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「その形態は転化よりも劣っている筈だが・・・なるほど、まだ全身転化が出来ないか するだけの体力がないか」



「あなたに教える義理はなくてよ」




そりゃそうだ。

俺も体力、スタミナなどの要素から早めに済ませたいな。

しかし、この状況で勝ったとして・・・何か得るモノはあるだろうか?


そんな考え事をしていると相手が動いた。




「試合中に考え事とは、随分余裕がおありのようですわね」




こちらに殴り掛かっていた。

しかし・・・




「ッ!?」



「転化状態より劣ると言った筈ですがね、見切られるのも当然でしょう」




簡単に避けられる。

しかし、転化ではないにしろ、雷を纏っている状態でまともに接触する事は難しい。

だけどまぁ・・・関節部分だけ雷を纏っていない。

あからさまに腹部の部分も纏っていないが、それは誘いだろう。

触れようとしたらアウトだ。




「狙うとしたらそこか・・・」




これも誘いの可能性もあるが、今の状況じゃ他に手が無いが―――ッ!?


感じ慣れた気配を背後に感じ、思わず振り向いてしまう。

振り向いた先には何もおらず、しかし、耳にその鳴き声が聞こえた。


色々な意味で困りものだな、おい。

あまり取りたくない手段だったが、そうも言ってられんな。




「余所見とは余裕ですわね!!」




見なくても相手の行動が分かる。

今まで放電以外で遠距離攻撃が無かった。

それならここで使う事はまずない。


身体を2歩横に逸らして、相手の拳が通り過ぎたのを確認してから




「うぐっ!?」




相手を殴りつけた。

殴られた会長は腹部の痛みと何が起こったか理解出来なかったのかすぐには動こうとしない




「審判」




俺は手を上げて宣言する




「棄権する、あとは任せたぞお前ら」




そう月島達に残し、ステージを早足で去る。


俺が会長を殴っても無傷の理由は簡単に言ってしまえばゴム手袋を装着したからだ。

勿論、ただのゴム手袋では耐久性に問題があるので生地を分厚くしてある。

それよりも問題なのが―――




「お前、いつの間にそんな事が出来るようになったんだ」



「きゃん!」



俺が試合中よそ見したのはこのヴィスタの気配を感じたからだ。しかもコイツ、ステルス化まで出来るようになってやがる。

研究所でお蔵入りされていたのにも拘らず、このヴィスタが使っている。勿論研究所がつくった物ではないだろう。

おそらく、俺と研究員たちが会話を聞いてやったのだろう。




「それで出来て、活用できるのは褒めるべきことか・・・」



「きゃんきゃん!!」




嬉しそうに尻尾を振るヴィスタ。

とりあえずは―――


俺は通信機を取り出して、研究所に連絡を入れる。




「あ、若、丁度連絡を入れようと思ってたんですよ」



「緊急事態か何かですね、何が起きている」



「ヴィスタが現れました。2体同時です。」



コイツ、研究所が連絡する前にヴィスタ出現を感じたのか?



「・・・2体の特徴と場所、状況は」



「蜘蛛と竜です。まだ出現したばかりですが、互いに争っている様子ですな。場所は――」



「お前、こんな所で何をしている」



「ッ!?貴女は」



俺の目の前に灰崎 汐音と朝比奈 百々の二人がいた。




「急用が出来てしまいまして、龍ヶ峰の所へ向かう途中です。」



「お前がここに居るってことは、もう負けちまったのか?」




そういえばこの2人は俺が出場していたことは知・・・らないよな。




「今、決勝戦が行われている所です。月島達と生徒会の勝負で見ものですよ。では用事があるので失礼します。」




そうしてこの場から去る。


嘘は言っていない、一旦龍ヶ峰邸に立ち寄って武装する。

それにしてもいつの間にまたステルス化をしてるんだか、このヴィスタは・・・

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