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拾った責任、とってよ  作者: 滝沢美月
3連休の週末 晴れ続き 開花宣言
17/35

Vol.17  うたたね



 映画を観ながら食べるということで、朝ごはんは食べやすいサンドイッチを作ることした。

 すでに朝ごはんとか昼ごはんというよりもブランチっていう時間帯になってしまったので、朝兼昼ごはんってことでちょっと量も多めにしてサンドイッチとスープとフライドポテトも揚げてみた。

 この数日ですっかり料理が得意になった蓮君と分担して準備し、出来たものをリビングのローテーブルに運んでいく。

 たまは日当たりのいいリビングの出窓の上で丸まって、すやすや寝息を立てていた。

 私と蓮君はソファーに並んで座って、ご飯を食べながら一本目の映画を観はじめる。

 金曜日に食材の買い出しは行ったし、週末のお掃除とかも終わらせてあったので、今日はまったりゆっくり映画鑑賞の一日にしようということで意見がまとまっていた。

 三連休みでもないと、私はなかなか映画をゆっくり見ることもできなかったから、のんびり映画を観ることが出来て嬉しかった。

 半ば、蓮君は私の趣味に付き合わせるような形になってしまったけど、蓮君は嫌な顔なんてぜんぜんしないから、蓮君の優しさに甘えることにした。

 たまには、休みの日にまったりしても、いいよね。

 一本目の映画はディズニーアニメ作品の実写化したもの。近年、アニメとかの実写化は増えているけど、ディズニーは原作アニメの世界観を本当にそのまま実写している。この作品の前に公開された実写化映画も、序盤の主人公が街を歩くミュージカル調の場面を、まるっきりアニメ原作そのままを再現していた。主人公以外の登場人物の街人やなんかも、まったく同じ配置テンポで、すごいを通り越して、ただただ感嘆してしまった。

 今回の作品も、原作の世界観そのままでとっても素敵だった。小さい頃、家にこのアニメ原作映画のDVDがあってよく観てて、内容もほぼ覚えているからこそ、実写化の技術のすごさが伝わってきた。

 CGとかを駆使しているのもあるだろうけど、役者さんたちがほんとうに原作のイメージぴったりだし、内容もそのまま原作通り、原作以上に素敵な作品になっていた。

 恋愛ものだったから男の子と一緒に見るのはちょっと恥ずかしかったけど、蓮君はあまり気にしてないみたいだった。

 エンドロールが流れ出して、はぁ~っと感嘆のため息が出てしまった。

 一本目が観おわって、休憩もかねて朝食の食器を下げて洗ってしまう。蓮君はローテーブルを台ふきで拭いてくれていた。

 テレビ画面では宣伝を兼ねた映像が流れていて、最近視聴開始になった映画やおススメの映画の予告カットが流れていた。


「あ、これ……」


 ぽつっとつぶやいた蓮君。

 洗いものが終わって手を拭いてからリビングに行くと、ちょうど画面ではアクション映画の予告カットが流れていた。


「次、これ観る?」

「えっ、いいの!?」

「いいよ。さっきは私が観たいの選んだし、蓮君、すごい観たそうにしてるからこれにしよう」


 素直な反応の蓮君が可愛くて、くすりと笑みがもれてしまう。

 さっきは蓮君が私の事を素直って言ってくれたけど、蓮君だって十分素直だと思う。

 あの時は、まるで自分はそうじゃないっていうような口調だったけど、蓮君は自分が思っているより素直だよ――って心の中でつぶやいた。

 蓮君が選んだ映画は、何年も前に第一作目をやったシリーズ物の最新作。前作からかなり年月が空いているから、まさか続編をやるとは思ってなかった。主人公を演じる俳優さんもいまではかなりいい歳になってしまっていたけど、迫力のアクションをこなしててすごかった。


「面白かったね~」

「大迫力だった!」

「うんうん! 家のリビングでも大迫力のアクションシーンだったけど」

「やっぱアクションは映画館のが見ごたえなー。これは映画館で観たかった」

「だねー」

「でもはぐちゃんってアクション観るんだね……」

「アクションも観るし、ジャンル問わず色々観るよ」

「はぐちゃんとアクションってなんか結びつかない」


 って、観終わってから感想を伝えると、蓮君はちょっと驚かれちゃった。

 さすがに、二本連続で映画を観て、ちょっと目も疲れてきたので、少し時間を空けてから次の映画を観ることにした。

 お互い、リビングから移動して休憩する。

 私は溜まっていた郵便物の整理をして、蓮君はコーヒーを淹れて飲んでいた。

 次の観る映画は私が選んでいいと言われ、即決する。


「俺、これ知らないけど、なんかほっこりする系?」


 蓮君は私と並んでソファーに座り、コーヒーの二杯目を飲みながら笑う。

 休憩を挟んで選んだ三本目は、昨年大好評だったこどもむけの大人気キャラクターが映画化されたやつ。前評判も良くて、公開中もすっごいテレビとかで取り上げられてて評判が良かった。

 予想外の人気だったのか、上映している映画館が少なかったせいで予約もほとんどとれない状況だった。最初は二週間ほどだった上映期間も途中で上映期間が伸びたり、上映する映画館も増えたりしていたのに、私はタイミングが合わずに、結局、観にいけなかった。

 友達はけっこう観にいったっていう子が多くて、「どうだった?」って聞くとみんな口をそろえて言うのは「ラスト感動した! でも前半は眠気がやばくて寝ちゃった」っていう感想。そんなこと言われたらよけいに気になってしまった。

 だから、その映画が視聴開始になったって知ったら、やっぱり見たいじゃない?

 それなのに。

 序盤のキャラクター達の自己紹介シーンが終わり、物語が少しずつ展開していっているさなか、私を襲う眠気……

 うとうとしてきちゃって、寝ちゃダメだって分かっているのに、瞼が重くて、だんだんと視界が閉ざされていく。

 ふらっと肩が揺れて、はっと目が覚めるものの、すぐにとろんっと瞼が閉じてきてしまい――

 結局、私は映画の途中でうたたねをしてしまった。




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