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「ほぅ・・・」
俺はコイツの性格を量り兼ねたかもしれないな
「受けてくれるかな?」
「待て転校生!!」
俺が返答する前に小崎が喋りだす。
「コイツに決闘を挑むのだけはやめとけ!」
「そうだよシャルさん、危険すぎる。雅人は―――」
「要注意人物、でしょ?」
この発言に驚きを隠せない小崎と月島
俺は事前に知っている、というより俺が危険人物である事を教師側から伝えさせたのだ
「女性の敵って聞いたから僕も思うところはあるけど、君の実力があるから言われてるんだよね、その君の協力が得られるならクラスの勝利に近づけると思うんだ」
「シャルさん、そこまでクラスの事を考えていたのか」
「なるほど、そこの僕ッ娘が勝て――「僕ッ娘!?」・・・ああ、お前の事だ」
「な、なんだかその呼び方恥ずかしいな///」
「・・・そこの金髪の僕ッ娘が勝てば俺が全面的に協力しろと」
「おぅ、流石犬童 萌を華麗にスルーしやがった」
小崎がまた頭の悪い事を言っているのでそれもスルーする
「うん、それでいいよ」
「そうか・・・で、俺のメリットは?」
「え・・・?」
「おいおい、まさか何も賭けずにこちらに何かを要求する気か?」
「え、でもクラスが勝てば君も―――」
「そうだったら最初から参加する」
コイツ、ドが付く程のアホなのだろうか
「じゃ、じゃあ、何だったら受けてくれるの?」
「お前は子供か・・はぁ、仕方ない今僕ッ娘に要求する事はない、だから保留でいいだろう」
「うん!!じゃあ、決まりだね」
急にクラスの奴らが騒ぎ出した。
悪逆非道の冷酷な悪魔 犬童 雅人VSあらたな新星で我らが天使 シャル・ノーエル というフレーズで騒いでいるようだ
「犬童 すまないが今回俺はお前の敵だ」
「ああ、だいたいは察していたよ。お前の言う可愛いは正義・・・だったか」
「ああそうさ!可愛いの前には何者も悪となる!!」
「付き合ってられんな」
俺は肩を竦め、当の本人とその周りに目をやる。
案の定 ド派手に騒がれ、僕ッ娘は目を白黒させていた。
なんだかここまで来ると哀れに見えてくるな。
助けるつもりはないが、とりあえず決闘の段取りを決める為、黒板の前に立ち軽く黒板を叩く。
「今から決闘の段取りを決める。静かにしておいてくれよ・・・・うるさくしたらわかっているな?」
その一言で教室に静寂が訪れる。
「え?どうなってるの?」
「さぁ、決闘の段取りを決めるぞ。」
「え?う、うん。でも気になるなぁ」
「ああ、コイツ等全員俺に負けて まだ俺は命令下してないんだ」
「えぇ!?」
そうなのである。
入学初日、生徒会長から喧嘩をかってボコボコにし、決闘に新制度を投入したらクラスの生徒会信者全員+勢いの奴等 計クラスの大半を半殺し。
そして教師や上級生の女子に興味を持たれたと勘違いされ、残りのキチガイ達を蹴散らした。
「本当・・・なの?」
「なんだ怖気づいたか?」
「むぅ、そんな事無いもん」
「そうか、じゃあ、時間は放課後~閉校まで 場所はそっちが指定していい」
「魔法や能力は使わない方がいいかな?」
「いや、そのあたりは制限なしでいいだろう」
「え、でも・・」
「気にするな 言い訳はしない 僕ッ娘も言い訳なんて見苦しい真似するなよ」
「うん、わかった。全力でやらなくちゃ相手に失礼って事だよね」
本当におめでたい頭してるな。
これはお互いの逃げ道を取り除いただけだ。
それにこの行事の意味を知っているのだろうか?
「俺は今日か明日が都合がいいがお前はどうだ?」
「むぅ~」
「・・・なんだ」
「お前じゃない 僕にはちゃんとシャルっていう名前があるの」
「じゃあ、間とって僕ッ娘だ 今日か明日どちら選べ」
「うぅ~、お前よりはいいけど・・・はぁ、わかったよ。今日でいいよ」
「ならそれまでに校内散策して場所を決めておくんだな」
俺が金髪僕ッ娘から離れると同時にクラスメイトが群がる。
どうやら俺が今までどう戦ってきたか等の情報提供をしているようだ。
また、月島が俺と勝負する前にどこまでやれるのか模擬戦をするらしい。
おいおい、月島よ 誰の為に不参加でいると思ってんだよ。
「どうやら大体の方針は決まりそうだな、ではこれから授業を始めるぞ」
そんなこんなで昼休み
説明し忘れていたがこの学校には生徒間での決闘場としてきちんと用意されている。
いつもは突発的な決闘ばかりで普段は使われることは少ない。
この昼休み、僕ッ娘と月島が決闘場で模擬戦を行うようで観客はクラスメイト達で溢れかえり、校庭に居ても騒ぎが聞こえてきていた。
勿論、対戦相手がどのような戦術を持つのか、調べておきたい所だが俺は見せてもらえないだろう。
もはや俺対策をしている時点で対等ではないが言い訳はしない約束だ。
なので、別にやる事をやってしまおう。
「きゃん!!」
「おー、よしよし」
俺は一仕事終えたペットを撫でていた。
そう、俺は新たに魔法蓄積装置を回収を命じたのだ。
それを無事に完遂したコイツを撫でまわしていた。
「さて、僕ッ娘の実力にもよるが試作品の実験のいいデータが取れるな」
勿論手を抜く気はない。
全力で勝ちに行く。
その為の事前準備は惜しまない。
「なんでこんな事になってんだろうな?」
どうやら騒ぎの様子から決闘場での模擬戦は終わったのだろう。
そろそろ昼休みも終わる。
そして校舎から昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り響いていた。