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試合が終了し、医務室に入る。
「勝てて何よりだが・・・その腕と脚はどうするつもりだ月島」
「あ、あはは・・・」
「いや、笑いごとじゃない。まだ試合があるのに凍りついた腕と脚をどうするんだ」
「勝てたんだからいいんじゃないかい?」
「赤城は軽傷であるから問題はないだろうが、コイツは次の試合では使い物にならん」
そう話している内に控室の扉が開く。
「お湯貰ってきたよ~」
「ああ、助かる」
俺は月島の相手の情報を得た時から僕ッ娘にお湯の用意を頼んでいた。
案の定、右腕と右脚が凍り付いていた。それでもなお無理に動き、氷に皹が入っていて、氷の割れ目が濁っている。それは即ち中で凍傷になり、肌が割れているのだろう。
月島が僕ッ娘に治療されているのを見て気になる物を指さしてを聞いてみた。
「お前が持ち帰ってきた剣 あれはどうしたんだ?」
「あちち、ああ、あれは戦闘中に見つけたんだ。持ち主に返そうと思って」
「見た所普通の剣にしか・・・何だか寒気がするな。まぁいい、持ち主については俺の方からも探しておいてやろう」
「よかった、雅人が探してくれるならきっと見つかる気がするよ」
「・・・何はともあれ次が決勝戦相手は十中八九生徒会の奴らだ」
「そうなの?」
生徒会が相手と決めつけているが、それにはきちんとした理由がある。それは毎年のこの催し物で生徒会が決勝に必ず進んでいるという事だ。
もちろん、生徒会のメンバーは実力者ぞろいと言われているが、裏取引にてそうなっているに過ぎない。
「次の決勝だが、月島と僕ッ娘は防衛拠点で待機、赤城は拠点の防衛役を担ってもらう」
「おいおい、前回アンタが言った事忘れたのかい?あたしゃ防衛に向かないって」
確かに前回の試合前に防衛目標のフラッグと僕ッ娘の防衛は無理だと判断し、前衛にさせた。
今の発言はそれに反する内容だ。
「ああ、勿論覚えているさ。だが今回お前は消耗してからのスタートではまず生徒会に勝てる可能性は低い。なら俺が全員ないし4人中3人を受け持つ」
「流石にアンタ生徒会の奴らを甘く見過ぎじゃないかい?」
「そうだよ!ただでさえ病人で無理して出場してもらってるのに」
赤城と僕ッ娘は反対のようだ。
確かに俺は病人扱いだったな。
「なら代案はあるのか?」
「そ、それは・・・」
「アタシも前線に出れば前回と同じでいいんじゃないのかい?」
「前回は俺がディフェンスに回っていた。この男に二点防衛など出来る訳がないだろ。同じことを言うのはこれで二度目だ」
「・・・じゃあ、アタシ達決勝はただ見てろって言うのか」
「そうだ、今回の試合で少し変わった戦い方をお前達に見せる。その戦い方を見てお前達で対策を考えてみろ。それが今回無断で俺をメンバーに入れた罰としての課題だ」
正直こんな公の場でこの闘い方を見せたくはなかったが、コイツ等にいい刺激になるだろう。多分・・・。
それかいっその事、龍ヶ峰のご令嬢と競わせるか?・・・凛お嬢様側が不利だな。
まぁいい、おいおい考えよう。
医務室にノックの音が聞こえ、次の決勝戦が始まるとの事で準備をするようにとの伝言だった。
「さて、いこうか」




