聞くわ」


「俺を弟子にしてくれ、それで魔法を教えてくれ」


 ステファニーは俺の言葉を聞いて少し難しい顔をした。

 この反応はダメだったか……。


「カイは、魔法が使えるようになって何がしたいのかしら?」


 何がしたいか? 俺が昔からやりたいことはただひとつだけだ。


「外の景色が見てぇ。こんなスラムで燻っている毎日なんて嫌なんだ。魔物にも負けない力を手に入れて色んな景色を見るために旅をしたいんだ」


 そんな理由で、と笑われるかもしれないがこれが本心だ。

 こんなくだらない理由で魔法を教えることなんてできないと断られるかもしれないがこれだけは嘘を吐きたくない昔からの夢だ。


「力を手に入れたいって言ってもそんなに簡単に魔法は使えないわ。ちなみに私は魔法の才能をある程度見抜けるのだけれどはっきり言ってカイに魔法の才能は無い。血反吐を吐くような修行をしてやっと一般的な魔法使いレベルになれるかどうかってところね。それでもカイは私から魔法を教わりたい?」


 才能が無い、か。

 諦めるべきなんだろうな。

 でもここで諦めたらこんな絶好の機会は二度と訪れないかもしれない。

 彼女はその日生きていくだけでも精一杯なスラム生活に降って湧いたような希望だ。

 才能が無かろうと、泥を啜ってでも1つでも多く魔法を使えるようになりたい。

 

「覚悟はある。ステファニーさえよければ俺を弟子にしてくれ」



「……そう、わかったわ。私、ステファニー・ヴィオネがカイを正式に弟子と認め、ここに宣言します」


 ステファニーがそう言うと彼女と俺の間に何やら複雑な円形のよくわからない物が浮かび上がってきた。

 これは魔法なのか?


「これは?」


「これは魔法陣、特殊な魔法はこうやって目に見えるように魔力で魔法陣を描くの。これは契約魔法、互いの魔力をこの魔法陣に流すことで双方の同意を得たことになり契約が結ばれる魔法よ。カイはまだ読めないだろうけどこれには正式に師弟関係を結ぶ旨が記載されているわ。こんなものが無くても約束を違えたりはしないけれどこれはいわゆる慣習ってやつよ」


「なるほど、そんな魔法もあるんだな」


「後は魔力を流すだけとはいえこれがカイが使う初めての魔法になるわ、やってみなさい」


「魔力を流すってどうすればいいんだ? そもそも俺に魔力なんてあるのか?」


「んー、そうね。まず、魔力というものは多かれ少なかれ誰でも持っているわ。そしてイメージしなさい、魔力はあなたの全身を隈なく巡っているの。全身で魔力を感じて。魔力を感じることができたら後はそれを手に集中させてこの魔法陣に触れるだけよ。焦らずゆっくりでいいわ、時間をかけて丁寧にね」


 わからんがとにかくやってみよう。

 まずは全身を巡っている魔力を感じる、感じる……感じる…………。 

 

「うーん、わからん……」


「何事も初めは肝心だし難しいのよ、焦る必要は無いわ」


 そうだな、焦るなってさっきも言われてたじゃないか。

 集中しろ、集中だ。

 目を閉じて全身で魔力を感じろ。


 

 あれからどれだけの時間がたったのかわからないが何やら魔力らしきものを感じとるのに成功した。


「できた、かもしれない」


「じゃあそれを右手に集まるように意識してみて。それでこの魔法陣に触れてそれを流し込むのよ」


 右手に集まるように……。魔力を感じ取れるようになったからかこれは簡単にできた。

 それを魔法陣に流し込む。

 すると魔法陣が淡く光を放って消えていった。


「ふふ、よくやったわ。おめでとう、成功よ」


 ステファニーは自身の右手の甲に描かれている紋章を俺の方に見せてにこりと笑った。


本日2話目の投稿です。

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