57
剣の訓練を開始して結構な時間が経過した。
龍ヶ峰 葵の回復魔法でも疲労だけは取り除く事が出来ない。
普通に考えて、3人の相手をしている龍ヶ峰 錬が先に疲れが見えてきてもいい筈なのだが、軽く汗をかいていい運動をした様にしか見えない。
月島、僕ッ娘、赤城は回復されているが、立ち上がる気力がないようだ。
「錬様、約束通りそろそろお相手をしたい所なのですが・・・凛様の約束の時間が差し迫っていますので、そちらを終えてからでもよろしいですか?」
「凛に何か頼まれていたのか?」
「再戦の見届けを」
「あ~、そういえば凛を鍛えてくれてたんだったな。仕様がない可愛い妹の為にここは譲るとしよう」
「・・・ありがとうございます」
やけに聞き分けが良いと思ってしまい、返事が少し遅れてしまった。
しかし、その後の返答は予想していなかった。
「折角だし見に行くか、妹の成長も見てみたいな」
「そうね、凛ちゃんの応援に行きましょう」
龍ヶ峰の2名が同行する事になりそうだ。
この様子だと止められそうに無さそうで、心の中で凛に謝罪するのであった。
そして僕ッ娘も同行する約束をしていた為、結果的に全員でいく事になった。
そうして凛と約束した場所にやってきた。
1.2名なら問題ないのだが、大勢では流石に騒ぎに成りかねないので学校側に手続きを済ませ、凛と合流した。
とりあえず、全員で行くと緊張してしまうかもしれないので1人で会う。
「お兄様!来てくださってありがとうございます。」
「いえ、私の方は謝らなければなりません。錬様、葵様、そして私の友人達が来ていますが、どうかお気になさらず」
「錬兄様たちが来ていらっしゃるのですね・・・」
やはり、緊張してしまっているのだろうか
「今後このような誰かに見られるような機会があるかもしれません、その時の為の練習と考えましょう」
「はい」
話は終わり、石神との試合。
呼び出してはいるようだが、正式な試合を申し込んだ訳ではないようだ。
「貴女ですか、龍ヶ峰さん」
「石神さん、前回の再戦です」
「残念だけど、一度勝った相手とは再戦するつもりはないの」
事前調査で再戦は基本的に受け付けない事は知っていたが、それでも再戦すると言っていたので約束をしているのだと思っていた。
現に再戦を断られて凛は固まってしまっている。
おいおい、詰めと言うか初めからダメじゃないか。
ここは助け舟を出した方が良さそうだな。
「じゃあ、悪いけど失礼するわね」
「それは困る、申し訳ないが相手をしてもらえないだろうか」
「お仲間ですか・・・え?」
俺を見て驚いているようだ。
それはそうだろう。ここは中学校で俺は高校生、普通いる筈の無い者がいるのだから驚いて当然だ。
「勿論、タダでとは言わない。龍ヶ峰 凛さんとの勝負で勝利したら・・・そうだな、龍ヶ峰の総力をもって君の望みを叶えよう。この条件でどうかな?」
「・・・・・・」
何故か返事が無く、ボーっと俺を見ている。
いきなり龍ヶ峰の力で望みを叶えるというのが衝撃的だったのだろうか?
「返事がありませんが大丈夫ですか?」
「ひゃ、ひゃい!!大丈夫です」
何だろうこの反応・・・
「えっと・・・お受けします」
「感謝します。では、私は見届けますのでお2人共頑張ってください」
「あ、あの!!」
呼び止められてしまった。今更受けないというのは無しにしてもらいたいのだが・・・
「はい、なんでしょうか?」
「よ、よろしければ審判をお願いできませんか」
断りではなくて良かったのだが、まさかの審判だと?
審判するとしても、公平にジャッジするつもりではあるが、態々試合相手の連れに審判を頼むのはどういう意図があるんだ?
誰の目から見ても凛を叩き潰すという表明か?
「いいでしょう、先に頼みごとをしているのは私の方なので審判を務めましょう」
この石神 言葉という奴は何を考えているんだ




